それぞれの思い
テスト戦開幕
真人、ブライアン、団長、夏目の思いが交差する。
戦いに踏み入る覚悟、踏み込ませる覚悟。
それぞれの思いを胸に戦いが遂に始まる。
テスト戦がついに開幕した。
この戦いのルールは至って単純。
ルール自体を簡単にまとめると……
まずはフィールド。
現在は廃墟区となった市街地、5k㎡を使用する。
この土地は敵が現れる危険区域ギリギリにあるため居住地としてつかうにはあまり向いていない。
そのため軍事演習などの模擬戦闘用に使われている土地だ。
次に各チームの戦力。
この戦いでは各チーム1連隊を編成して戦いに望む。
1連隊の人数は約2500人
つまり、総勢5000人による大型の模擬戦となる。
部隊編成に関しては指揮官に委ねられ、編成部数や編成人数は全て自由となっている。
次に勝敗の付け方。
これは単純明快だ。
敵指揮官を戦闘不能にする、もしくは敵陣の制圧で勝利となる。
敵陣制圧は敵陣にある擬似爆弾を起動し、起動後5分間爆弾の解除がなされなかった場合を判定としている。
起動に必要なパスコードを読み取る機械は互いのチームに与えられており、誰が持つかは各チームの戦略の一部とする。
擬似爆弾の装置、パスコード読み取りの機械は同様のものが使われている。
敵陣制圧については少しややこしいが、つまるところ指揮官がどんなに逃げ回っても、自陣を放置すれば負けると言うことだ。
最後に使用兵器。
使用武器に関しては原則センサー式の銃とゴム製のペイントナイフ、副装備のセンサー爆弾のみとしている。
大型の兵器はコストや安全性の面などから模擬戦には使用されない。
つまり歩兵戦のみの模擬戦となっている。
センサー式の銃はセンサー感度によって分けられている。
いわゆる射程だ。
ハンドガン、アサルトライフル、ライトマシンガン、スナイパーライフル。
そして、副装備としてセンサー式の手榴弾と遠隔操作式のセンサーc4の使用が認められている。
副装備の爆発物は火薬量を抑えて作られた模擬戦用だ。
撃たれた場合、センサー強度と反応部分によって生死が分けられる。
当たりどころが良ければ被弾しても戦闘の続行が可能になるということだ。
これらが基本的なルールとなっている。
両陣はそれぞれ対角にある。
要はフィールドがひし形になるような配置だ。
あまり広がって制圧には行けないということになる。
それを踏まえての部隊編成。
時間は30分。
あまり悠長にしている時間はない。
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「これが俺たちの陣地か……」
テスト戦開幕後30分の編成時間に自陣となる場所を確認する。
それはあまりに平凡な雑居ビル。
廃墟区となってそれほど時間が経っていないこともあって風化もそれほどない。
様々な事故が原因で窓ガラスが割れていたり、手すりや柱が所々壊れてはいるが廃墟と呼べるほどではなかった。
周りには同じようなビルが何棟かある。
この市街地は中小企業のオフィス街だったのかもしれない。
所々に民家もある。
ビルは全て6階から7階程度で敵陣が見れるほどではないようだ。
自陣のビルの中にはある程度の設備と擬似爆弾のようなものも置いてある。
想像以上に本格的設備で予想外に平凡な街並みだった。
「さてと、部隊編成をしよう」
俺の頭の中にあった戦略がそれなりに応用できそうなルールで安心した。
連隊人数も申し分ない。
ただひとつ不安があるとすれば、実戦を行っているブライアンを俺は見たことがないというこどだ。
「全メンバー揃ってますか?
この戦いではその時々によって作戦が変わるので各部隊に必ず通信兵を配属します」
自陣付近に集まったであろう、自分のチームにレシーバーを通して部隊編成を行っていく。
「一部隊100人編成でA~Zまでの25部隊編成で戦います。
敵チームに顔が知られている人もいると思われるので盗聴対策として各メンバーに番号を割り振ります。
後ほど通信兵に伝達はしますのでそれを元に動いて下さい」
この戦いではきっとどれだけ明確に自チームの動きが把握できるかにかかっている。
そのため、メンバーそれぞれを把握できる暗号が必要不可欠になる。
俺は地図を見てさらに編成を進める。
「それと、もう1つ大事な役割の人が部隊にはいます。
それは各部隊の1番の番号を割り振られた人です」
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「さてと部隊編成を始めようか!!」
「「おぉーー!!」」
俺の声に全員が声をあげる。
指揮は相当に高い。
実戦において戦略と同じだけ重要な項目だ。
真人の動きはゲームでしか把握は出来ていないが、あいつは並の指揮官以上に頭がキレる。
ただ、実戦とゲームの違いがまだ分からないひよっこだ。
手加減なしにぶつかってしっかりと教えてやらないといけない。
「今回の戦いもみんなが慣れてる編成、戦略を使う。
当然、例外的状況には対応はしてもらうが、新人指揮官のチームに負けるわけにはいかない。
そこの所を全メンバー把握しておいてくれ!」
このテストは勝ち負けではなく、どれほど指揮官適正があるかを測るものだ。
ある程度厳しい状況になってもらわないとテストの意味がない。
だからこそ……
「いいか……手加減は一切無しだ。
全員全力で戦いに挑め!」
「「おぉーー!!」」
ここで俺がエリィ〜トだともう1回確認させてやらないとな!
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「そろそろ両陣動き始める頃合だな……」
フィールドに設置されたカメラの映像を観ながら時計を気にする。
ブライアンの推薦とはいえここまで大規模の模擬戦闘……
素人にどうこうできるようなものではない。
それを知っているからこそ、真人のことが心配になる。
「真人ならきっと大丈夫だよ」
夏目が横へ来てそうつぶやく。
「すまなかったな。
何も話してなくて……絶対に反対されると思ってな……」
「ううん、いいんだよ。
あんな一生懸命に何かを考えてる真人久しぶりに見たし。
きっと良かったんだよ」
夏目は深呼吸を一度つき、言葉を続けた。
「真人ならきっと大丈夫だよ」
娘のその姿をみて罪悪感に苛まれる。
娘の大事な友人を戦場に関わらせてしまったこと、息子のように思っていた真人を関わらせてしまったこと……
自分の家系で重要な役割をもつ娘が戦場に立つこととはまた違う。
自分の不甲斐なさに腹が立ち、そうしなければ今を変えることができないことも理解しているのが悔しい。
親として組織の長として、まだ自分が未熟であることを悟らされた時間だった。
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「みんな準備はできましたか?」
その言葉にガチャリと銃の音がする。
準備は完了したようだ。
空気を大きく吸い込む。
心臓の鼓動を感じる。
……戦いが始まる。
「……状況開始!」
戦いが遂に始まった。
前の話をいつ書いたのか忘れてしまうほどの間が空いてしまいました。
読んでくださる皆様に申し訳ないです。
まだまだ忙しい日が続いておりますが、小説も書き続けたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。
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ではまた次回お会いしましょう!




