Re44 魔法少女と神様(?)
「ここが、地球の神様がいる場所……ですか?」
レイナさんが出してくれたゲートを潜ると、見知らぬお花畑に出た。
こんな場所で神様と会った記憶なんて無い。もっと花の無い、どころかテーブルとごちそうしかない寂しい場所だった。
「そうだが、お前の知ってる場所とは違ったか?」
「えぇ……まあ。時音さんはどうですか?」
「私はここ、来たことあるわよ」
「え?」
それってどういう事だろう。もしかして、これでさ、私が会ったのと同じ神様だったら私、扱い悪くないかな。私も会うなら絶対こっちの方がよかったし。
「メグルは知らないみたいね。どういうことかしら」
「どういう事なんでしょうね……」
まあでも、私出会って直ぐに魔導砲で空間に穴開けて出てこうとしたしなぁ。こんな綺麗な場所に招待しにくい客ではあるかもしれない。
「さあ、行くぞ」
「あ、はい」
私と時音さんが話してるのを待ってたレイナさんが先導し、歩き出す。
神様、どんな人だろう。あったことある人だと良いんだけど。
「着いたぞ、彼女がこの星、ひいては世界の神だ」
「え……彼女が……??」
「ん??」
そこに居たのは、えっと、神様……? なのかな。どっちかというとエルフに見えるんだけど??
「なんですのお前ら」
「い、いえ、人違いでした」
「言うならば神違いだが。間違いなく彼女はこの世界の神だ」
「神ですわ」
「凄いドヤ顔してくる」
ドヤ顔で自分は神だと胸を張るこの人が神様。どう見ても神でも人でもなくエルフだけど。
「彼女は訳あってこの世界の神をしてくれているエルフでな。とは言っても、たまに、本当に極稀に神っぽいことをしているだけで、いつもは遊んでいるが」
「いつも遊んでますわ」
「何故ドヤ顔……」
またもドヤる神様。何この人。変だ。
「時音さんがあったの、この人ですか?」
「違うわね?」
「あれ??」
どういうこと? 会ったのはここなのに神様が違うの?
「あぁ、それならわたくしが神様をなんとなく始めてみた前の神とあったんじゃないんですの? わたくし、魔法少女とかあったこと無いし」
「え」
なんか凄くツッコミどころが多いこと言わなかった?
なんとなくで神様って始められるの? とか。
前の神様はどうしたの? とか。
なんで魔法少女だってわかったの? とか。
「なんとなくで神にはなれるし、前の神は神位の何かに消滅させられてますわ。で、魔法少女なのは見た目で分かりますわよ」
「なっ」
こっちの考えを読んで……?
「できますわよ。神ですわよ」
「レイナさんも……?」
「出来るわけないだろう。神とてそこまで万能じゃない。もし万能ならそれこそ世界なんて神が救えばいいだろう」
「おぉう、説得力」
っていうか神様が世界救えば良くない? とか人が考えそうなこと神さまが言っちゃうんだね。大抵神様って下界には手を出せない理由とかあったり云々、あるものだけど。
「あ。そうだ、それなら私が会った神様は一体?」
「うん? あー……なるほど。メグル、貴女があった神ね、それ邪神ですわ」
「ふぁっ?!」
またサラッと人の心を読んで……?
「心じゃなくて今見たのは記憶ですわ。で、それ、邪神ですわよ」
「え、あ、はあ……」
この神様、凄く怖いんだけど。
心も記憶も読み取れて、なんとなくで神様やれちゃうだけのスペックがある。
でもよかった……この神様的だったら絶対勝てない。無理。わかる。
「目と目があったらバトルですの? よしっ――」
「ポケモン感覚で瀕死にしてこようとしてる?!」
神様が袖をまくるポーズをして向かって来ようとすると一気に彼女の魔力圧が上がってわかった。これ、絶対死ぬ。魔力を展開されただけで圧力で圧殺される。
「冗談ですわよ。良いツッコミですわ」
「は……ははは、どうも……」
ノモルワが神様の赤ちゃんって言われても信じるくらい、赤子と完全武装の英雄くらい力の差が違う。本当に敵じゃないよね? 後で実は真のボスとか言わないよね。
「言わないですわ。どっちかと言えば観客ですわ」
「観客……?」
それってどういう意味だろう。
「見てるだけ。そう、神様はいつも見守っていますわ」
「またドヤってる……」
その言葉、もっと慈愛に満ちた顔で言って欲しかった。ドヤ顔で言われるとなんのありがたみもない。
「さて、それでその邪神、どうするんですの?」
「えっ……えーと、何が目的とかは……?」
「知ってるけれど教えませんわ。そこから紐解いていく方が楽しいでしょう?」
「楽しいとか、そういう問題じゃないと思いますけど……」
「他人事って楽しですわよね?」
「最低な発言で同意求めないでくれます?!」
「ナイスツッコミですわ」
「ツッコミを評価されても!」
なんなのこの神様。凄くふざけてない?
「正直、神不在だと困るらしいから、一応神の座に着いてはいるけれど、仕事はしない約束ですのよ。だから、今回のこれはかなりのサービスですわ」
「そ、そうなんですか……?」
なんか彼女のいう事が半信半疑っていうか、また冗談な気もしてレイナさんに聞いてみた。
「そうだ。彼女は我々神々の力不足で空いた穴を補ってもらっているが、その代わり神の仕事は我々で分担している」
「な、なるほど」
「お飾りですわ」
「自分で言うんだ……」
でもそういう事なら、まあ。一応あれが邪神だって知れただけマシ、なのかな。
「なあメグル、我、思うのだが」
「うん? どしたの?」
「こやつがお飾りなのを知ってたなら、ここに来る必要、無かったのではないか? 最悪会えないまであっただろう?」
「……レイナさん?」
アルクの言葉で私も気づいた。確かにそうだと。
「いや、うむ。もしかしたら彼女が仕事を、本当にたまたましてるのかもしれない、と思ってな」
「絶対無いですわ。今回はなんか面白そうな予感がしたからちょっと顔出しただけですわよ。この後遊びに帰りますわ」
「そ、そうか」
なるほど。うん。まあ……いっか。
「貴重な情報、ありがとうございます」
「ふ、別に大したことはしてないですわ」
「そうですね」
「うぐっ……メグル、結構いい性格してますわね」
「魔法少女向きだと自負してます」
「絶対向いてないですわ……」
そうかな。向いてると思う。なんかこう、向いている。
「ちなみに場所とかは教えて貰えたりは?」
「しないですわね」
「手がかりとかは……?」
「ふむ」
とりあえずダメもとで幾つか訊いてみると神様が悩み始めた。
「……そのくらいなら、いいですわよ」
「本当ですか!」
「えぇ。聖王国にある、邪教集団辺りにヒントが転がってますわよ」
「な、なるほど?」
なんかわりとふわっとした手がかりだけど、無いよりずっといい。
「じゃあ私、これから聖王国に行ってみます」
「いってらですわ」
「では、帰るか」
地球の神様に見送られて、レイナさんと共に帰ることになった私達。
戦闘にならなかったのは本当に良かったけど……時音さん、来た意味ほとんどなかったな……。
若干時音さんに悪いなと思いながらも、とりあえず私達は無事、元の世界に帰って来たのでした。
ご読了ありがとうございました!




