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イタチは笑う  作者: 足利義光
第一話
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精製施設へ

「おい、ここで間違いないんだな?」

「は、はい。あの錠剤はここで精製されてます」

「もし嘘なら……」

「滅相もないッス。イタチさんにそんな嘘つける度胸なんてないッスよ。」

「……ならいいや、家に帰れ。ただし、クスリには二度と関わンな。」

「は、はいっ。」

「さてと…………」


 オレはザコAにフォールンの精製施設へと案内させた。時間は朝の五時。

 朝日がもう少しで昇る時間だ。ン? オレが急いでるって? ああ確かに。


 それには理由がある。

 ザコAの話だと精製したフォールンを今夜にも流そうとしてるらしいからだ。

 誰が受け取るにせよ、ロクな事にはならない。

 だからさっさとフォールンの精製施設に潜入してここをぶっ壊す事にした訳だ。

 黒幕が誰かはカラス兄さんにここを連絡したから、クロイヌが調べるだろう。つまり本当ならば、オレの仕事はここで終わりってこと。

 とりあえず正面は流石に目立つので裏側に回り込む。入口は無い。少し考えよう。ン?


 キキッ。


 車が三台やって来た。車から降りてきたのは組織の連中。人数は五人。どうやら護衛らしい。最後に一人降りてくる。年は50歳程。身長は170位。どうもコイツがボスらしいな。


「おい、ブツは用意出来てるんだな?」

「はい、あとは箱に積み込んで運び出すだけです。」

 ボスらしい男、腹が出てるから腹ボテにしよう。

 腹ボテが護衛の一人に横柄に話し掛ける。他人が勝手に死ぬのは構わないが、店にまでとばっちりが来たらオレのなけなしの給料まで影響する。それだけは勘弁だ。


 てなわけで、様子見をする。施設の周囲には人影は無い。見張りがいる気配も無い。普通なら厳重に警戒しそうな物だが、ここが組織の管理下にあるから、敢えて誰も近付かないのだろう。


 ま、ンな事はオレには関係ねぇか。……それより急がないとな。



 ◆◆◆



 一方で腹ボテは焦っていた。取引相手が時間を早めたからだ。

 相手が小物なら突っぱねれば済む話だが、今回は別だ。それにどうやら組織内で裏切り者の調査が始まっている。時間はかけられない。

 指揮をとるのがあの生意気な若僧クロイヌ。アイツのおかげで自分の組織内部での権益が減らされた。

 そう全てアイツのせいだ。だから、フォールンを流し、資金を蓄えつつ、スラムのチンピラに与えてヤツの縄張りを荒らして、失脚させてやるつもりだった。

 首尾よくアイツが失脚したら簡単だ。殺せばいい。組織内ではいつもの事だ。とにかくここを引き払えばいい。


「おい、急げ。回収したら設備は壊せ。」


 腹ボテはニヤリと下卑た笑みを浮かべた。



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