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Re47 魔法少女と黒魔術の儀式

「なあメグル。本当に大丈夫なのか」

 ノワール卿に連れられて黒魔術教徒の集会に徒歩で向かう途中、アルクが面倒臭そうに聞いてくる。

「大丈夫じゃなくても行くしかないよ。他に手がかりも無いんだし」

「それはそうだが」

 まあアルクが心配するのも無理ないよね。危険な人たちの集まりの可能性もあるし、戦力的にはアルクと私が居るから何があっても平気だけど。そもそもの目的は邪教に潜入、調査して邪神について知ることだし。

「とりあえずは様子見するしかないよ」

「仕方ないか」

 今はまだ、ノワール卿に付いて行くしかない。

 そもそも私達が探している集団とも限らないし。欲しい情報があるとも限らない。

「ところでメグル殿は黒魔術についてはどのくらいご存じですか」

「へ?」

 私とアルクが話していると、先頭を歩いているノワール卿に質問を投げかけられた。

「えっと、ほとんど知りません」

「そうですか……では少しばかり説明をさせて頂いてもよろしいですかな」

「はい」

 正直言って黒魔術には興味ないけど、まあ情報収集する時に何も知らないよりはいいと思う。

「黒魔術には複数の種類があります。霊術や呪い、死術に操術などですな」

「呪いや死術は分かりますけど……操術って?」

「対象を意のままに操り、時には精神さえも書き換え、好きにするという物です」

「え、こわ」

 何それ、超が付くほど危険な魔術じゃない?

「基本的にこの世界では禁術とされている物ですが、それとは別にもう二つ程特殊な物がありまして、我々は黒魔術の中でも、その特異の魔術を持って神を信仰するモノです」

「はあ」

 その例外っていうか、特殊な魔術って何だろう。

「その特殊な魔術とはなんだ」

「アルク殿も興味がおありですか。いいでしょう。我々が扱う特殊魔術の内、一つは神魔術です。これは神の御示しになる奇跡を魔術という体系で疑似的に再現する物です」

「なるほど、如何にも愚か――もごっ」

「それは素晴らしいですね!」

 あっぶない。この阿保の子は何を言おうとしているのか。ここで喧嘩売るようなこと言って情報が得られなかったら世界の危機かも知れないのに。

 まあ、神の奇跡を自分たちの手で再現しようって言うのはなんか、欲深で業の深い人間という種族らしいと言えばらしいんだけど……。

「……大丈夫ですか?」

「はい、平気です」

「そうですか。それで、もう一つの魔術が、魔女術です」

「魔女術……?」

 なんかもう、名前からしていいイメージ無いね。大丈夫かな。

「始まりの魔女と呼ばれるお方の魔術を学ぼうという物ですな。実を言うと、これがメグル殿が魔女と言われる原因にもなって居るのですが……」

「そうなんですか?」

 でもなんか、この段階で既に、始まりの魔女ってもしかして、と思う。

「メグル殿が使った魔術、それが始まりの魔女様とそっくりなのです。それ故にメグル殿の戦いを見た一部の者から魔女との声が上がっているのです」

「あぁ……はい」

 これはもう、ほぼ確定だよね。

 始まりの魔女=魔王、だと思う。

 はぁ、魔王と同列に見られてるんだね……私。

「まあ私はメグル殿が魔女とは思っていませんが」

「それは助かります」

 そうだよね、だから私を助けてくれたんだもんね?

「ですが、魔女の後継とは思っております」

「助からない……」

 そっか、そっちかぁ。

 つまり、自分たちが研究している魔女術の元、魔女と言われている魔法少女の魔術を使う私を後継として招きたかったから、助け出したんだね。

はははは…………はぁ。

「ぜひ我々をお導きください」

「ま、まあ……善処します」

 邪教って聞くとオカルトの悪い人の集団っぽいけど、そもそも彼らが悪いことをしているとは限らないし……うん、いや、してるかもだけど。

 とりあえず内情を調べて、それからどうするかだね。

「おっと、そろそろ付きますよ」

 しばらく城下町の路地裏をあっちこっち移動した後、いつの間にか下水脇を通っていた。

 ここに集会場があるの? なんかいかにも表沙汰にできない事してますって感じだけど。

「ここです、ここが我々黒魔術教徒の集会場です」

「ここが……」

 それは……なんということか。この場所には下水道のハズなのに、やたらと開けた場所があり、そこに、小汚い教会が立っていた。

 流石に下水にあれば流石に色々汚くはなるだろうけど、それ以前になんでこんな場所に教会を立てようと思ってしまったのか。というか、これ、隠れる気あるの? 無いの?

「さあメグル殿、早速参りましょう」

「は、はい」

 いやあ、なんかあの教会に入るのは嫌だなぁ……なんかその、汚い……。

 中に通されると、既に集まっていた教徒が三十人以上は居た。

 そして教会の奥にはなんか禍々しい石像と祭壇。そこに……あれは、何。

「ノワールさん、アレは」

「あぁ、あの像ですか。アレは我々が信ずる神『ノモルワール』様ですぞ」

「いや、そっちじゃなくて」

 なんか今、変な名前が聞こえた気がしたけど今は、そっちじゃない。

「と、言いますと……祭壇の上の供物ですかな?」

「供物……」

 ノワールさんが供物と言ったのは……どう見ても子供だ。

 人間の、まだ十歳にもならない、子供の……あれは、死んでるの?

「メグル殿はお優しいですから、気になってしまうのですな。しかし、何も問題はありませんぞ。あの子供はスラム街で生活に困っていた親子から買い上げたものです。感謝こそされても文句を言われることなどありません」

「……そう、ですか……」

 ヤバい、今にもキレそうだ。

 魔法少女として怒りに任せて暴れると言うのは褒められたことじゃない。だから、今は、我慢しなければ。

「ささ、メグル殿、いえ、メグル様、祭壇へどうぞ。祭壇にある石像に嵌っている宝玉、あれこそは我々が信ずる神ノモルワール様の元へとつながる鍵にございます」

「アレが?」

 これは。何と言うかラッキーだ。つまりあれさえ手に入ればここにはもう、要は無い。

「アルク、わかってるよね」

「……お、おぅ」

 アルクには私が考えていることは分って貰えたみたいだ。

 早速、私は祭壇に上がる、そして石像から宝玉を取り出し、祭壇の少年を見る。

「……死んでる」

 こんな酷いこと、あるだろうか。体中痣や切り傷だらけで。逃げられない様に足と手の腱も切られている。酷い。酷過ぎる。

 私がそんな好景に吐き気と苛立ちを覚えている中、反対に教徒達のボルテージは最高潮だった。みんなワーワーギャーギャー騒いでる。

 はぁ。まったく、これだから。

「バインド、魔光球、物理、シュート――はい、終わり」

 バインドで拘束してから全員物理攻撃で気絶させた。

「メグル、お前相変わらず暴力魔法少女だな」

「魔法少女が暴力で物事解決するのは王道だよ」

「それは覇道だろ……」

 確かにそうかもしれない。

 でもまあ、鍵も手に入ったし、いいよね。

 とりあえず私は目の前の少年が死んだままなのが非常に気分悪いので時間の巻き戻しや再利用を駆使して生き返らせた。

 その後、寝ている間に街の比較的安全そうな場所に届けた。

「さて、これからどうしようかな」

「まさかいきなりそれで乗り込んだりしないだろうな?」

「流石にしないよ。勝てるか分からないし」

「そういう問題か……?」

 さて、これからどうしよう?

 ここまでの旅は比較的順調だったけど、今回も上手く行くと良いな。


ご読了ありがとうございました!

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