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Re34 魔法少女と神の国

「ここが神の国……?」

 私は魔王から貰ったアイテムで神の国とやらに着いたのでしょうか。

 周りは白い空間に雲だか霧だかわからないようなもやもやふわふわしたものが漂う、ただただ広い空間でした。

「もっとこう、ギリシャとかの神殿みたいなのがあると思ってたんだけど」

 この空間からアイテムを盗んできたっていう事のハズなんだけど、なんだろう、転がってたのかな? こんな殺風景な場所で保管も何もないもんね。

「うーん、アルクはどう思う?」

 私は魔王と話してる間も終始無言だったアルクに問いかけた。

『ここは神の国ではないぞ』

「ふぇ?」

 なんでそう断言できるんだろう。っていうか、ここ違う場所なの?

『我はエンシェントドラゴンなどと呼ばれているが、本来は太古から生きる龍神だ。他の神にもあったことがあるが、奴らはこんな場所には居なかったな』

「そ、そうなんだ」

 それだと私、神様をトカゲ呼ばわりしてぶん殴って瀕死にして、神様と契約して変身してるってことにならない?

 ノモルワも邪神だったし、神を殺して殴って契約。うわ、私って、うわぁ……。

『どうしたメグル、そんなに気にすることはないぞ。お前は神をも従える暴力魔神なだけだ』

「その言い方絶対根に持ってるよね……」

 これは結構ショックだよ。

 これじゃあピンクの悪魔(桃魔)扱いされるわけだよ……。

「はぁ、それで。ここってなんだろう?」

『多分トラップエリアだな』

「トラップエリア?」

 それってなんだかとっても嫌な予感がするんだけど?

『まあ、神の住居から鍵を奪えばこういう罠も用意されるだろう。察するに鍵を盗まれた神がそれを使って侵入するモノのみに反応する異次元トラップを仕掛けたというところだろう』

「うわぁ……私何も悪いことしてないのに」

 まあ、泥棒が盗んだ鍵を使って人様の住居に上がり込むのを悪いことではないとは言わないけれど、でも、私の所為じゃないよね……?

「これって出られると思う?」

『空間転移を試してみてはどうだ』

「うーん?」

 出来るかな? やってみようか。

「……無理っぽいね。どうなってるんだろうこれ」

『転移した傍からこの空間に引き戻されているような感覚があるぞ』

「そういうのわかるんだ。野生の勘?」

『つまり我は野生の龍神か』

「なんかシュールだね」

『むしろ悲しくなってきたぞ』

 あらまあ、龍神様を野生のとか言っちゃったから落ち込ませてしまったかな。

「と、兎に角ここを出よう?」

『そうだな……しかしその前に、アレを視ろ』

「うん? ……あー、うわぁ……」

 アルクに言われて周りを見ると、なんか物騒な物が並んでいた。

「何かな、アレ。白くてふっさふさの羽が生えてて、鎧姿で、剣とか槍とか持って……?」

『ヴァルキリーだな。面倒な物を配置していたようだ』

 ヴァルキリーって言うのはあれかな、えっと、戦場で死んだ人を攫って兵士にするアレだよね?

 なんか数十は居るんだけど?

『お前、何か今凄く失礼な解釈をしていなかったか?』

「え、違ったっけ?」

『いや、概ね合ってはいるが……ラグナロクの為の戦力になりうる戦士や英雄を見定めて天界に誘うものだ』

「拉致だよね?」

『言い方が……』

「強制連行からの強制労働」

『お前実は神々嫌いだろう?』

「そんなことはないよ」

 嫌いじゃないよ、苦手なだけだよ。

「それで、あれって襲ってくると思う?」

『さあな。そもそも彼女達がここに配置されている意味が分からない。そもそもアレは戦死者を選定するのが仕事のハズだ。防衛システムとして使うならエインヘリャルでいいはずだ』

「そうなんだ?」

 そう言うのはちょっとよくわかんないけど。うーん、それなら戦わずに済むのかな?

「ねえ、でも、武器構えたよ?」

『……そうだな』

「ねえなんか、魔術まで発動してない?」

『……そのようだな』

「……これ、マズくない?」

『……そうかもしれん』

 いや、正直戦えば勝てるんじゃないかなとは思うよ?

 でも、ほら、相手の手の内というか目的もわかない内から実力行使は私の本意じゃない。

「あの! 話し合いとかできませんか?」

 なので私は語り掛けてみたんだけど……。

「できぬ。貴様は神の領域の侵犯者。生かして返さぬ」

「わー、言葉は通じたけど話は通じ無さそう」

 私が悪い魔法少女じゃないってわかってもらう事は出来ないだろうか?

 うーん。とりあえず、回避に徹して説得してみようかな。

「って思ってる傍からスッゴイ弾幕張って来るじゃん!!」

 なんか凄い数の魔術と剣、槍や戦斧が飛んでくる。

『メグル、気をつけろ。奴ら神器まで投げてきてるぞ』

「それってっ、ヤバいのっ?」

 こっちは結構回避で手一杯なので、できれば私の意思だけ汲み取って会話を続けて欲しいところです。

『うむ、恐らく原型を模して作った量産の贋作だが、それでも神の作った武器だ。あれだけの膂力で投げていれば当たれば国一つくらいはたやすく吹っ飛ぶだろうな』

「そんな威力の弾幕張らないで欲しいんだけど?!」

 これ話し合いする気がある人の出す火力じゃないよね…………なんか人の事言えない火力をしょっちゅう出している気がするけど。

「あの! 本当に私そういう侵犯者とかじゃなくて!! ただ魔王に言われて――」

「やはり魔王の手先か」

「あぁもうめんどくさいっ!! 違いますよ! 無理矢理ここに行かされたんです!」

「魔王の手先の同様の衣装を纏って言う事か」

「うわぁ……もう本当に面倒だなぁ……」

 はぁ。それもこれも魔王が鍵なんて盗むからだよ……普通鍵を盗まれたり落としたら鍵は変える物だ。神様も同じ。違う鍵で入ろうとしたらセキュリティに引っかかる、うん。

 そしてその結果がこれだから……はぁ、やだなぁ。もう。

「ぶっ飛ばそうかな……」

『お前本当に短気だな』

「うっ……だって話通じないし」

『……はぁ。仕方がない。メグル、策がある』

「え、本当?」

 それは助かるよ。この状況、私だけならとりあえず一発殴って言う事聞かせるしかないもん。

『先ほども言ったが我は龍神だ。故に我が説得しよう』

「なるほど」

 それはいい案だね。でも、大丈夫かな。

「この弾幕で龍の姿になって会話しようとしたら被弾しない?」

『するが、まあ大丈夫だろう、お前に殴られるより遥かに、とてつもなくマシだ』

「……なんかごめんね?」

 やっぱりあの時の事結構気にしている様だ。

 うーん、ごめん!

「それじゃあ変身を解除するけど、いい?」

『うむ。任せろ』

 そんなわけで、私はアルクと離れ、いつもの魔法少女衣装に戻った。

「聞け! ヴァルキリー共! 我は龍神アルクである! この者は我のパートナーである! 神々に取り次げ!」

 そう、アルクが声を張った瞬間、相手の攻撃が一瞬止んで……再開した。

「うぉおお?! アイツら! ちょ! メグル! 変身を!!」

「え?! うん!!」

 私は後ろに隠れるように(デカいから隠れられてないけど)するアルクとまた一緒に変身した。

「で、これどういう状況?」

『アイツら、我が龍神だと名乗ったら神殺しの武器を連投し始めたのだ……殺す気満々だぞアイツら』

「うわ……それは、ドンマイ」

 なんだか余計面倒になってないかな? 大丈夫かな。

「龍神までも堕とすとは、異界の戦士よ、貴様らの罪は重いぞ!」

「あー、そういう感じになっちゃうんですか……」

 つまり私が龍神を堕落させて、使役してるみたいな、そういう扱いだよね。

 ……はぁ。

「よし、一発殴ろう」

『一発と言わず二発殴れ』

「それはアルクの分?」

『そうだ』

「おっけ」

 よし、それじゃあまあ、いっちょやってやりますか。

 ……こういう事するから悪魔扱いされるのかな。


ご読了ありがとうございました!

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