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Re13 魔法少女と皇帝

 闘技場での対決後、私は皇帝陛下にお会いする為にお城に来ています。

 こちらのお城は聖都の王城と違って赤黒い色が主な厳かな雰囲気のお城で、これから陛下にお会いするのもあって非常に気が重いんですよね……。

「あの……逃げちゃ駄目ですか……?」

「ワシ相手に逃げなかったお主が何を今更」

「目上の方に会うのって凄く面倒……じゃなかった、気が重くて」

「お主今ハッキリと面倒と言っておった気がするが……まあそう気を張る必要も無い。陛下はお主のような強き者にはかなりフレンドリーなお方じゃよ」

「それはそれでどうなんでしょう……」

 フレンドリーに来られてフレンドリーに面倒ごとに巻き込まれそうで嫌だな……友達感覚で来られると断りにくさが逆に増しそうだし。

「さて、ここじゃ、一応失礼は無いようにな。大丈夫だとは思うがの」

「は、はあ……って、ここですか? なんか普通の部屋っぽいんですけど……?」

 ライデンさんが止まったのはなんかこう、そこまで豪華な扉じゃない、そこら辺に並んでいる部屋と同じ扉の前だった。

 聖都の王城では王座で陛下とお会いしたけど、その時潜った扉は凄く大きくて豪華だったんだけど……。

「まあ、客室じゃからな」

「え?!」

 客室で陛下と……? 凄い、もう既に嫌な予感しかしない。

「帰りたい……」

「帰ってもよいが、その場合やはり罪人だったと疑われるじゃろうな」

「……脅迫じゃないですか」

 それって意に沿わないことをしたら冤罪で追われるってことだよね……はぁ。

「では入るぞ」

「はい……」

 ライデンさんがノックをすると中から声が聞こえて入室を許可された。

「失礼します」

「うむ、よく来てくれたな、メグル。俺はこの国の皇帝、レキ・W・オスカーだ」

「なんか顔……あ、いえ、私は三角廻です」

 危ない危ない。一瞬名前の字面に顔文字が見えた気がしてツッコんでしまいそうになったけど、なんとか誤魔化せた気がする。

「余の顔がどうかしたか?」

「ふぁっ?! い、いえ、丹精で整った美しい顔立ちだなぁと!」

「ふむ、そうか。よく言われる」

「で、ですよね」

 危なかった、全然誤魔化せてなかった。と言うかサラッとよく言われるとか言ってたけど……うん、ホントに美形なイケメンさんだ。綺麗でさらさらの金髪に切れ長な紅い瞳が印象的。これで皇帝とか人生勝ち組だなぁ……。

「とりあえず座れ、話は長くなるかもしれんからな」

「は、はい」

 とりあえず促されるままに指定されたソファに腰を掛ける。って言うか皇帝陛下が向かいの席なんだけど……これ、いいのかな……?

「さてメグル、今回お前を呼んだのは他でもない……魔法少女の件についてだ」

「魔法少女……ですか」

「うむ。我が国ではお前とは別に魔法少女を確認していてな。それについてお前が知っていることがあれば教えて欲しい」

 知っていることって言われても、私は基本的にソロだったし、元の世界の魔法少女ならまだしも、こっちに誰が来ているかなんて知らないわけで。

「残念ですけど、私は他の魔法少女についてはそこまで詳しくは無いんです。私が魔法少女だとわかっているなら、異世界から来ているのはご存じかと思いますが。そちらの世界で活躍していた人物なら知ってる人もいますが、こちらの魔法少女については多分知らない方々ではないかと思います」

「ふむ、そうか……ちなみにお前は魔法少女の中だとどれほどの強さなのだ?」

 そう言って眼光を強める皇帝様……え、なんで睨まれてるの?

「えぇっと……あまり魔法少女同士で闘う事は無いので、対人戦の強さは一概には言い切れないですけど……一応魔法少女の中では長く現役で闘ってますし、強い方……だと思います」

「なるほど……対人でないなら、魔法少女とは魔獣や魔族、いわゆるモンスターなどと戦うことが多いのか?」

「そうですね、私もモンスターとかとの闘いが殆どでした」

 魔法少女同士の対立とかも無いわけではなかったけど、基本的に利益がないからただの喧嘩みたいなもので、命の奪い合いまではしないしなぁ……。

「聞きたいのだが、お前はモンスター、魔族を相手にした場合、何体までなら戦える?」

「え……っと、相手の強さにも依るかと……」

「ならお前が聖都で倒したという上級悪魔で換算してくれ」

「え……?」

 私が疑問を感じると、皇帝様が笑った。この人、なんでそれを知ってるんだろう。

「ははは、魔導帝国の皇帝だぞ、俺は。魔術的手段での情報収集もできる、故にお前が聖都で行ったこと、そしてラグランジュで行った取引も知っているさ」

「……ならなんで私を罪人として捕らえたんでしょうか?」

「ふむ、興味があったのだ。敵に属する魔法少女とお前の違い、その実力にな」

「それでライデンさんと戦わせたんですか……」

「ハハハッ! じいを『さん』と呼ぶか。大抵の奴はライデン様と言うが……これが勝者の余裕という奴かな? なあ、じい」

「勝者の権利に文句は言いますまい」

「あの……なんかすみません……」

 そっか、一応この人アレな人だけど、この帝国の偉い人なんだもんね……うっかりさん付けで呼んでしまった……。

「よいよい。お前の言う通り、試す目的で闘わせた。結果は……まさかじい相手に勝つとは思わなかったな。これでじいは上級悪魔3体を相手に勝ったこともあるし、古の戦いで邪神を打ち倒した大英雄の一人だ。いや、本当に、魔法少女とは恐ろしいものだな」

「お言葉ですが陛下、この娘が常識外れに強いだけかと思いますぞ。魔王軍に確認された魔法少女とは一戦交えましたが、ワシでも勝てそうでしたからな」

「そういえば撃退したのはじいだったな……なるほど、比べてどうだった」

「天地の差を感じましたな。魔法少女と言うのはこうも力に差があるモノかと」

「ふむ。どうだメグル? じいはこう言っているが?」

 そこで私に振るのか……うーん。

「魔法少女は固有の力として『魔法』が使えますから……魔術での戦いに勝っても、相手の魔法の性質によっては逆転されることも十分あるかと……」

「む? 魔法と魔術は違うのか?」

「はい、私達魔法少女にとって魔術は訓練次第で自分の力量に合った成果の出る物で、魔法は個人特有の力ですから」

「なるほど……ちなみにメグルの魔法はどういったものなんだ?」

 むぅ、この質問答えないと駄目かな……? できれば答えたくないんだけど。

「すみません、私の魔法は切り札なので……知られて困るモノでは無いですけど、知られない方がいいのは間違いないので」

「そうか……ちなみにお前がしていた魔力の回復はどの程度の魔法少女が使える物なのだ?」

 皇帝陛下も私の魔力回復については知っているんだね。ライデンさんが報告したのかな。

「……私以外では見たことはないですね……」

「ふむ、であればそれがお前の魔法……ではないのだろうな。そうであれば教えないだろう」

「…………」

 うん、本当にその通りなんだけど。実際魔力の回復は魔法でしてるけど、それは私の魔法の能力の一部分でしかない。だからここまでくらいなら教えても問題はない……と思う。

「それと、じいのテラフレイム、アレを打ち破った魔術、聖都では同時に6発撃ったと聞いたが、あれはどの程度同時に撃てるのだ?」

「魔導収束砲ですか? 魔力さえあれば同時発動自体はいくらでもできますけど……」

「……お前、魔力をいくらでも回復できるのだろう? ならなんだ、アレを100発とか撃てるのか?」

 まあ魔力の回復がいくらでもできるのはそうだけど……アレは厳密には回復ではない……って言っても仕方ないよね……。

「まあ、そうなりますね」

「…………そうか」

 私の返事を受けて急にテンションが下がったと言うか、苦虫を嚙み潰したようと言った様子になったんだけど……なんか不味いことを言ってしまったかな?

 ……いや、不味いねこれ? よく考えたら大英雄のライデンさんが使う魔術を吹き飛ばせる攻撃を100発撃てるって、普通にヤバイ。

 でも今更なんて言い訳しよう……? とりあえず……諦めよう。うん、ドンマイ私。

「であれば先の質問、上級悪魔を相手にできる数など……数えるべくもないな……万だろうが億だろうが関係なしという訳か」

「え、それはいくら何でも絵面が気持ち悪いですよ……」

 私が率直な意見を述べると、皇帝陛下は呆れたように言った。

「そういう問題ではないだろう……」

「え?」

 流石にあの悪魔が億とか居たら絵面が酷く気持ちの悪い物になると思うんだけどな……それこそゴキブリが群れで飛んでくるくらいには気持ち悪いと思う。

「まあよい、それで、そんな実力者のお前に頼みがあるのだがな」

「……なんでしょう」

「うむ、露骨に嫌そうな顔をしたな……まあよい。我が国では魔王軍の領土である魔界との間に戦線を構築し、今も小競り合いが続いているのだが、先日魔法少女を名乗る敵が現れてより、軍の指揮が低下していてな。一度はじいの力で撃退したものの、逆に言えば大英雄であるじいでなければ撃退できない相手が、いつ自分たちの所に現れるかと皆怯えている。そこでお前だ」

 皇帝陛下は身を乗り出し私に指を向ける。あー、これは嫌な予感が的中した気がする。

「お前に我が軍の魔法少女として戦って欲し――」

「お断りします」

 私の返答に、皇帝陛下が目を点にした。そんなに驚く?

「――え、いや、まて。何故だ? お前はこの世界を救う為に来たのだろう?」

「そうですけど。魔法少女は何処かに所属したり、誰か一人の肩を持つような存在ではないので」

「いやしかし、相手方には魔法少女が……魔王軍に属しているのだぞ?」

「魔法少女の風上にも置けないクズですね」

 私がそう言い切ると、皇帝陛下は見るからに狼狽えた。

「おまっ……お前急に辛辣な事を言うようになったな……同胞に対して厳し過ぎないか?」

「魔法少女として、人の幸せや平和の為に戦わないなら、それはただの魔術師ですよ」

「であれば、お前も世の為人の為、戦うべきではないか?」

「そうですね。でも軍属するのは別の話です」

「そ、そうか……」

 皇帝陛下には悪いけれど、こればっかりは曲げられない。私なりのポリシーだから。

「ふぅ、普通皇帝の要望を断ることは許されないのだがな」

「じゃあ私と戦いますか?」

 なんとなく、冗談でそんなことを言ってみる。

 まあ、武力行使されたら、まずは逃げて、どうしようもなくなったら戦うんだけど。

「な――出来るわけなかろう。あの魔術……魔導収束砲と言ったか? あれを100発なんてどうにもできん」

「じゃあいざって時は撃ちますね」

「わかったわかった、無理強いはせん。代わりと言っては何だが、せめて魔法少女については相手を頼めないか」

「それは構いませんけど、ライデンさんでもいいのでは?」

「まあ、確かにそれも手だろうがな、それだとこの帝都の守りが薄くなる。今ほとんどの兵力は戦線に送っているからな。もちろん、ライデンが居る帝都はこの大陸の何処より安全だと自負しているが。それだけにライデンを動かすことは容易ではない」

「それに、先ほどの話が本当なら、相手の魔法少女はまだ『魔法』という切り札を隠しているとワシは思いますぞ。ワシが見たのはあの魔力の塊を使う魔術と身体能力強化の魔術、後はバリアのような魔術だけでしたからな」

「魔法少女が使う基本的な魔術3つですね……なるほど」

 確かにそれなら魔法は使ってない可能性が高い。となると厄介だ。

「メグル、相手の魔法は戦ってみないとわからない物なのか?」

「そうですね……使われたらなんとなく、感じることくらいは出来ると思いますけど、使われても詳細な能力が判明するとも限らないです。目に見えて異常があればハッキリしますけど……目に見えない変化だと魔法の効果かそうでないのかは判断しかねると思います」

「そうなると能力が分からないうちから戦うのは危険だな……最悪対策無しでは一方的にやられる可能性まであるのではないか?」

「そうですね……使用に制限があった魔法で、触れた相手を即死させる魔法は見たことがあります」

「……であればなおさら情報を集めるべきか……? しかし場合によってはその魔法少女も魔導収束砲を使ってくることもあるのではないか?」

「そうですね、大半の魔法少女は同時発動は出来なくても使えるはずです」

「となればそれだけで一軍が壊滅する可能性も……どうしたものか」

 皇帝陛下が頭を悩ませている中、私もかなり困っていた。

 相手の魔法によっては対策事態取れない可能性がある。さっき言った即死魔法も触れられなければいいと言う決定的な対策があったけれど、私自身の魔法なんかは対策云々という物ではないし……そういう魔法少女はいくらでもいる。

 一歩間違えれば即座に勝敗が決する可能性……か。

「メグル……やはりお前に頼みたい、魔法少女の相手を。お前がこの世界の希望なのは承知しているが、それでも、今戦線を崩されれば人の世界を守るのは難しくなる……頼む」

 そう言って皇帝陛下が頭を下げる……一国の皇が頭を下げる意味……やるしかないか。

「分かりました、やってみます」

 正直勝てる保証はないけど、闘いっていつもそんなものだし……今まで理不尽な能力を持った怪人と戦ったことだって結構ある。それが魔法少女になるだけだよね。

「とは言え、相手が出てきてくれないと戦いにならないですよね」

「そうだな……よし、近日中に相手の魔法少女を誘き出す作戦を決行する。まだ案は無いが……何とかして見せるとも。その時こそ頼むぞ、メグル」

「はい、皇帝陛下」

 こうして皇帝陛下との会談は終わり……後日、私は敵対する魔法少女と戦うことになったのです。


ご読了ありがとうございました!

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