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杭集め

はあ……またか。


とある村の家屋にある一軒家。そこから漏れ出ている媚薬の類いの臭いに嫌気が差しながら扉を開ける。


ごくありふれた村の一軒家の中には外以上に濃密な媚薬の臭いと人が盛った際の臭いが混じりあった臭いが充満し、床には精根尽きた全裸の男たちが倒れている。


師匠なら確実にこんな回りくどい事をせずに手短に拘束して行うのに……あいつときたら……。


内心恨み節を呟きながら奥の部屋に入ると、不愉快な女が少年の精気を奪い終わっていた。


「ごちそうさま。……あれ?ご主人様?お仕事の方はどうでしたか?」

「終わったから来てみたが……お前は何をしている」

「楽しんでいただけだよ?」

「……楽しむのは構わない。だが、貪り過ぎだ」


ちっ……何時もの落ち着いた口調に戻れない。ここ数日、こいつのせいで胃が痛いし食欲が湧かない。


体の汚れを魔術具で洗い流している女を見て劣情よりも不快感が勝る。


この女は半年前、師匠が四肢を切断した女を私が調整と調教を行い作り上げた悪魔だ。


失った四肢を触手を束ねて補い、髪の色を金から薄い紫に。背中からは翼を生やさせ身長は私と同じくらい。感度は体の一部を常人を遥かに越えた領域にまで引き上げ、常にアイマスクを着けさせている。


人格面も師匠が「『刻印魔術』を使っても良いけど、正しく調教した方が効率は悪いけど、あいつらを絶望させれると思わない?」ということで私が調教する羽目になった。


あのクソ女を調教するのは不愉快だったがスラムの男たちに一方的に身体をなぶられ、尊厳を砕かれ、理性を歪めていく姿を見たら溜飲も下がった。


一ヶ月もしたらクソ女はとんでもない女に変わった。悪魔に堕ちた事で新たに『改造魔術』を手に入れた事は師匠にとっても予想外だったらしく、意気消沈していた。


多分、師匠的にはより面白い事に使えるから手に入れれなくて悔しかったのだろう。


「さて、何人くらいにする、ご主人様?」

「うーん……六人くらいだ。選んだ後はそれ以外は放置しておけ」

「はいはーい」


女が品定めを始めたのを確認し部屋から出る。


性格は従順でマゾ気質で色狂い。男たちと盛る事が大好きで、悪魔としての性質もそちらに傾いてる。師匠の話だと「物語に出てくるサキュバスみたいな奴だな」ということ。よく分からないけどそういう事だろう。


けど、一番ムカつくのは……あの女、私と同じ背丈にしても胸が小さくならなかったことだ!あー今でも調整中に胸を引っ込めようとしても出来ずにやけ食いしたのを思い出せるくらいにムカつく!


そのくせ頭が良くて近接戦闘能力も高いのもムカつく!師匠は師匠で「ロリで胸が大きいのは需要があるから良いのでは?」と言ってたけど需要って何よ需要って!


「ご主人様~、品定めしておきましたよ~」


女の声が聞こえたので部屋に入ると綺麗にされた男どもが床に寝かせられていた。


この女が男を選ぶ際には基本的に性欲が強い男ばかりを選ぶところがある。師匠の話だとそっちの方が受けが良いから、とのことだ。


計画の内容は理解しているけど……師匠の悪趣味さは本当に凄い。


「なら、ちゃっちゃと始めて」

「はいはーい」


そういって女は男の一人に覆い被さると身体を指先でなぞる。すると、男の骨格が変わり、皮膚が変わり、髪が変わり、体つきは女のものに変わっていく。


『改造魔術』は生物の身体を変える魔術。腕を武器に変えたり、身体を鉄に変えたりもできる。やり方さえ知っていれば男性を女性にしたり、男のアレを女に生やすこともできる。しかし、そのあり方故に神心教では『禁術』に指定されている。


彼女は師匠が『カード』から出して置いた魔術の専門書からこの魔術を無詠唱でできるようになった。……本当に才能は凄い。


「仕上げたよ、ご主人様」

「そう。ならさっさと撤収する。意識を戻さずに身体の中にしまっておきなさい、女」

「はいはーい!それと、今の私はサキュという名前があるからそっちで呼んでください」

「はいはい……」


そういってサキュはハイレグの服装の臀部に開いた穴から触手のような尻尾が出て先端が開くと女に変わった男を一人ずつ食べていく。


改造中に師匠が面白そうだからと着けさせてみた機能で、何時もは体内に隠しいて、必要になったら出て来て相手を丸呑みにして、体内でエネルギーの貯蔵庫として利用しようという算段らしい。


本当に師匠の悪趣味さが窺える身体だ。まあ、私もノリノリだったけれど。


「全員腹の中に納めたよ~。撤収する?」

「当たり前だ、用事はもう済んだからな」


頬で私の頬を擦ってくるサキュを退かして家屋から出て村から離れていく。


師匠の計画だと、作り替えた女たちの役割は杭。かなりエグい手法だと思うけれど作り上げた師匠が作った魔術具があれば可能となる。師匠万能すぎ。


「ご主人様~。ご主人様は男の人とやらないの?」

「興味ありません。貴女みたいに誰彼構わず貪るような変態ではありませんので」

「酷ーい。ご主人様たちが私をこうしたのじゃないですか」

「それとこれとは話が別。私は男性に興味がない」


まあ、女性……師匠のように身長が高くて女性的な身体をした強い人が好みだと最近分かった。自分でも思ったけど退廃的だ。


「あー、女性が好みって事?」

「……否定はしない」

「なら~」


そういってサキュは飛び付いてくる。咄嗟に躱して魔導書を取り出して角でサキュの頭を殴り付ける。


「むきゅっ!?」

「……貴女の女性は大嫌いだ。だから精々私たちの犬として動け」

「犬!とてと良い響き……!」


……調教した私が言うのも何だけど、この変態は些細な事でゾクゾクと快感を覚える悪癖はどうにかしてもらいたい。



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