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Re21 魔法少女と過去

 ドラゴンのアルクと魔王軍を追い払う約束をしてから精霊国に戻ると、以前招かれた客室で女王様と流未さんからアルクの件で感謝された。

「ありがとう、メグルさん。あのエンシェントドラゴンの協力を取り付けて頂けるなんて。想像以上の結果です」

「いえ、まあ、アルクが話せる相手だったので」

 実際はアルクが私にビビってたからだけど、嘘は言ってない。

 実際、話せるドラゴンだった。

「話せる相手……ですか。ロイドから報告を受けて驚きましたよ。まさかドラゴンと対話できるほどの実力をお持ちだったとは」

「い、いやあ……ハハハ……」

 まあ対話っていうか、相手が私にビビってたからぶっちゃけ脅しに近い気もするけど……。

「それでは、貴女の疑問に答えるとしましょうか」

「あ、はい。ありがとうございます。それじゃあまずは――」

 とりあえず、魔法少女の伝説とか、その辺りかな。

「魔法少女伝説ですか。そうですね、我が国では多くの種族から見た、客観的な世界の歴史観がありますが、そのほとんどで魔法少女は聖王国に現れ、魔王軍を討ち払い、魔王討伐の際に深手を負い、聖王国で迎え入れられた後、死去したとあります。が――」

 女王様がそこまで言うと、今度は流未さんが話を続けた。

「実際には、魔法少女は死んではいません、生きています。それどころか、そもそもその志望説ですが、聖王国が彼女を強大で邪悪な魔女として、殺害を企てた可能性まであります」

「……そうですか」

 そうちゃんと呼ばれていた魔法少女の言ったことは、このことだろうか。

 なんとなく予想はしていたけど、あまり気持ちのいい話じゃない。

「そして、貴女はもう予想しているかもしれませんが、五百年前に現れた新しい魔王は魔法少女。それも六百年前の魔王を倒し、聖王国に裏切られた少女です」

「やっぱり……」

 そんな気はしていた。

 魔法少女を倒せる力を持っていて、魔法少女の国を作ろうなんて考えるくらいだ。可能性はあった。

「彼女の名は逆峰真央さかみねまおです。私も過去に戦ったので覚えていますよ」

「戦ったんですか?」

「はい、結果は……いい勝負だったとはいえませんね。彼女はかなり膨大な魔力と強力な魔法を有していますから」

 そういう流未さんの魔力量は私と同じくらいかな。

 その流未さんが膨大って言うんだから、結構な量なんだろう。

 魔法の相性によっては勝てない可能性もあるかもしれない。

「魔法は恐らく、転移系かと思います。得意な魔術は質量系、物理に変換した魔術のようです」

「なるほど」

 緑の子に続いて、魔王も転移系なのか……空間利用してくる相手は厄介だ。特に不意打ちとか死角からの攻撃が厳しい。

「他の魔法少女については?」

「そうですね、私は百年前に来たので、今までに来たであろう、四人の魔法少女が彼女に付いて居るのを確認しています」

「四人も……」

 二人相手でもしんどかったのに、まだ更に二人いるのかぁ。

 しかも下手したら、残りの二人のほうが強い可能性まである。

「操子と虎馬の話はしましたね。残りの二人についてもお話ししましょう。まず、魔王の側近のような女が居ます、こちらは古計時音こけいときね。戦っていないので魔法についてはわかりませんが、あの魔王が側近にする実力はあると見ていいでしょう」

「なるほど……」

 流石に戦ってない相手の魔法まではわからないよね……なんか、こう、お約束的に薄っすらと分かりそうな気がしないでもないけど、気のせいだよね。

「最後の一人は曽代淳子そだいあつこです。こちらも魔法は不明ですが、魔王と戦った際、彼女達魔法少女は全員いたのにも関わらず、彼女が戦いたがると魔王はそれを止めました。想像ですが、広範囲を無差別に攻撃するような魔法かも知れませんね」

「周囲の被害を考えて戦わせなかったと」

「可能性であり、憶測ですけれどね」

「貴重なお話、ありがとうございます」

 これで私が知りたいことはある程度知れたと思う。

 後は魔王が何故、魔王になったのかの具体的な理由とか、何で人類をすぐにでも襲わないのか、とかあるけど。

「あの、なんで真央さんは魔王になったんでしょう?」

「人類に裏切られたのが大きかったようです。彼女がそう言っていました。それと、魔法少女が平和に暮らせる世界が欲しいとも」

「平和な世界……ですか」

 確かに、私達魔法少女は平和の為に戦ったりしていた。

 そして平和な世の中には魔法少女は要らないので、平和になったら普通の女の子に戻るつもりでもいた。

 でも、真央はこの世界を魔王から救ったら、その力を疎まれて、殺されそうになった。

 だから求めたのかな、魔法少女が平和に暮らせる世界を。

「それで、魔王はそれだけの戦力があって、なんで人類を滅ぼさないのでしょうか?」

「それはわかりません。ですが、彼女にも何か、考えがあるのは間違いないでしょう」

 流石にそこまではわからないか。

 まあ、こればっかりは仕方無いね。

「メグルさん。貴女は魔王を倒せますか?」

「……それは」

 この質問の意図はどちらだろう。

 戦力的な意味で勝てるか、と言う意味なのか。

 世界に裏切られた、復讐に駆られた同胞を討てるのか、という意味なのか。

「まだ、分かりません」

「……そうですか」

 流未さんは不思議と、ホッとしたような顔だった。

 こんな答えでよかったのかな。

「それでは、話は変わりますが、ドラゴンに協力してもらう北部から進軍する魔王軍迎撃の件について話させていただいてもいいかしら」

「あ、はい」

 私が欲しかった情報は貰えたと思っているので、後はやり残したことをやるだけだね。

 その後のことはおいおい考えよう。


ご読了ありがとうございました!

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