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交換屋さん  作者: 穂村
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ある記者のお話

都市伝説が生まれる意図とは?


 

  最近の出版業は全く売れ行きが伸びない。これも国家の政策のせいだ。

  一年前のことだ。社会はその時、物を大量生産し、人々は大量消費をする経済が確立しており、またオリジナルな作品を違法コピーしたものが出回ってしまうという現象が起こっていた。前者では例えば、今ではないペッドボトル、割り箸。これらは使い終わったら捨ててまた新しいものを使うという経済を回す上では有効的なものであった。しかし、一方では環境悪化に直結するものとして国際的な課題となっていた。後者でいう例は、主に漫画や音楽である。これらはインターネットという誰とでも簡単に情報を共有するという媒体の存在によって、デジタルデータ化したものをアップロードすることで横行されるようになった。もちろん違法であるために取り締まることはできたのだが、配信元が海外サーバーであったりするなどで警察が容易に動けないという現状があった。

  そこで国家達は国際的な課題としてついにこれを重視し始め、去年前者を環境悪化対策法、後者を人間管理法という法律を作り上げた。

  前者に関しては、文字通りな内容であり、使い捨て商品の生産を取り締まる他、大量生産の行動を禁じた。これは今までの働ければ働くほど給料がもらえるという資本主義の考えに多大な影響を与えるものであったため、経済学者の間で当初はこのままでは経済活動自体が衰退してしまう、ということで物凄く反発があった。しかし実際は違った。人々は既に疲弊していたのだ。物を使っては捨て、使っては捨てる経済に…。そのために問題が起きることはなかった。

 たいして後者の法律。これは革命であった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()今までの著作権というものは人々が作った作品などには作者が権利を持ち、そのために他の人はこの作品を勝手に使ってはいけないと主張するもの、いわば作者の所有権のことだった。しかし今では違う。人間そのものを国際社会は作品と捉えることにしたのだ。一人一人が作られたものとして扱われるなんて考え方を前世紀の人は誰が考えただろうか。とにかく後者の法律の成立により、それならば作品を守ることは必要であると主張した世界政府の意向により国際人権軍という団体が組織され、それらは全世界に配備されるようになったのだ。

 話はだいぶそれた。とにかく私たちは権利というものに縛られいきにくくなった。これからわた……。


 執筆は疲れるものだ。まだおわっていないが、今日はここまで書いて終わりにしようとする。

 長時間椅子に座ったせいか腰が痛い。背伸びをして、とりあえず背中の筋肉をほぐす。

「お疲れ様です。コーヒーでもどうぞ。」

「あぁ、ありがとう。」

 差し出されたブラックコーヒーを飲む。コーヒーのいい香りとほどよい苦さが私の仕事中のささやかな楽しみだ。

「今日も大変そうですね。あの国際法の記事ですか。」

「うん、そうなの。今週中に終わらせたくてね。早くアップしないと世間の興味も薄れてしまうだろうし。」

 近年の情報発信はネットが主となった。デジタル化されたデータは持ち運びも容易だからであろう。

「そういえば全然関係ないんですけど、都市伝説って興味ありますか?」

「都市伝説?ないない。だってあれって信憑性ないしね。よくいうでしょ。あれを見たら命を吸われてしまうっていう系のやつ。でもそれならなんでその伝説が広まるんだって思わない?」

「と言いますと?」

「命を吸われたなら噂なんてできないでしょうって話。」

「あぁ、なるほど。まぁそれもそうですね。この企画やめときます。」

 そう言って同僚の男はゴミ箱に資料を捨てた。

「また、新しいネタ探してきます。」

「おう、いってらっしゃい。」

 次のネタを探しに行く男の後ろ姿を見ながら、コーヒーをすする。

「早く書き終わらないとね。」

 再びパソコンに向かう。その時、ごみ箱から【交換屋】という文字が見えた。

「交換屋…これが都市伝説か。ちょっと見てみようかしら。」

 資料に描かれたゴミを払い読んでみる。



 交換屋さん

 とある町に現れると言われているこの都市伝説

 彼はあらゆる望みを叶える代わりに望むものからなんらかの代償を受け取る。



「なんらかのってつけるあたりが都市伝説っぽいわね。」

 再びゴミ箱に投げて入れる。

「都市伝説を調べるよりも、()()()()()()()()()()()()()()()()を考える方が面白そうね。」

 いつか機会があれば調べてみようかしら。おっとコーヒーがなくなってしまった。追加のものを取りに行かないと。





 都市伝説…

 それらは毎年なんらかの形で現れている。

 それは誰かに何かを訴える意図を含んだ形で

 それは誰かが悪意を持って怖がらせる形で

 そしてそれは誰かが願った形で


 交換屋さんという都市伝説はいったいどれに当てはまるのだろうか。

 その答えを求めることはある意味では愚かではある。

 しかし仮にもし人々がこの都市伝説がうまれた意味を見出すことができたのなら


 その時初めて人々は自分たちの感情に気付けるかもしれない。。。


(人々が求めるものとは…?)

短編でした!

解説編は書く予定ではあります。。

(解説を書くようではまだまだなのですが…)

他にも全く別のジャンルをやっていますので良かったら是非時間のあるときに読んでみてください。

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