秒速50センチメートル
どうも椎贔です。(m。_。)m
とてつもなく暇だったので適当に書いた短編です。
長編にもできそうな内容だけどしませんw
でも、面白いとおもっていただけたらうれしいです∑d(・ω・*)
それは下校途中の事だった。
突如降り出したゲリラ豪雨。
「うわーマジかよツイてね~」
しかし、家まで後約100メートル。
ユーキーは鞄を傘代わりに走り出した。
その時だった!空が一瞬眩しく光り、その直後一筋の稲妻が
ユーキーを直撃!その衝撃にユーキーは吹っ飛んだ。
「うーいてて、何が起こったんだ!?」
あまりのことに状況が掴めずにいると、何やらおかしなことに気付いた。
「……ん?……あれ?おれ、浮いてるぞ!?」
そう、稲妻の影響でなぜか体が地面から1センチ浮いてしまったのだった。
という夢なら良かったがこれは抗えぬ現実、ユーキーは体が浮いてしまったという事実!
かっこいいようにみえてとてもかっこわるい。
そいて一見便利に見えてとても不便
それは自分の意思で前に進む事が出来ないためである。
結局あの後壁伝いになんとか自宅までたどり着いたが
今後ずっとそのように進んでいくのは十字路など考慮すると困難である。
ユーキーが一晩考えて行き着いた答えは背中に小型扇風機をつけてその風力で
前進というホバークラフト式移動方法であった。
実に画期的だが傍からは見るに耐えない。
ユーキーは引き篭もりではないので例え体が地面から1センチ浮こうと
学校を休んだりはしない。
無論翌日も登校した。その方法で。
学校につくなり類まれなるユーキーのそれをあざ笑うかのかの様な視線。
「見てみてーなにあれキモーイ、宙に浮いてるぅーキャハハ」
教室でも好奇の視線は留まる事を知らなかった。
「おまっ、扇風機で前進って、ププ、体宙に浮いてるってギャグか、はらいて~」
「なんとでも言え!俺はなんと言われようとも、例え世界を敵に回してもいい!」
そう、ユーキーが折れないのは理由があった。それは同じ学校に通う彼女、マユカの
存在だった。
「マユカだけはわかってくれるはずだ!」
マユカが教室に入ってきた。マユカはユーキーをみるなり鞄を落として口を覆った。
「っ!?ユーキー君……そんな……宙に浮いてるなんて……」
想像していた反応のあまりの違いにユーキーは困惑した。
「マユカ!聞いてくれ、これには訳がっ」
ユーキーの言い訳を聞く間もなくマユカは目じりに涙を浮かべそのまま教室を飛び出していった。
追いかけようにも扇風機の電源を入れて秒速秒速50センチ程度でしか前進できない。
ユーキーは秒速50センチメートルで進みながら嗚咽を漏らした。
下校時彼の心は既に満身創痍だった。
帰り道、川沿いの丘の上で扇風機の電池が事切れた。
ユーキーはその場に崩れ落ち天を仰ぎ叫んだ。
「どうして!どうしてこうなっちまったんだ!おれは!おれはーー!!」
ユーキーは八つ当たりに背中に着けた小型扇風機をぶん投げた。
扇風機は電池カバーがはずれ電池を撒き散らしながら転がっていった。
「なぜだ……なぜ……」
ユーキーがギャン泣きしていると先ほど投げたはずの扇風機が手元に差し出された。
「たいせつなものでしょ?投げちゃだめだよ」
それを差し出してきたのは他のだれでもない、マユカだった。
「今朝はごめんなさい、あの後良く考えたの、ユーキー君はたとえ1センチ宙に浮いてようとユーキー君だもん」
ユーキーは涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃになった顔で夕日に黄昏ながらかっこいい台詞を吐いた。
「いいさ、俺は信じていた、マユカならかならずわかってくれると……な」
「さ、帰りましょ早くしないと日が暮れちゃう」
そのあとの帰りはマユカに手を引いてもらった。
ところが突然激しい雨が降り出した。
「すごい雨だ、急ごう」
といってもユーキーは手を引かれてるだけなので急ぐのはマユカだけである。
一瞬空が光った。そしてその直後一筋の雷が落ち、またもやユーキーを直撃した。
ユーキーはぶっ飛んだ。
「キャーーユーキー君、大丈夫!?」
「いてて……だ、大丈夫だ……ん?」
気がつくとユーキーは地面に体がついていた。
「やったぞマユカ!体が地面についてる!!」
マユカを見るとなぜか青ざめて口を覆っていた。
「ど、どうしたマユカ、体が元にもどったんだぞ!」
マユカは震えながらユーキーの頭のほうを指さして言った。
「つ、耳が生えてる!!」
「えっ?」
ユーキーは恐る恐る頭のほうを触った。
「っ!?」
なんとユーキー頭には猫耳が生えていた。
「は、はは、まあ宙に浮いてるよりはまだましだな……」
マユカは目に涙を浮かべてこういった
「ユーキー君……ごんなさい、さよなら」
そしてユーキーはまた一人ぼっちになった
~END~
御拝見有り難うございました(≧∀≦)
これのほかにもいくつか投稿してますので
興味を持たれた方、もしいらっしゃいましたら
ぜひ読んでみてください(m。_。)m