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目を閉じれば  作者: さち
第1章 止まった時間と冷えた心
12/33

2015年4月6日

今日から高校2年になる


昇降口に入ると、クラスと教室の番号が貼りだされていた



クラスはわかりきっている

特進理系クラス


例年はA組が特進文系クラス

一番最後のクラスが特進理系クラスだったが

自分の学年は特進クラスを希望する者が少なかった

それ以前に学年の人数は150人もいなかった為、

厳しい環境に置かれるのを嫌がる人が多ければ

それなりに特進クラスの構成人数は少なくなる


特別な措置が取られ、

特進クラス自体はA組という一つだが

教室は二つ用意され、

英語や体育、芸術科目だけが合同で行われる形になった


4階に上がり、教室のドアを開けると

そこには16個の机と椅子しかなかった

普通は30個の机と椅子が置かれているため

かなりスカスカに見えた


そして担任は、受験のときに監督だった先生だった

大学を卒業してすぐにこの女子校に赴任したそうで

まだ30歳だった

自分たちの学年の前にも特進理系クラスを受け持っていた先生だった



大変だな

大学卒業してすぐに女子校なんて

正直、男子がいない分

何でもやりたい放題だ

廊下で着替えるなんて日常茶飯事だ





学年が上がるとすぐに健康診断が行われる

泣く人が続出する採血


近くの病院の看護師が派遣されて行われるのだが

それはかなり痛い

練習台なのかと思うくらいで

10回も刺される人もいた


自分はだいたいいつもベテランらしき人に当たるのだが

毎回のように

「あら、血管細いわねー」

と言われる

駆血帯を巻かれてもなかなか出てこない血管

かなりの力で擦られる

やっとのことで出てきた血管に

太い針が刺され、血液が吸い出される



それさえ嬉しかった

自分の汚い血が外に出ていくことが

献血できるならしたいが、体重が軽すぎるためできなかった

体重制限なんて面倒臭い

いくらでも抜いてくれて構わないのに

AB型は日本人で1割程度しかいない

他の血液型に比べれば、必要数は少ないが

もちろん供給数も少ない

血液型診断みたいなのがあるがくだらない

そのせいで、AB型というと変人というレッテルが貼られるのだ

たまたま、A型とB型の間に生まれたから

そうなっただけだというのに









首痛いな


痕はほとんど消えたが

まだそこはキリキリと痛んでいた



また死ねなかった

ちゃんと遺書も書いたのに

あとちょっとだったのに

なんであそこで紐が切れたかな


もう笑うしかなかった

自分の変な生命力の強さに





4月に入ってすぐ

2度目の自殺を図った

使用したのはビニールテープを1ロール全部使い

編み上げ、ロープ状にしたものだった


椅子を足で蹴り飛ばした

重力で体は下に引っ張られる

首に食い込むそれが堪らなく痛かった

タオル噛ませておけばよかったかな

でもこれが最後なら我慢しよう


でもこれが成功したら

早く発見されないと

目が飛びでたり、上からも下からも出るものが出るという

それだけは嫌だな


もういいか

目を閉じた



その瞬間だった

ブチン

と大きな音を立ててそれは切れた


首の拘束は解かれたものの

そのせいで体は床に叩きつけられてた


「痛い」



頭もそのとき打ったようで

その日はずっと頭も冷やして布団に寝転んでいた


死ぬことさえできない自分にも絶望しながら



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