最期の楽園
ーさも4年生は遊び呆けている
まるでこれから地獄へ向かう旅路の前に残っている名残を全て捨てるかのように、自らの1つの人生に区切りをつけるかのように。
彼らは今境界線に立っている。その境界線の先は本人の意思とは無関係に、無慈悲に向こうからやってくる。何人たりともその日が来ることから逃れることは出来はしない。
学生と社会人。この地続きのようで地続きでない境界線に、まだ学生である4年生は立っている。彼らはまるで線香花火の最後のように、やり残したことがないよう全てを燃やし尽くそうとする。学生生活を悔いなく終えて、社会へ飛び立つために。
その狭間にいる彼らは今や今やと迫りくるその日を怯えこそすれ、待ち望む人はおそらく殆どいない。それはそうだ。なぜなら自分の裁量で自由に生活できた大学生活は終わりを告げ、社会人となれば時間を拘束されて自由に活動できる時間が減るのだから。
だから彼らは学生生活のフィナーレに旅行に行き、ライブに行き、デートをし、高級なディナーに行き、オタク活動をし、そしてやっぱり最後に親しい人たちと再び旅行に行く。
彼らも思っているはずだ。この学生生活の最後くらいは、悔いのないよう充実した日々を送りたい。充実したという素晴らしい思い出をしまいこんだまま社会に飛び出したいと。
人間というものは愚かなもので、その時、その瞬間が青春だということには気づかない。往々にして時が過ぎ去ってから過去を回想し「あの時は青春だった」と振り返る。多少思い出が美化されることもあるだろう。
彼らは社会人になって、大学生活がいかに素晴らしく青春の日々であったということを時折思い出しては、現在と過去のギャップに挟まれた日々を送るのだ。
学生生活が善で社会人生活が悪。別段そういうことはないだろう。しかしながら大半の人間は《好きなことで生きていく》ことは出来ずに、生きるためだと割り切って仕事の日々を送っては少ない空いた時間で趣味に没頭したりなどする。
"悪"とまではいかなくても明らかに負の側面が大きいように思えるこの社会人生活を前に身構えずにはいられない。
彼らはそんな今や今やと迫りくる"その日"を待ちながら、今しかない瞬間、日々を全力で謳歌しながら、最期の楽園を生きている。
なんだか小説って感じがしませんが、推敲や試行錯誤を重ねて完成度の高い作品になっていけばいいなと思っています。とにかく今は文を書くのが楽しいので、そこまで難しいことは考えずとりあえず書くという方向でやっていこうと思います。
そのうち連載小説もやっていけたらと思います。