始動
世界が崩壊したなか真人と勇気は【楽園】(エデン)
での救助活動に尽力していた。
しかし、その中で煮え切らない気持ちが心の中で燻っている自分を知ることになる。
そんな中ブライアンに呼び出された真人は、まさかまさかの提案をされる。
その提案とは……
「入るぞ、ブライアン」
俺が呼び出されたのは何故か司令室だった。
「おお!来たか!」
ブライアンのその声に出迎えられ部屋に入る。
この部屋に入るのも慣れてしまったものだ。
ふと、横に目をやると、そこには団長も同席していた。
まぁ、当たり前か……ここはそういう部屋だ。
そう自答し、席へと向かう。
「んで、話ってなんだ?ブライアン」
席に座り、呼び出された用件を聞き出す。
さっきまで一緒にいたのに、わざわざ個別に呼び出したのだ、それなりの用件があるのだろう。
「ああ、そのことなんだが……」
しかし、話始めたのはブライアンではなく団長だった。
団長は困り顔を見せたまま話を進める。
「落ち着いて聞いてくれ?」
団長はそう前置きを置いて話し出す。
「……ヴぅん……ふー……」
珍しく口ごもっているようだ。
そんな性格でもないだろうに。
「どうしたんだよ」
俺が催促を入れると団長の口が動いた。
「ん……あぁ……実は……ブライアンからの提案でな、お前を作戦指揮の部隊に配属しろとのことだ」
え?……
は?……
は!?
「ば、馬鹿か!?この前まで普通の大学生だった俺に作戦指揮!?ありえないだろ!」
それは実に非現実的で非理論的。
到底不可能なことに違いない。
誰であろうとそう思うだろう。
そんな提案が今目の前に出された。
一体どこのどんな軍が、組織がついこの間まで一般学生だった人間を作戦指揮の部隊に入れるだろうか?
「いや、お前の言いたいこともよく分かる
俺もずっと無理だと言っているんだが……」
おもむろにブライアンの方へ視線を向ける。
ブライアンはニヤニヤとした表情のままこちらを見つめていた。
あぁ……馬鹿だ……
上官に対してだが、思ってしまった。
「ただ、俺もまだ納得していないのは事実だ。
だから……3日後に模擬戦を行ってその素質があるのかを判断したいと思う……」
団長は頭を抱えたまま提案を続ける。
……ブライアンめ、余程陰湿なことをしたようだ。
「いや、でも3日後ってやけに急じゃないk」
「こいつを諦めさせるには早い方がいい……」
団長は食い気味にそう告げる。
あぁ、これは相当参ってる状態だ……
もう一度ブライアンに目を向けると、変わらずニヤニヤとした表情で立っていた。
「まあ、何にしろおも……吉……」
「思い立ったが吉日か?」
「そう!それだ何事も早いに越したことはない!」
ブライアンは意気揚々とそう答える。
エリート軍人とはいえこれは無謀に等しい……
「ブライアン日本にはな、急がば回れなんて言葉もあるって覚えといてくれ……」
急な提案は慣れていたつもりだったがここまでのことをするとは思ってもいなかった……
ブライアンはそんな俺にさらに反論を投げ返してくる。
「そんな悠長なこと言ってられないだろ?
……もう世界の6割は機能を停止してるんだ」
……
その言葉に俺と団長は黙り込む。
そうだ、その通りだ……
ここにいると忘れてしまいそうになるが、世界ではまだまだ援助を受けれない人がいるんだ……
早くこの状況をどうにかしないといけない。
ブライアンは何事も急だが、的外れなことは提案したりしない。
なにか考えがあってのことなのだろう。
突飛な提案だが、その考えを信じるしかない。
沈黙が場を満たす。
それが、ブライアンの発言がどれだけ重大なことかを教えているように。
そして、そんな沈黙を破ったのもこの男だった。
「というわけで!
3日後に予定されてた演習を急遽、模擬戦に変更して真人のテスト戦ということで!」
ブライアンは今まで黙っていたのが嘘のように軽快に喋りだした。
それほどまでに通したい事だったのだろう。
喜びが手に取るようにわかった。
「あ、あぁ……わかったよ……」
そんな姿を見た俺は二つ返事で了承せざるを得ない状況になってしまったのだった……
まさか……こんなことになるとは……
そう思いつつも少しだけ心が踊っている自分がいることを自分自身まだ知らない。
これがなにかのきっかけになってくれることを祈るとしよう……
「はぁ……」
ため息を漏らす俺をブライアンは笑いながらも真剣な目で見ていた。
しばらく投稿が途絶えていましたが、今回から再始動です!
学生の身ながら、テスト、実験、進級への問題など、プライベートでの問題が多く小説に集中出来る時間がありませんでした。
しかし、その間も少しずつ小説の勉強を重ね、モチベーションを高めてきました!
執筆ペースはまだまだ遅いですが、どうか暖かく見守って頂けると嬉しいです。
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では、次回またお会いしましょう!




