そして彼女はリンゴを贈る
毒リンゴを製造している。なにぶん仕事なもので。
近年、魔女たちは忙しくて、道具を自己製造する暇がない。そこで弟子あるいは独立した魔女の一部は、こうして毒リンゴや毒矢、狩猟用の罠などを製造販売している。
「だったら私が買ってもいいでしょう?」
白雪と呼ばれる姫君は、先日自分を意識不明にした毒リンゴの秘密を暴き、我々の前に現れた。同じリンゴを手に入れ、自分を毒殺しようとした魔女に与えるという。
復讐?
「いいえ。おかあさまが私を愛してくださるように、私が彼女を陥れ、私が彼女を助けるの」
白雪は鮮やかに微笑みを浮かべる。これはいずれ魔女になるだろう。
一途に、魔女たるおかあさまを追って。
300字SSです。