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Re43 魔法少女の助力

「――という訳で、協力してください」

「……ふうん」

 レイナさんとの話の後。私は時音さんを訪ねて魔王城に来ていた。

 今更だけど当たり前のように魔王城に出入りするって変じゃないかな。

「まあ、真央の目的については私も完全に把握していたわけでは無いけど、貴女の言葉が本当かどうかは疑わしいわね。かといって真央に直接聞いても教えてもらえないだろうけれど」

「ですよね……」

 まあわかってたけど、そう簡単に手を貸しては貰えないかぁ。

 もしかしたら時音さんなら魔王の目的を知ってて協力してくれるかもと思ったんだけど、どうしよう。

「とは言っても、貴女がそんな嘘を吐くメリットが無いのよ。だからいいわよ、行くわ」

「え、マジですか」

 これにはかなり驚いた。さっきまで疑ってる様子だったのにどうして。

「マジよ。断られると思ったの?」

「えぇ、まあ。敵ですし」

「そうね。でもそんな敵の城に一人でのこのこやって来て、助けを求める程貴女を愚かだとは思ってないわ。物騒な奴だとは思ってるけど」

「なんか一言多くないですか……」

 私物騒な奴と思われてるの? 心外だなぁ……。

「それで、すぐ行くのかしら?」

「そうしたいと思ってます」

「そ」

 それだけ呟くと、時音さんは私の手を取った。

「な、なんですか。私ソッチの気は……」

「貴女私をなんだと思ってるのよ。違うわよ。ただ、そう、お願いがあるのよ」

「お願い……?」

 なんだろう、お願いに来たのは私のハズなんだけど。

「貴女はもう私と真央の関係を知ってると思うけれど、だからこそ、私ではなく、貴女に頼った真央の判断は……悔しいけど、きっと正しいのよ」

「え、あ、はあ」

 これって神様の目的とか、そういう色々な謎とか、陰謀(?)に対する魔王の策略に私が利用されてることを言ってるのかな。

「私じゃあ真央の力にはなれないわ。真央の願いを叶えるには貴女の力が必要なの。だからお願いよ。真央を……助けて」

「はい」

 そっか、そういうお願いか。なるほど。それなら問題無いね。

「はいって……やけにあっさり頷くじゃない」

「助けを求める人を助けるのは魔法少女として当然だと思いますけど……」

 まあ、求められなくても助けるけど。求められたらそれは絶対に変わる。絶対、助ける。

「貴女って魔法少女らしいんだか、らしくないんだか、全然わからないわ」

「それ良く言われるんですよね」

 らしくないも、らしいもどっちも言われる。もしかして中途半端なのかなぁ。

「はぁ。それなら、私も助けないとね。助けを求めてる物騒な魔法少女を」

「助かります」

 さてそれじゃあ、早速行こうかな。

「時音さん、このまま手を握っててください、先ず鍵でレイナさんの場所に飛びます」

「わかったわ」

 時音さんの了承を得た私は、直ぐに鍵を起動した。

「到着しましたよ」

「凄いわ。一瞬ね。操子もだけど、転移ってホントに便利で羨ましいわ」

「まあ時の制御も大分便利ですけどね……」

 無い物ねだりか、隣の芝生か。人の持ってるものって良く写るよね。

「早かったな。それにしても本当に魔王の手先を連れて来るとはな……」

 到着した私達を、レイナさんが出迎えてくれたけど、時音さんに関してはちょっと歓迎してない感じだね。まあ、敵だもんねぇ……。

「彼女が神様って訳ね。ふうん。見るからに弱そうね」

「貴様ほどではないぞ時の魔術師。時間制御など神には通用しない。ただの魔術師だからな」

「あ?」

「あん?」

「うわぁ」

 何この二人仲悪っ。ていうか神様が「あん?」とか言うんだね。ガラ悪いなぁ。

「まあまあ、落ち着いてください。どっちもどっちですよ」

「メグル、貴女自分も一言多いわよ」

「そうだ、メグル。悪いのはこの女だぞ」

「いえ、どっちも同じような強さかなぁと」

「「あぁん?」」

「おや?」

 どちらも同じくらい強いですよ。喧嘩しないでと言ったつもりなのに、何故かヘイトが私に向いている。

「確かに、メグルからしたらどっちもどっちかもね。私よりずぅっと強いものねぇ貴女」

「確かに、あの邪神を打ち取った者からすればアレを総力戦で倒せなかった我々なぞ比べるまでもないか。そうかそうか」

「おぉっと……」

 なんか凄い怒ってる上に結構盛大に勘違いさせてしまったようだ。

 そっか……この二人からしたら私ってそういう風に見えちゃうんだね……。

「メグル、この二人めんどくさいな?」

「「は??」」

「アルク、ふと出てきて炎に油ぶちまけるの止めようね」

 私もめんどくさいなと思ったけど。より面倒になるから言わなかったのに……。

「仕方ない、ここで決着付けてあげるわ」

「良いだろう、相手をしてやる」

「ちょっ、地球の神に合う前に消耗しちゃうから止めましょう?」

「なら貴様がその実力で止めて見せるか、メグル」

「え」

 私がこの二人の喧嘩を、実力行使で?

「良いんですか?」

「出来る物ならな」

「じゃあ――」

 もう面倒だから二人とも一発叩いてから言う事聞かせようかと思った矢先だった。

「あっ、あー! 私真央に頼まれてることもあるし、早く用事終わらせたいんだけど?」

「え? 大丈夫ですよ、すぐ終わりますから」

「いや! 絶対嫌!! 貴女一回私達の事ボコって従わせようとしてるでしょ!」

「してますけど」

「ほら! ほら来た!! やっぱり物騒じゃない!!」

「えぇ……」

 だって、レイナさんがやれるもんならやってみろって言うから……。

「いい? 私は絶対、ぜーったい貴女とやり合ったりしないからね?!」

「そうですか。まあ大人しくしてくれるならそれはそれで。じゃあレイナさんだけしばきますね」

「え。え?」

 私がレイナさんに向き直ると、レイナさんが目を泳がせてきょどった。

「わた、私とこの女が戦うのを止める為に、え、戦うんだよな? ならもうしばく必要無いんじゃ……」

「でも、やれるものならやってみろって」

「いやっ、でもほら、な? 三人でやりあうって、そういう話だっただろ?」

「いえ、三人でって言うか、二人を私がしばくって話だと思ってましたけど」

「えぇ……」

 なんかレイナさんの顔がみるみる青ざめてく。

「おま、お前、神様相手に凄く暴力的じゃないか?」

「やれって言ったのレイナさんですよ?」

「そう、そうだけど。でもほら。えぇ……? わかった、その生意気言ってすみませんでした……正直一対一とか勝てる気しないから止めてください……」

「おぉ?」

 なんだか今度は急にしおらしく。どうしたんだろう。

「メグル。レイナとはここに初めて来たときに戦っただろう」

「うん? あぁ、ヴァルキリーとか、そんなのだっけ」

「うむ。アレはこれの分身みたいなものだが、一体創るのに膨大な魔力と時間が要るのだ。それをアレだけぶち壊されてるからな、コイツとしてもお前の実力は身に染みているはず。それでもさっきまで態度がデカかったのは三人で乱戦になればちょっとは良い戦いして自分の評価を回復できると思ったからだろう。以前ボロ負けしてるからな。いいとこ見せたかったんだ、多分な」

「おぉ……」

 そういう神心があったんだね。なるほど……。

「アルク貴様、同じ神の癖にぺらぺらと人の気にしてることを喋りおって……」

「そう言うなレイナ。我がこうして止めなければ一発くらいはポカっと叩かれてたかもしれんぞ」

「うっ……それは嫌だ……」

 え、私なんだと思われてるの。流石にやる気ない相手を叩いたりしないよ……。

「だからメグルも、やれるもんなら的な挑発にイラっとするのを止めるのだ」

「え、別にイラっとはしてないよ……白黒はっきりしとこうと思っただけで」

「それを止めろと言ってるのに……グレーにしといてやれ。相手の立場とかプライドもある程度気にしてやるのだ」

「おぉ、長年生きた神様に言われると含蓄あるなぁ」

「そうだろう。特に我なんてお前にぶん殴られて従わされてる一番の被害者だしな」

「え?」

「嘘。我たち親友だよな」

「うん」

「「こっわ……」」

 なんか時音さんとレイナさんの私を見る目が恐怖に満ちてるんだけど。なんで?

「それより、喧嘩も済んだなら、行きましょうか」

「え、あ、そうだな……」

 レイナさんはそう言って、直ぐに謎の空間を開いた。

「これがメグルがあったであろう神の元に続くゲートだ。私はその、あれだ。留守番してるから」

「帰りに困るといけないので一緒に来て欲しいんですけど」

「えっ……あ、ハイ、わかりました」

「なんで敬語……?」

 よくわからないけど、一緒には来てくれるみたい。

「ねぇメグル、貴女って堅気よね?」

「へ?」

 急に何言い出すんだろう時音さん。

「い、いえ。何でもないわ。行きましょう」

「? はい」

 なんだったんだろ今の質問。

 まあ、なんだかよくわからないけど、二人とも大人しくなったので、最終的には全員で地球の神の元へ行くことになったのでした。


ご読了ありがとうございました!

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