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人狼問答

七日後、私は儀式場に戻ってきた。


中に入ると同時に地下室に入らなくても分かるほどに暗く陰鬱な魔力で室内が満ちていた。


「シルフィ、できたか?」

「……上々」


私はシルフィから水晶玉を手渡される。


透明だった水晶玉はどす黒い煙のようなものが渦巻きながら滞留している。


ふふっ、良い感じに仕上がっているな。これなら十分使える。


後は、下にいる連中か。


私が地下室の扉を拳で破壊した瞬間、より一層濃密な魔力と臭いが溢れてくる。


臭いが……まあ、そんな事はどうだって良いか。


私とシルフィが地下室に降りると死屍累々と評するべきな惨状が広がっていた。


男連中は全員死亡、女性は一応ながらまだ息はあるか。重度の魔力汚染が発生しているここで生きれるとは予想外だった。


まあ、私は魔力が十分ある若い娘ばかり選んだからだけど。


「シルフィ、お前ならどうする。魔術師的な思考で考えろ」

「うーん……男性の死体は回収、女性はどこかに監禁して魔術の材料にする?」

「その通り」


生物の死体は魔術において重要な実験材料だ。脳や臓器、骨は薬などの素材に、皮膚や筋肉は魔術的には価値はないが魔術で作られた生物の材料や食糧にはなる。


また、儀式で生き残った連中は外に出すと邪悪な行いがバレる危険性がある。そのため、一切外に出さずに新たな儀式の材料にするのが一番良い。


「……『魔導書』がここまで外道なものだとは予想外でした」

「魔術師はこの世界で最も傲慢な生物だ、何て言葉があるくらいだからね。特に、一般的な人が予想できない魔術はその傾向が非常に強い」


火や水といった魔術はより効率的に生物を殺すために発展していった。そのため、他の魔術と比べて効果が分かりやすいものが多い。


逆に『刻印魔術』や『魔導書』などの魔術は非効率的でもより大きく己の目的や野望、欲望、夢を叶えるための道具としての側面が強い。


シルフィは少しため息をつくと腰に着けていた本を取り出す。


「……【罪の記載 罰の記載 私は忘れない 私は逃がさない】」


シルフィの詠唱と共に本が独りでに開き、ページが捲られていく。


「【その咎を その悪を 故に眠れ 故に守られよ 書の名は『タルタロス』 命ある者を封じ 命なき者を眠る書である】」


捲られたページのところでシルフィが手を置くとページが光始める。


それと同時に死体と女性たちが光に変わっていく。


「【魔導書――執筆完了】」


最後の詠唱と共に光がページに吸い込まれる。

光が完全に吸い込まれるとシルフィは本を閉じる。


へぇ……本来『内から外に干渉』する魔術を『反転』させて『外から内に干渉』させたのか。なるほど、これは面白い。


まあ、私にはこういった魔術は効かないけどね。


「さて……それじゃあ行くか」

「はい」


道具を『カード』に仕舞いって私たちは家を出る。


別段、この街に思い入れはない。だが、(エリン)が死に、(シルバ)が目覚めた場所でしかない。


だから、私は壊すことに躊躇いがない。


私たちはダンジョンに潜ると同時に人気のない場所に移動する。


「……いるんだろ、ロウ」

「フン……目的ハ分カッテイルゾ、シルバ」


岩陰から出てきたルー=ガルーは私を睨み付けながら魔力を高ぶらせる。


敵意がないのは幸いだな。


「貴様ハコノ母ナル迷宮ノ力ヲ暴走サセ、上ニアル都市ヲ壊スツモリカ」

「まあ、そうなるかな」

「……迷宮トシテハ問題視シテイナイ。ダガ、我トシテハヤハリ気ニナルトコロダ」


ああ、そういう。


「理由何て単純だよ。私はただ破滅を見たいだけだよ」


何もできず、何も抵抗できないまま、壊れていく。それを見て嘲笑いたい。


何より、あの忌々しい連中に一泡ふかせたい、それだけの話だ。


「ククッ……ココマデ狂ッテイタトハナ」

「まあ、狂っている自覚はあるけどね。……それで、私を止める?」


止めるのなら……殺すけど。


「イイヤ、止メルツモリハナイ。ソッチノ方ガ面白イ」

「そいつはどうも」


それにしても、面白いから都市の破壊を黙認するのか……。まあ、こいつはモンスター。人とは感性が違うからかもしれないけど。


「ソウイエバ、貴様ノ後ロニイル小娘、気絶シテイルゾ」

「えっ……?」


ロウに言われて振り返るとシルフィが白目向いて気絶していた。


何をしてんだこいつは……。


「起きろ、シルフィ」

「……はっ!!」

気絶していたシルフィの顔を叩くとシルフィは意識を取り戻す。


全く……何をしているんだか。


「さっさと行くよ【フォンダメンタ】」


指差した方向に生まれた水泡が地面に触れると同時に砂に変わる。


これを最下層までやれば簡単に直通路が作れる。


「……ダンジョン攻略とは何でしょうか」

「サアナ、我ニハ分カラナイ」

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