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目を閉じれば  作者: さち
第1章 止まった時間と冷えた心
14/33

2015年10月5日

文化祭の片付けに追われていた


部活の方は

元々発表を体育館でやっていたため

やることはなかった



クラスの出し物で

モスバーガーをやっていたため

仕切りや装飾などを片付けなければ

ならなかった




その最中だった




「あっ!」


クラスメイトの

その声と共に首に衝撃が走った




カラン


と音を立てて、それは床に落ちた


仕切りを作るために

使われていた金属のポールだった


「え!大丈夫?!ごめん!」


その子は所謂、天然ちゃん

自分が持っていた装飾に気を取られ

壁に立て掛けられているポールに気づかなかったそうで

ポールに足を引っ掛けて倒したようだった


「大丈夫だよ!気にしないで!」


悪気があるような子じゃないと

わかっていたため

何とも思わなかった




それから10分後

頭はズキズキとした痛みと

吐き気に襲われた


それを見ていた

別の子が

「先生呼んでくる!」

と言って、教室を出ていった


うちの学校は

サボり防止の為なのか

保健室に行くには一度職員室に立ち寄り、

怪我の状況や体調を話し、熱を測り

学年の色の番号が貼られたプレートを貰わなければならなかった



「横になってた方がいいかもね」


部活の同期にそう言われ

その子が貸してくれたブレザーを枕に

横になり目を閉じた




2,3分後

文系と理系の担任がやってきた


「見崎さん」


目を開けると自分のクラスの担任がいた


「ポール、首にあたったって聞いたけど

今、頭痛いとか気持ち悪い?」


「はい…」


「保健室行こうか」


「はい…」



理系の担任は男

その為、普段からそこまで細かく聞かれることはなかった


「金井、ブレザーありがと」


「んーん!いいよ!」


保健委員の子が一緒に来てくれた

着いてからもその子が

事情を説明してくれて

自分が話す必要はほとんどなかった


「とりあえず、ホームルームまで

ここで安静にしてた方がいいと思う」


担任も養護教諭もそう言った


「まだホームルーム始まるまで

1時間くらいあるからソファー空いてるし

そこで横になってたら?」


「うん」


担任はいつの間にかいなくなっていた



「じゃあ、私教室戻るね」


「うん、斎藤さんありがと」


「いいよ」




一人で保健室に残されたあと

養護教諭が色々な話をしてくれた


ソファーで横になっている間にも

怪我をした人が2,3人やってきた





頭が痛む

思わず目を閉じた


このまま死んでもいい

むしろ死にたいとさえ思った



この先、生きてても苦しいだけじゃないか

何にも期待していない

何にも希望もない自分が

ただ酸素を消費して二酸化炭素を吐き出して

それでいいのか

誰にも必要とされていない自分が

ここにいていいのか


そんなことをぼんやり考えていた







ホームルームは出欠点検と

プリントを貰うだけだったため

すぐに終わった





その日は帰ってからも

ご飯を食べる気にもならず

布団の上で過ごした

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