必勝
なし
強面のおっさんがお怒り。年齢60歳くらいか。こちらを睨む、怖い。
浴槽に落とした石。脱衣かご。その事でお怒りのようだ。
改めて、浴槽を見ると。お客は多数。子ども連れもいる。だが、みんなの眼は冷ややか。
怒られて当然の様。暴力バーではないらしい。あわてて、石を拾おうとするが、
体を流していないらしく、さらに罵声を浴びる。
だがどうすることもできず、腕を伸ばして石を拾う。拾っては脇の玉砂利に戻す。
全部は拾いきれない。いいかげんあきらめて。
「ごめんなさあああい。」と弱々しく叫んでこの場から逃げ去る。かごを脇に抱え、
浴場の向こう側にいく。よくよく見れば、浴場の向こう側には、
脱衣所が整然と並んでいる。なぜ、私だけが。。。また音楽がインしそう。
頭がいたい。多くの人のざわめき。誰かが何かを呼んでいる声がする。
張りのある声がする。若い声だ。慌ててかごをそこらにもどす。
ざわつきが大きくなる。私を呼んでいる。なぜ呼ぶ。どんどん、呼ぶ声が近づく。
突然。誰かが私の前に立つ。若い女性。20代前半と思われる。思わず裸だった事に氣付くが
隠すものがないので手で隠す。しかし隠しきれない。
そんな私の様子に動じない若い女性。岩手のわんこそばのようなかすりの着物。
赤い帯がまぶしい。舞台女優のように話し出す。
「◎◎様、行きつけのお店大将。大将のマスター様に選んでいただきました、
陛下もご賞味されたまんじゅうそばになります。」
なにを言っている。そして、なぜ、私の名前を知っている。
行きつけの大将。なつかしい。断るが、餃子のお店ではない。
少しうれしい。個人情報は流出しているが。
呼び出しの後、ついてこいとばかりにさっさと向こうに行く。あわてて着替えをする。
脱衣場の向こうに、テーブルが広がる。広がったテーブル群。部屋は思ったよりせまい。
10畳くらいか。何か置いている。自分の名前が殴り書きされている。
小さい四角柱の透明なストーンが重しで置いてある。その下には、うちわの形の紙が重ねてある。
なぜか。必勝!!!!!!!!何に勝つ。なににだあああああ。まさに意味不明。
手にとってながめてみる。シールのようだ。結構使えるかも。。。
なににだあああああああああ。
そして、その脇には、カード状のものが重ねてある。長方形の名刺サイズ。赤の枠で囲ってある。
手の上に広げてみると。赤の縁枠。しかし、中に縁枠がゴールドのものもある。
赤枠でも正方形のものもあるし、小さい長方形もある。透明ななラミネートもある。
なんと、全部名刺。「おまかせください。結婚は私たちに。」婚活か。
ふと壁を見る。N県で婚活パーティ。おいおい、ちらしだ。
M代橋そば。会場の地図がある。なぜここ関東でなくNなのか。
ちらしには絶対大丈夫。何が大丈夫なのか。
なし