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序章
...数年前、ロシア北部で大きな作戦があった。
大規模な作戦だ。巨大テロ組織を相手にしたもので、正規軍ではない、特別な軍が参加していた。
彼らの名を明かすつもりはない。
ただ、覚えていてほしい。この世界には、我々の知らないところで、命をかけている者達が大勢いると。
何にかは分からない。他人の幸せのため、国のため、自分のため。
まあ...自分のために命をかけているのはほとんど全員であろうが。
その軍に、ある子供がいた。言うまでもなく、何らかの力を使って軍部に配属された子だ。
彼は幼い頃、狂気だった。
辺境の地で、若くして気狂いのピエロとなっていたのだ。
その少年の運命の歯車はまるで気まぐれな風のように、おかしな回転をしていた。
そしてそれが暴走して自壊を始めたとき、それを止めた少女がいた。
彼女もまた幼かった。
しかし...彼女は強かった。彼女は彼を人間にした。
半狂乱の死神の如き少年。それを鎮める女神の如き少女。
対極的な2人の出会いは、世界の運命を変えたのかもしれない。
これはそんな2人の...語り継がれない物語。