第一章 LOVE&愛 一話 結婚
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「いやいや、待て待て! エドリナは俺の腰くらいしかなかったぞ!?」
「成長したもん! 魔族は成長するのが異常に早いからね」
「で、でも...その...む、胸だって、大きくなりすぎじゃないか?」
エドリナは明らかに胸の大きさが3倍、いや5倍になっている。昔はリンゴ級であったのに対して、今はスイカ級くらいはあるんじゃないか? 大人の色気というやつがメラメラと出ている。
「むー! 胸は関係ないでしょ!」
エドリナは胸をポカポカと叩いてくる。
「本当にエドリナなのか?」
「だから、さっきからそう言ってるじゃん!」
「そっか...よかった...」
涙が勝手に溢れ出る。ダメだ、止まらない。
◇
「ご、ごめん...泣いちゃって」
「気にしないで! じゃあ、今すぐ結婚しなくちゃね!」
「うん..........ん?」
「じゃあ、『婚約の儀』をするね?」
エドリナは【結婚の儀】と言うと、地面に大きな魔方陣が浮かび上がった。
「ちょっと待って! 俺とエドリナが結婚するの!?」
「うん! そうだよ?」
「マジかよそれ.......」
すると、突然エドリナの瞳には大粒の涙が流れていた。
「嘘だよね? 結婚しないなんて嘘だよね?」
涙で顔がくしゃくしゃになったエドリナの目の中に絶望の色が溢れていた。
「ホントなの...? ホントなら私生きていける自信がないよ...」
昔はよく言われてたけど、本当に好きだったとは...。
「でも、エドリナは俺なんかでいいの?」
俺は奴隷の身、ましては犯罪者でもあるのだ。そんな俺とエドリナでは釣り合うわけがない。
「俺なんかなんて言わないで? 私はセオンが好きなの。この世界で一番好きなの」
「そ、そうか...でも、結婚はできない」
「どうして!!!」
エドリナは俺の肩を掴み大きく揺らした。
「俺、奴隷だし...金ないし...エドリナとは釣り合わないと思うんだ。だから————————————」
‶パチンッ!″
頬を叩かれた。
「ふざけないで!! 身分とかなに! それだけで私がセオンのこと嫌いになるとでも思ったわけ? なめないでよ!」
「ご、ごめん...」
エドリナは本当に怒っていた。俺は自分が情けなくてしょうがなかった。身分に縛られている俺に対しても、また自分の気持ちが伝わっていないことに対しても。
「私は本当にセオンが好きなの。大好きなの。だから、私と結婚してほしい」
「俺なんかでいいのか?」
「何回も同じこと言わせないで! セオンがいいの! セオン以外ありえないの!」
「そ、そうか...」
セオンは大きく深呼吸をした。そして、
「俺はこの7年間、つらい思いをしてきた。精神も崩壊しそうだった」
「...................」
エドリナは黙って聞いていた。俺は続けて言葉を紡ぐ。
「でも、精神が崩壊しなかったのはエドリナのおかげなんだ」
「え? え? わ、私?」
エドリナは唐突に自分の名前が出されたことに驚いた。
「エドリナの笑顔を思い出す度に、俺は元気になれた」
「エドリナを思うとキュッと心が締め付けられていたんだ」
「これが俺には分からなかった。でも、今はっきり言えるよ」
エドリナの瞳には再び涙が浮かび上がっていた。
「恋してたんだと思う。俺はエドリナが好きだ」
「うぇえええん!!」
エドリナが突然、大きな声をあげて泣いた。
「お、おい、そこまで泣くことなのかよ」
「だっで...だっで、世界で一番好きな人にに好きって...言われたからぁぁぁあああ」
「ほら、おいで」
エドリナの頭を撫でながら、抱きしめた。
「結婚してくれるか? エドリナ」
「..........知ってるくせに」
その後、【婚約の儀】を行い、晴れて正式な夫婦へとなった。