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Re39 魔法少女の魔王

「あー、もう……何考えてるのあの魔王」

 いきなり月を落とすし、なんか狂ったように嗤ってるし。

 こんなことして何になるのかな……これじゃあ魔王の言ってた魔法少女の国だか何かも作れないよね? この星自体、どうなるか分かったものじゃない。

 っていうかこんな場所に落としたら魔王も死ぬんじゃないかな……考え無しにも程があるよ。

『ど、どうするメグル』

「うん?」

 何だかアルクは動揺した様子だ。どうしたのかな。

『どうしたもこうしたも、月が落ちてきているのだぞ?! このままでは世界が!!』

「え、あぁ。そういう」

 まあ確かに、普通に考えたらピンチだよねこれ。

『なんでそんなに落ち着いているんだ! あ、アレか? 魔導砲で壊せるとかか?』

「いやいやまさか。魔導砲じゃ全然威力足りないよ。表面削れるくらいじゃないかなぁ」

『駄目じゃないか! じゃあなんだ、スッパリ諦め付いてるとかか?!』

「そんなまさか……単になんとかできる方法があるだけだよ」

『なんだと……?!』

 いやあ、アルク今日はテンション高いなぁ。何か良いことでもあったのかな? ってこれはちょっとアロハっぽい?

「とは言えこのままじゃ無理なんだよね。だからさアルク、とりあえずこのフォーム解除しよっか」

『は?!』

 いや……ホントに今日のアルクはリアクション大きいね、焦ってるのかなぁ。

「アレを破壊できる魔術なんだけど、このフォームだと使えないから、解除したいんだ」

『そう、なのか……』

 なんかちょっと残念そう?

『我では力になれないか』

「うーん? そう言うのとは違うよ。今から変身するのは火力に特化したスタイルで、総合力なら今の方が断然良いんだけどね……今回はバランスより火力かなって」

 実際あのフォームは変身すると魔力の出力が著しく上がるけど、防御系の魔術の使用に制限を掛けている。自ら縛りを課すことで他を底上げしてる感じの、何かよくある強化方式。

『では、何か他にできることはないか』

「うーん、魔王が邪魔しないか、見守ってて欲しいかな。 ずっと嗤ってるならいいけど、邪魔されると困るから」

『わかった、こちらからは仕掛けず、魔王が動いたら対応すればいいな?』

「そうそう、よろしくね」

 さてさて、話も纏まったし変身解除っと。

「じゃ、ちょっと行ってくるね」

 私はそう言い残すと、とりあえず雲の上まで突き抜けた。

「久しぶりだなぁ……このフォーム」

 確か以前に使ったのはノモルワが世界を滅ぼす為に溜めていた破壊エネルギーを相殺する時だっけ? あの時は失敗したから、今度は気を付けないと……。

「エクリプスフォーム……!」

 浸蝕の名を持つこのフォーム。使うのは非常にリスクのある力。

 なんとも名前から分かりやすいことに、これ、使えば使う程体を蝕まれたりする。一回変身に魂の寿命一年。一分経過毎に一月持っていかれる。

 その上攻撃に特化しているから防御系の魔術か使用不可能。

 危なっかしくてこんなのまともに使ってられないけど、こういうもう力業しかないような状況では役に立つ。

 ……うん? なんだろう、今凄く違和感があったんだけど。

「ま、いいや。とりあえず……魔術展開……っと」

 この魔術はかなりぶっ飛んだ威力の魔術で、それだけに扱いが危険で、集中力が必要。

 アルクと合体してるとお互いの精神が繋がってて、ここまで魔術一つに集中できないので、相性が悪い。それにもし集中できても、変身する時にアルクの寿命まで使っちゃったら悪いからね……。

「さて、月が近づき過ぎない内に落としちゃお――行くよ、超新星爆撃砲!!」

 魔術発動のトリガー、技名叫んだだけだけど……それと共に、とんでもない負担が体に掛かる。

 身体能力の強化とかは元々してたから、かなり頑丈になって居るはずなんだけどそれでも軋む、と言うか何か、魂がゴリゴリ削られてる感覚がする。

 やっぱりこの魔術も使うの嫌だなぁ……。

使うだけで寿命十年持ってかれるし……体強化しててもかなりの圧と痛みを伴うし。何なら名前が凄く痛い。

 私の仲間で、天体とか好きだった子が付けてくれた名前だけど、何でも「超新星爆発にも勝るエネルギーと威力があるこの魔術にピッタリ!」らしい。そもそもなんだろう、超新星爆発って。でもなんか技名に超とか付いてるとちょっと痛々しさがある気がする。私だけかな……?

「ふはぁっ! お、終わったぁ」

 色々考えている間にも、魔術が終わり、月も跡形もなく消えて……あっ。

「……再利用を繋いで距離伸ばしてから空間魔法で月消してもよかったね……」

 きっとこれがさっき感じた違和感の正体だ。破壊する必要、無いね?

「はぁっー……気づかなければよかった……」

 アニメや漫画みたいに上手く行かないなぁ……。見てる側だと「いや、そんなことしなくてもこうしたらいいじゃん」みたいな事思うのに。実際やる側になるとうっかりやらかす。

「まいいや。それよりアルクは大丈夫かな」

 特に戦闘音とかはしないけど。あの魔王相手だとそれ以前にやられそうで心配。

 さっさと降りよう。

「アルク、大丈夫?」

「あ、あぁ。お前の魔術を見て、嗤いは止まったが。それ以降ずっとあの調子でな」

「うん?」

 魔王の方を見ると……うわ、気持ち悪い。なんか嬉しそうにニタァっと笑って空見上げてる。なんて気持ちの悪い……。

「何がそんなに面白かったのかなぁ……」

「さあな……にしてもあの魔術はなんだ。恐ろしい威力だったが」

「うん? まあ、とっておきの必殺技?」

「必殺って……アレを使うような相手が居るのか?」

「……生物に向けるモノではないかもね」

 以前、ノモルワには使ったけど。あの時は破壊エネルギーの相殺の為だったし……まあ失敗して、その射線上にあった星を大量に消し飛ばしてしまったんだけど……今回は手加減したし、きっと大丈夫。多分。

「それで魔王さん。そろそろやめにしない?」

「……うん……? あぁ……そうね……もうそろそろ決着を付けましょうか」

 なんかさっきまでハイテンションで嗤ってたのに、今度はやけにしんみりしてる。

 狂人怖い……。

「さて、貴女は私の魔法をああいう形で止めたけど……この勝負、貴女に勝ちはないのよ」

「まあ、色んな意味で無いですよね」

 そもそもこんなしたくない闘いしてる段階で負けてるようなものだ。仮に魔王に戦闘で勝っても利益とか得すること何にもないだけに勝っても負けてるようなものだし。

「私の魔法、その正体がわからない限り、貴女に勝ち目なんて無いの」

「あぁ、そういう話ですか……」

 なんだろう、どんなズルイ魔法なのかな……。

「だから、少しだけ、貴女という正義の魔法少女に希望を与える為に教えてあげるわ。私の魔法を」

「それはまた、随分と余裕ですね……」

 なぜわざわざそんなことするかなぁ。いや、勝てる可能性増えるし、有り難いけど。

「私がこの力を手に入れたのはそう……私が九歳だった頃……」

「え? あ、あー……」

 そっか、そういう、そっちか。

 つまりこの魔王が魔法について教えてくれるのは、自分語りしたいんだね……。

 この魔王はそういうの、本当に好きだなぁ……。

「その話、長くなります?」

「え……まあ、多分?」

「じゃ、来週でお願いします」

「えっ……」

 今回もそろそろ尺だし、うん、長い話はまた来週お願いしたい。

「また、そういう感じなの?」

「そういえば以前もこんなことありましたね……まあでも、はい。お願いします」

「そ、そう……」

 という事で、魔王の自分語り(魔法について)は、次週に持ち越させてもらうことになったのでした。


ご読了ありがとうございました!

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