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後の先

遂に戦闘が開始する。


お互いの思惑の中、ブライアンと真人の間に火花が散る。

「状況開始!」


その言葉に自陣兵士が動く。

大きな銃を腰の高さに構えた兵士が雑居ビルからぞろぞろと駆け足で出てくる。

寂れた雑居ビル街に相応しくない、それでいて不思議と違和感を覚えない光景だ。


作戦では自軍兵士は街の中腹辺りまで進軍を行う。

そこで基本的な防衛線を張る予定だ。


兵士達は足を止めることなく進軍を続ける。

俺はその様子を後方の自陣のモニターにて監視する。

敵の作戦が分からない以上は安易に攻め入ることはできない。


「まずは、どう出る……」


慎重に且つ臆病にならず、冷静に戦況を把握しなければ作戦を立てることはできない……


自軍兵士が進軍を止める。

街の中腹に辿り着いたのだ。


ここから25の部隊を所定の位置に配置する。

防衛線さえ張れればある程度のことには対応できるだろう。


とはいえ、正ひし形のこのフィールドにおいて、2500人で5km四方の対角線に防衛線を張るには人数が少なすぎる。

対角線の距離は約7km。

1列に並べて一人2mの間隔で配置すれば、隙間は出来ないが、一点突破は容易になってしまう。

まぁそんな陣形を作るやつはいないと思うが……

かと言って、人数を固めると隙間ができてしまい、対応が遅れる。


そこで俺がとった防衛線は自陣から両サイドの角に向けてVの形に張る防衛線だ。

これであれば人数を固めて出来てしまった隙間を後ろがカバーできる。

敵の作戦を最大限の警戒した基本陣形になっている。


「作戦通り部隊Aから順に所定の位置へ、また部隊Zはラインを上げて、敵の位置の把握。

随時通信によって戦況を報告して下さい。

現場の判断でヘルプは出してもいいですが、多人数で動くと隠密性に欠けます、できる限りは部隊内で完結させてください」


俺が出す指令と共に中腹に進軍した兵士達が動き始める。

1人はビルの影へまた1人は民家の塀の裏へ、それぞれの兵が敵に把握されぬよう細心の注意を払い各々の防衛地に赴く。

そして、部隊A~Yまでの部隊が所定の防衛地に着いた。

それと同時に部隊Zが中腹から敵陣営に向けて走り出す。


「さぁ、ブライアンはどう出てくる……」


皆息を潜め、部隊Zからの通信を待つ。

どの兵士も銃を構えどんな突発的状況にも対応ができる。

そんな感覚を覚える。


ザザ……

レシーバーが鳴る。

通信だ。


「こちら部隊Z5、中腹より2kmまでに敵を観測できません。

また、敵陣に兵士は見えません」


ある程度予想は出来ていたが立ち上がりはお互い静かなものだ。

ブライアンは実戦経験が豊富だからこそ、警戒は怠らないはずだ。

今回は隠密性を重視してきたということで考えていいだろう。


ここから先は根比べだ。

お互いに戦況把握されぬよう動く以上、先に動けばこちらの作戦を読まれ劣勢に立たされる。

経験がない俺としては不利的状況はあまり作りたくはない。


「部隊Zはラインを下げフィールド中腹で待機。

その間に起きた戦況変化を報告して下さい」


まだ序盤。

急ぐ必要はない。


中腹にいる部隊Zはフィールド中央付近で息を潜める。

フィールド中央は大きな交差点となっているため、見晴らしは良い。

戦況の把握にはもってこいの位置。

それ故にそこがお互いの監視下にある事を予測できる。


「さぁ……動いてこい……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







どれほどの時間が経っただろうか。

実際は1時間足らず。

しかし、戦況が動かず常に緊張状態を維持しているために、体感ではその何倍もの時間が過ぎたように感じられる。


兵士達がしびれを切らし始めた頃、遂に戦況が動いた。


「こちら部隊A通信。

敵部隊を視認、その数約3……4部隊……

いや、もっといます……指令官、指示を……」


遂に動いた……

が、これは予想外だ……まさか……


「こちら部隊Y!

こちらでも敵部隊を視認その数約7部隊!

敵との距離1kmありません!!」


まさか……両サイドから戦力の大半を特攻させるとは……


このままじゃ突破される。

数の力で道を作るつもりだ……


ただ、逆を言えば今敵は自陣を守る力が弱いと言うことだ。


なら……


「部隊B~Hは部隊Aの援護へ!

部隊O~Xは部隊Yの援護へ!

そのほか部隊K以外の部隊は部隊Zへ合流!

戦線をあげる!」


「「了解!!」」


自陣のモニターマップに味方の青点以外の赤い点がつく。

敵とぶつかった部隊が敵にマーキングをした証拠だ。

このマーキングによって、敵の位置を把握できるようになる。

マーキングは各兵士がもつマーキング専用ゴーグルを付け、目視することによって兵士の軍服に付けられたICチップの情報を読み取り以後マップに位置情報を付けてくれるようなっている。

当然、兵士達のもつ端末にもマップ表示があるため、そこにも表示されるようになっている。


これはこちらがマーキングが出来ている以上はあちらからもマーキングが付けられるということでもある。

そのため、隠密性を重視していたのだが……


ブライアンはこの特攻でマーキングの重要性を下げる狙いのようだ。


「両翼、敵の数は約1000人……

5分の4の戦力をここに費やしたか……」


こちらが出した部隊は左翼に合計800、右翼に1100。

突破されるとしたら間違いなく左翼だろう。


「左翼部隊へ通達。

全兵士、戦線を下げつつ自陣まで後退。

作戦θを決行」


「「了解」」


フィールド中腹左。

明らかな劣勢の部隊は少しづつ少しづつ後退を始め、作戦地まで敵を誘導していく。


マーキングが成功し、誘導はさほど難しくはなくっていた。


自陣を青、敵を赤と表すならば、青側のフィールド中腹、自陣から約1kmと少しの正面。


そこが後手の優位を取るための作戦の第一フェーズ。



「ブライアン、これが後の先だ!」


その声と共に左翼部隊の誘導が完了した。

またまた遅くなりました!

待たせてしまって申し訳ございません……


遂に主人公真人の戦闘シーンには入りました!

これからどうなっていくのか、ぜひお楽しみに!!


もしこの小説が面白いと思ったら、評価、ブクマ、感想、レビューをお願い致します!


それではまた次回!

お会いしましょう!

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