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Re18 魔法少女と精霊国

「あれが精霊国だ」

「おぉー!」

 アッシュさん達と移動し始めた翌日。ついに精霊国に着いた私達。

 私は精霊国を見て非常にテンションが上がりました。

 街にそびえたつ、街の外からでも首がつりそうなほど高く見上げる大樹に、そこを中心にするように(イメージだけど多分そう)広がる非現実的な風景。ツリーハウスに洋風な建物、和風建造物、なんならテントとか、多種多様な種族が暮らしている感満載の街並み。

 しかもそれが区画には分けられず、入り乱れている様がこの国のあらゆる種族が隣り合うのではなく、混じり合って仲良く暮らしているのをハッキリと感じさせてくれていた。

「まさにファンタジーですね」

「ふぁんたじー?」

「ロマンがあると言う事です」

「なるほど。確かに、この国は夢のようなところさ。いや、ところだった、というべきか」

 そう言ってアッシュさんは街に……そこに暮らす人々に顔を向ける。

 皆暗い顔をして、一つの方向に向かって歩いていた。

「人が少ないのもそうですけど……皆さん、暗い顔ですね」

「当然だ……魔族に攻められていることによる疲弊もそうだが、魔物達の生態系変化の所為で野生の動物が居なくなったり、畑が荒らされたり……食料供給率が著しく下がっている。その上で攻められているんだ。ただでさえ蓄えが無く、生産力も落ちているのに籠城戦のような状況だからな……」

 なるほど。ただ襲われる危険があるだけじゃない、生活基盤にまで影響を及ぼしているんだ……。

「それで、皆さん何処に?」

「中央広場での食料配給だろうな。ただ、その量も多くない。どうせ大した量がもらえないのも分かっているから、皆、元気は無いな。何なら、あそこは今殺伐としている。女子供は食料が欲しくても近づかない者もいると聞く」

「……そうですか」

 聞けば聞くほど、酷い状況みたい。でもそれだけに気になることがある……。

 なんでアッシュさん達は帝国まで旅ができるだけの食料を持って、馬車で移動していたのだろう。

 まあ、その食料は私が発見したときには魔物によって奪われていたけれど……。

 それでも、馬車一杯に乗っていた様子があった。

「我々は中央を避けて、王城に向かうが、いいか?」

「……はい」

 気になるから聞きたい気持ちはあるけど、何か事情がある気がする。気安く聞いていい話な気がしない。根拠はないけど。

 しばらく街を進むと、お城が視えて来た。

「それではメグル殿、こちらへ」

「あの、良いんですか? 私みたいな部外者がいきなり入ってしまっても」

 私の言葉に、アッシュさんは頷いた。

「構わない。貴女は魔法少女なのだから」

「……?」

 それはどういう意味だろう。

 魔法少女は……この国では受け入れられているの? いきなり城に入れちゃうくらい?

 そう疑問に思いながらも、お城の中に案内され、進んで行く。

 流石に私の事を知らない人達が私の事をジロジロと見て来る。仕方ないけど。あんまり気分はよくない。

 対して、アッシュさんは全然普通に、受け入れられている様子だった。

 恰好的には市民っぽいのに……やっぱりただ者ではないのかな?

 しばらく歩くと、ある部屋に通された。

「メグル殿はここでお待ちを。俺は陛下に謁見の許可を頂きに行く」

 それだけ言い残すと、アッシュさんは部屋をすぐに出て行きました。

 うーん、これで女王陛下に会えたとして、私は何をすればいいんだろう?

 そもそも何で連れてこられたのかすらもよくわかっていないし。

 やっぱり魔王軍とかドラゴンの件で頼まれごととかかなぁ。今回に関しては私の落ち度な気もするし、そもそも利用しようって言うんじゃなくて、助けて欲しいって言うスタンスなら断る理由は無い。

こっちとしても精霊国には平和になってもらわないと歴史を調べるどころじゃなさそうだし……。

 とか、考え事をしていると、直ぐにアッシュさんが戻って来た。

「お会いになるそうだ。来てくれ」

 付いて行くと、立派な家具の並ぶ綺麗な部屋に通された。

 そこには二人の女性が既に座っていた。

 私を案内したアッシュさんはそのまま、何処かに行ってしまったけど、私はどうしたらいいんだろう?

 そう思っていると、座っている二人の内、エルフと思われる女性から声が掛かった。

「メグルさんですね、座ってください」

「は、はい」

 私はとりあえず、言う通り、指定された席に着いた。

「まずは自己紹介から。私はこの国の女王、ラーナ・エルス、こちらは――」

「私は逆巻流未と申します」

「さかまき……るみ?」

 その名前は……なんだか日本人っぽいような。そうでもないような。

 とは言え、見た目には八十代? くらいのおばあちゃんで、日本人かどうかは見た目からは判別し難い。

「お察しの通り、日本から来た者であり、付け加えるなら、元魔法少女です」

「魔法少女?!」

 それって、百年に一度来る魔法少女の一人ってこと? だとしたら、彼女は敵……? 味方? っていうか百と何歳なの?

「その様子だと、魔王軍に魔法少女が居ることは、既に知っているようですね」

 私が身構えたのもあって、どうやらこちらの考えが通じたみたいだった。

「は、はい」

 私は女王様と流未さんに出会った魔法少女のことを話した。

「空間を操る子は空間操子くうまそうこ、精神負荷を使う子は宇津木美虎馬うつぎみこまでしょうね」

「そうちゃんと……こま」

 流未さんの話に、戦闘中に聞いた彼女達の言葉を思い出す。やっぱり愛称と名前だったみたい。

「それで、メグルさんは何故こちらに?」

 女王様からの質問に、私はすぐに答えた。

「魔王の事と、過去に魔王を倒した魔法少女について調べたくて来ました」

「なるほど、そうですか……」

 女王様は何か、少し思案した様子を見せると、何か決心した様子で口を開いた。

「貴女はなぜ、そんなことを知りたいのですか?」

「それは……何故魔王が人類を滅ぼさないのか、そして、過去に魔王を倒した魔法少女が、その後どうなったのか、知りたいからです」

 ここに来るまでに色々考えたんだけど、そもそも魔王がアレだけの魔法少女を仲間にしながら未だに世界を滅ぼしていないのが気になる。

 そしてそこには、過去に世界を救ったのに裏切られた魔法少女が関係しているのではないかと思った。

「……知って、どうするのです」

 真剣な表情で聞いてくるところを見ると、もしかしたら女王様は何かを知っているのかもしれない。

「魔王と戦うとしても、彼らの事を良く知らずに、一方的に攻撃なんてできません。それに、過去の魔法少女達の事を調べることで、私がこの世界で何をすべきかも、視えて来ると思うんです」

 というか、よく考えたら目の前の女性が魔法少女なのだとしたら、魔王に会っているんじゃないだろうか。

 それなら、魔王の正体についても、他の魔法少女についても知っているかも?

「そうですか。そういう事でしたら、こちらからの条件を飲んで頂ければ、貴女の知りたいことについて、答えられるかもしれませんね」

「条件って何ですか?」

 私の問いに、王女様と流未さんが顔を見合わせ、お互いに頷きあう。

「条件と言うのは、近隣に現れたエンシェントドラゴン。これを討伐して欲しいのです」

「ドラゴンですか……」

 うーん、出来ればトカゲとは関わり合いに成りたくないんだけどなぁ……。

 でも、私の所為でもあるし、仕方ないのかな。

「もちろん、魔法少女である貴女一人では厳しい戦いになるでしょう。そこで、我が国随一の剣士であり、『剣聖』の称号を持つロイド・クライスを付けましょう」

「え、あー、おぉ」

 な、なるほど、剣聖さんを付けてくれるんですね。

 それにしても魔法少女一人では厳しいって言うのはどういう事だろう。

 あの時出会った感じだと、そういう風には感じなかったけど。

「エンシェントドラゴンとの闘いでは、貴女にはドラゴンが逃げられないよう、結界を張る役目を担って欲しいのです」

「なるほど」

 結界を張るだけでいいんだ。結界なら魔導障壁の応用で広範囲に張るくらいは出来る。

 でも、そんなことしなくても私が倒したらいいんじゃないのかな……。

「お願いできますか?」

「……はい」

 まあ、何かしらか、私が倒しちゃいけない理由とかもあるのかもしれないし、いっか。

「それではこの後直ぐに発ってもらえますか? 時は一刻を争うのです」

「わかりました」

 なんでそこまで急いでいるのか……まあ、ドラゴンの所為で出ている二次被害もあるから、早いに越したことはないだろうけど。

 とりあえず私は、情報の代わりに、剣聖さんと共にドラゴンを倒しに行くことになりました。


ご読了ありがとうございました!

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