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Re53 魔法少女とノモルワール

PCの動作不良につき更新が遅れました、申し訳ございません。

「――という訳なんじゃよ」

「どういう訳ですか」

 前回に続いて、遂に明かされるノモルワールの正体! ……と思いきや、いきなり変な事を言い出した。

「これで語り終わった風にしちゃダメかのう」

「駄目ですねぇ」

「ケチな魔法少女じゃ」

「それは魔法少女がケチって意味なのかしら?」

 ケチと言われて半ギレの魔王。なんで貴女が怒るかなぁ。

「まあまあ。とりあえず、話してください、ちゃんと、最初から」

「むう、仕方ないの」

 魔王の目がギラギラしてるのが怖かったのか、ちょっとだけ目を逸らして話始めるノモルワール。

「という訳だったんじゃ」

「どういう訳ですか」

「いい加減にしないとぶっ殺すわよ」

「おおぅっ?! ちょっとしたお茶目じゃよう……メグル、魔法少女の中でもお主って真っ当だったんじゃな」

「どういう意味ですか」

 なんか魔王と比べられて言われるとそれはそれで嫌なんだけど。

「さて、何処から話そうかの。まず、ワシ自身は邪神ではない。厳密には今は、じゃが」

「これからなるんですか?」

 そう言って杖を構える私に、ノモルワールは慌てて否定した。

「違う違う! 昔はブイブイ吹かしてたってだけじゃよ……それで、邪神ノモルワがこの世界の神々にタコ殴りにされて逃げたのは知っとるかの?」

「はい、尻尾巻いて逃げた先が私達の世界だったんですよね」

「そ、そうじゃが……ごほん。その時、いくら負傷し、力を消耗したと言っても世界を渡るにはノモルワールとしての力は大きすぎた。故に世界を繋ぐ穴を通れなかったのじゃ」

「でも現にノモルワは現れたわよね」

「うむ。そこでノモルワールは自らの力の半分を、要らない部分をワシという形でこの次元の狭間に残していったのじゃ」

「要らない部分、それって一体?」

「正義じゃ」

『は??』

 その場にいた魔法少女六人とアルク。

 全員が疑問を浮かべた。

「ノモルワに正義の心があったんですか?」

「うむ。しかし正義と言っても奴なりの、じゃ。悪意に歪められた独善的なものじゃよ。決して綺麗な物では無かった」

 そういうと、ノモルワールは悲しい顔を浮かべた。

「しかしの、それでも置いて行かれた正義は、奴の想定外の変化を見せた」

「それは?」

「悪意から切り離された正義はワシという形で別の人格として形成されたのじゃ」

「それが、貴方という訳ね。じゃあ、邪神って言うのは?」

「どうせシュエリアとかいう阿保神に聞いたんじゃろ? 面白がって変な言いがかり付け折ってからに……正確には元邪神じゃよ」

「そう。それで、貴方の事を知っているのは他にいるのかしら」

「シュエリアとお主ら魔法少女を百年周期で呼んでいた地球の神(代理)くらいかのう」

「あの神は代理なのね」

「うむ。阿保神は仕事せんからの。ただ空位になった神の座を制御する為の置物じゃ。まあ力だけで言ったら全神を葬れる化け物じゃがな」

「それって邪神も入ってます?」

「入っとるよ。全異世界を相手にしてもマンガ読みながらコーラ飲んで勝てるくらい強いぞアレは」

「そんな存在を阿保神とか言っていいんですか……」

 聞かれたら凄い面倒なことになりそうなんだけど。

「兎に角、ワシ自身はもう邪神ではない」

「じゃあ、私を四離ちゃんと別でこの世界に呼んだのはなぜですか?」

「む。それは……」

 ノモルワールさんは言葉に詰まった。どうしたのかな。

「まあ、ここまで来たのだから話してもいいじゃろう。まず、最初に言っておく。ノモルワは生きて居る」

「え」

 それは、え。嘘。

「私、倒しましたよ」

「そうじゃな。しかし、アレはそもそも互いの世界を繋ぐ門の間で生まれる悪意の怪物じゃ」

「よくわからないわね。もっと詳しく話しなさい」

 ノモルワールさんの説明に、魔王が食いつく。

「うむ。まずお主らが転生した世界……我々神の言葉でアスガルズと呼ぶが、それと地球のある世界はある門、ゲートで繋がっておる」

「それがノモルワが通ったっていう物かしら」

「そうじゃ。しかしこの門は複数あり、その間には次元の狭間がある。逃げようとしたノモルワはその狭間でワシを切り離して行ったわけじゃな」

「ということはノモルワは一度は門を通ったんですか?」

 それだと切り離したタイミングがおかしい気がするんだけど……。

「うむ。ただ門の大きさはその世界の力の……主に魔力の量に影響しておってな。こちらから次元の狭間に行けても地球側には出られんかった。そこで、詰まった後ろ側に善意を集めて切り離し、その後自分だけゲートを潜って地球に辿り着いたというわけじゃな」

「なるほど……」

 つまり穴を通ろうとしてお尻が詰まったから下半身だけ切り離してスリムにしてから通った感じだ。……この例え怖いね。

「それで、狭間で生まれる怪物って言うのは何かしら?」

「あ、それ気になります」

 魔王の質問に私も思い出した。そんなこと言ってたね。

「それはの、この今いる空間はワシが外に広がる狭界きょうかいと呼ばれる場所に作った空間でな。外の狭界には他の世界で生まれた負の感情が溜まる特性があるんじゃよ。そしてそこに溜まった悪意ある力が一定以上になると、ノモルワは生まれるのじゃ」

「それじゃあ、過去にも何度もあれは生まれているの?」

「そうなるのう」

 魔王の質問にあっさり答えるノモルワール。あんな化け物が過去に何度もなんて。

「まあ、その内何度かは他の世界で魔王に成ったりしたんじゃが、大抵運悪く葬られとったの。太陽の勇者とか、淫魔王とか、阿保神とかに」

「何ですかそのラインナップ……」

 最初の一人以外、どう考えても人じゃない何かなんですが。

「そしてアスガルズに出たノモルワは神々に敗北し、地球に逃げ。ワシという存在。ノモルワールを作り出したわけじゃな」

「じゃあノモルワが死んでないって言うのは」

「うむ、実はあれがまた生まれそうになっておるのじゃ」

「そんな……」

 あんな化け物がまた生まれて来るの? そんなのって……。

「そこで阿保神とワシ、そして地球の神とで計画したのが魔法少女再利用計画じゃった」

「魔法少女再利用計画?」

 なんだろう、すっごく聞き覚えと言うか、身に覚えのある計画だね。

「地球で戦い戦死した魔法少女を他の世界でノモルワやそれに近しい闇の存在に困っている世界に派遣する、というのが本来の計画じゃった」

「うわぁ。シンプルに迷惑」

 死んだ後も働かされるなんて魔法少女はブラック企業大賞貰えると思うよ。

「しかしある魔法少女が魔法少女の世界を作ろうと画策したとき、これだと思った」

「あら、それって私かしら」

 魔王が明らかに気に入らないと言った様子でノモルワールを睨みつける。

「そ、そうじゃ。お主を見て、魔法少女をプールする世界を作り、そこから悪意に困った世界に魔法少女を派遣する。そういう環境を作ろうと計画の方向性を変えようと思った。しかし、これには大きな問題があった」

「何ですか、それって」

「魔王になってしまった魔法少女が神を恨んでいたこと、そして、対話しようにも強すぎて手が出せんことじゃ」

「なるほど」

 確かに、魔王は神を殺そうとしてたね。それで私の力が欲しいとかなんとか……?

「そこで、彼女に対抗できるほどの、最強の魔法少女を送り込み、対話の場を設けて欲しい、そう思っていた」

「なら最初からそう言ってくれれば……」

 私はてっきり魔王を倒すのが目的なのかな? とか思ってた。

「流石に魔法少女本人に、あの段階で再利用計画を話すのは躊躇われたのじゃよ」

「まあ、普通に嫌ですもんね、そんなの」

 そんな戦う為だけに生かされてるみたいなの、誰だってごめんだ。

 まあ、普通なら、だけど。

「そうじゃろう、だから――」

「でも、私は魔法少女なので、いいですよ」

『え?』

 今度は私以外の全員が驚いた。

 そんなに驚くことかな。特に魔法少女組は。

「だって、魔法少女は皆の幸せの為に戦うモノですよね。なら、それも仕方ないし、それで誰かが救われるなら、戦いますよ」

「メグル……お主、魔法少女らしい部分、あったんじゃな」

「おっと手が滑って、収束砲が」

「それ手が滑っても出んよね?!」

 私は実際手を滑らせて虚空に収束砲をぶっ放した。

「お主、出会った時から思っとったけど、結構すぐ手が出るのう」

「魔法少女なので」

「それで全部解決できると思ったら大間違いじゃからな?!」

 あれ? 駄目だったかな。

「まあとりあえず、貴方は、ノモルワールさんは邪神じゃないし、ノモルワは復活しそうだし、私の旅の理由はある程度達成できたってことでしょうか?」

「まあ、そうなるのう」

「後はどうすれば?」

「うむ、できればその敵意むき出しの魔王を説得して、魔法少女の世界を作り、ノモルワや世界中に広がる悪意に対抗する世界を作りたいのじゃが……」

「あぁ、そんな話でしたね」

 魔法少女再利用計画だっけ。再利用なんて、ガッツリ私の魔法名と被ってる計画の進行役が私だった辺り、すごーく意味深だよね。意図的かな??

「何故私が貴方達神の思惑通りに動かなければならないのかしら」

「別にワシらの思惑通り、というか指示を出そうと言うのではない。ただ魔法少女同士手を取り合える世界を作って、悪意に立ち向かって欲しいのじゃよ」

「……私は、世界を救って、その世界の人々に命を狙われたわ。人に、助ける価値なんてない」

「それは一部の人間は、そうかもしれん。いや、そういう悪意こそ、倒すべき敵かもしれんぞ?」

「ふん、なら魔法少女が気に入らないと思えば、誰でも粛清してもいいって訳ね?」

「そうは言わん。その為にメグルを送り出し、こうしてこの対話の場がある」

「指示出しはしないんじゃなったの?」

「そんな偉そうなものではないお願いじゃ」

 そう言って神様であるノモルワールさんは席を立ち上がり、頭を下げた。

「どうか、数多の世界を救う希望になって欲しい。君たちにしか頼めないことじゃ……」

『…………』

 神様に頭を下げられ、私を含め流石の魔王も黙り込む。

 どうしたらいいのかなこれ。

 とりあえず……。

「こういう時は、次週に続きます!」

「お主、かわらんのう……」

 というわけで、私達魔法少女の答えは次週に持ち越されることになりました。


ご読了ありがとうございました!

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