あなたの魔法はなんて言うの?
「このひとが…?」
「私の親父、ウィック・フレアだ」
「よろしく頼むよ、ヴァエル。君は固有魔法を持っているんだってね。話はこのバカ娘から聞いている」
「誰がバカ娘だって…?」
「はっ、何も知らせず消息を絶った。周りにかける迷惑を考えていない時点でお前はバカだよ。…それで、ヴァエル。君は固有魔法についてはほとんど何も知らない、その認識で間違ってないかい」
「うん、まちがってない」
「じゃあ、固有魔法について教えていこう」
かつて、勇者と魔王がいた。両者ともに神に等しい魔法を持ち、この世に生まれた。
その魔法とは、魔法を創る魔法。
魔王の魔法は、デモンズという名。
勇者の魔法は、ゴッデスという名。
その2名の戦いはとても、有象無象が介入できるようなものでは無かった。
数百、数千、数万、数億……。新たな魔法が、名を与えられ、この世に誕生する。
その時に創られた魔法が、人に、魔族に、発現することがある。
「その魔法を、固有魔法と言うんだ」
「…なるほど」
「そして、名を与えられて誕生したという逸話があるが故に儂の魔法にも、君の魔法にも本来の名前があるんだよ」
「儂の魔法はシャイン、という光を操る魔法だ」
「なんで、なまえがわかるの?」
「良い質問だ。それは、これからやる儀式のようなもので分かるようになる。まず、君の魔法を出してごらん」
「わかった」
そう言って、机に魔法を出す。
「そして、名前が分かっている儂の魔法を当てる」
淡い光がウイックさんの手に出てきて、ワタシの魔法に近づいていく。
「こうすると、魔法の記憶が呼び覚まされる」
「…!」
これは、誰の声……?ワタシじゃない、この魔法のことを呼んでいる…?
「クリスタル…?」
「あぁ、それが君の魔法の名前だ」
ワタシの魔法、クリスタルは名前を呼ばれた瞬間、さらに色鮮やかに、輝きが増した。
「名前を付けているのと、いないのとでは魔法の強さが数段違う。汎用魔法はもとから名前があるからこんなことは要らないけど、固有魔法はそうじゃないからね」
「なんでつよくなるの?」
「ちょっと難しいんけど、名前を付けることで、この世界での君の魔法の存在が確立する。そして、魔法が全力で扱える……そういうわけなんだよ」
「そうだったんだ」
「固有魔法で分からない事があれば聞いてくれていい。通常の修行は、その子がやってくれるだろうさ」
「当たり前だ、こいつは私の弟子なんだからな。ヴァエル、今日はここまでにしてもう寝ろ。急に連れ出して悪かったな」
「わかった」
──────
もう、朝か…
「おはよう、ヴァエル」
「おはよう」
「まほうためしたいから、ちょっとつきあって」
「分かった」
──────
「たぶん、きのけんだとすぐこわれちゃうから、これ使って」
ワタシはクリスタルで作った剣を渡した。
「え、いいの?」
「うん、てはぬかないでね。それに、しあいじゃないし」
「じゃあ何を?」
「ワタシがまほうでブレイをうつから、はじいて」
「なるほど、分かった」
「じゃあ、はじめるよ」
そう言ってワタシはクリスタルを放っていく。
すごい、結構変わってる。魔法を出す速さも、魔法自体の速さも。純度も変わってるから、魔導具として加工したら、もっと良くなるかも。義手とか新しく作ろう。
「これっ、結構っ、いい修行になるねっ!」
「ワタシのほうもいいかんじ、あとすこしやったらごはんをたべにいこう」
「了解!」
こんな日々がしばらく続くので、次回は数年後。




