道路概論
道、である。道は何処からか湧いては来ない。何者かがこれを施工しなければならない。
そして、道には絶対必要な条件がある。それは安全である。熊でさえ自ら道を構築し安全を確保しようとする。まして人間ではその重要性は言うまでもないのである。
また、輸送力を担う以上、通行のしやすさというものが要求される。でこぼこであれば荷車の車輪がとられてしまい走り難いだろう。
山において一番安全なのは尾根道である。なにも落ちてきたりしないし、遠くまで見える為に目印も多い。しかし、残念ながらそれはあくまで徒歩か、よくて駄載レベルの輸送しか期待はできない。『国道?酷道!?日本の道路120万キロ大研究』の133ページによれば馬車や人力車は標準的に30分の1勾配が限度である。これ鉄道並に勾配に弱いことになり、尾根に上がることは困難である。ならば麓、あるいは中腹に道を作らねばならない。すると落石、雪崩、土砂崩れあるいは山体崩壊などの危険を冒さざるを得ないのである。それらを克服するために様々な付帯物は作られる。例えば尾根を越えられないから隧道を掘る、あるいは雪崩や落石から通行者を護るための覆い(ロックシェッドやスノーシェッドという)。
また、河川や谷を越えるために橋梁が作られるわけである。
これら付帯物は当然維持管理が必要でありむやみに大きいものは使いたくないものだ。そのため、交通需要予測はかかさない。
路盤の整地であるが、道に出る小石を取り除いて、穴を埋めただけの土の道であってもないよりはましなのであるが、これは悪天候に弱く、豪雨のなかでは沼にも近くなろうか。
そして、案外バカにならないのが砂利道である。それらを確かに克服し得るのだ。さらに上を通る車などの力を分散し得るので路盤をより長持ちさせることができる。難点は轍や偶発的に生じた凹凸から急激に劣化することである。整備に当然ながら人員が必要であり、点検業務も大変であろう。
石畳敷石舗装という。古代ローマの舗装を参考にするとよいだろう。ただし、あれは極めて構築に手間をかけている。路盤に大なる石を敷き詰め(拳大)、その上に採石や砂利を敷き詰める、さらにセメントを敷いてあと初めて表層石を置いている。もちろん表層石は路面側を平滑になるように削ったりしてある。また、道路をぶったぎった断面をみたとき路面は緩やかに弓形を描き、路肩への排水を適宜に為している。そもそも石畳は、雨水などは浸透しやすいのであるが、さらに排水を強めているのだ。また、歩道も付属していることもある。強みはそれこそ極めて耐久性に優れることである。いまだにローマの街道は自動車の交通をゆるすほどである。欠点は寒さに弱いことであり、浸透した水分の凍結などを受けると急激に劣化することである。
アスファルト舗装はここで述べないが、そんなに長くもたないことだけは記載する。
概論であるためここで一度筆を置く。細部はそのうちリクエスト等があれば記載するつもりである。