元騎士団長の力
今日の相手はゴブリン。最初の日から相当日が経った。慣れてきたとは思うけど、手は抜かず全力で!
数は11、このくらいなら一瞬で倒せないとだめって教わった。茂みから跳び出して、慌てている隙に数体打ち抜く。その殺したゴブリンを固めて盾にしつつ、前身。距離は取らない。ステラに作ってもらった義手が良く馴染む、変形できるのが良い。突進で姿勢を崩したゴブリンの喉を貫く。
「ふぅ…。」
ゴブリンには、魔法を使う個体がいると聞いた。あぁ、アレがその個体か。義手も良いけど義眼も良い。魔力を込めれば相手の魔力の流れが見える。あの人が特別力を入れて作ってくれた。
「みえてるよ、オマエがどんなことをしてくるか」
慣れるのに時間はかかったけど、今では元から体にあったかのような感じだ。
あのゴブリンがしようとしてるのは岩の射出。ワタシの魔法より弱いから…
「これでおわりだよ」
岩ごとゴブリンを打ち抜いた。
───────
「いいねぇ。魔法で相手を狙う精度も悪くねぇ、人数不利の戦い方も板に付いてきたしな。ま、この私の弟子なんだ。それくらいは普通にやってくれねぇと困る。」
「さいごいらないよ。ふつうにほめて」
「はいはい…。あぁ、そういやいっこ提案があるんだが」
「どうしたの」
「お前、私と戦ってみねぇか?」
───────
「この戦いは格上との戦い方を身につけてもらおうと思ってな。もちろん、全力で勝ちに来いよ。そうじゃねえと修行にならねぇからな」
魔導具であろう剣を持ったステラはそう言ってワタシと少し離れた正面に立つ。
「相手に参ったと言わせるまでこの戦いは続く。やばくなったら言えよ〜」
「そんなかんたんにまけはみとめないから!」
「じゃ、適当に拾ってきた石上に投げっから地面に着いたら始めるぞ」
「わかった」
そういえばステラがまともに戦ったところは見た事がない。本気で戦ってくれるなんて思ってないけど、一泡吹かせてやりたい。
石が投げられた。
石が落ちた。
来───。
「反応が遅えな」
風魔法で加速っ!?
鞘に入ったままの剣を首に当てられる。
「終わりか?」
「いや、まだっ」
剣を掴んで固め…て?
「どこ見てんだ?」
「うしろ…がはっ」
蹴られて吹き飛んだ。そこで意識が途切れた。
───────
「うぅ…」
「お、起きたか。大丈夫か?」
目を覚ますと、平気な顔して魔導具をいじっているステラが近くにいた。
「だれのせいだと……」
「強いて言うなら反応できねぇやつだな」
その通りだけどちょっと腹が立つ。
あの戦いを思い出してみる。石が落ちた直後、魔力の流れを見ようとしたらもう目の前に来ていた。あの時、ステラの周囲にあった魔力から風魔法が発動されたのだと理解はできた。でも、速すぎた。その後、剣を掴んで攻撃しようと動いたら、そもそも剣が無かった。後ろにいて、蹴られて終わった。
「だいぶ前から言ってることだが、魔法において才能がほぼ全ての分野は、扱える魔法の種類と魔法の出力だ。魔力も関わりはするが、それは後の努力次第で増やせるし、魔法を出す速さもまた伸ばせる」
「私に一矢報いることができるまで、何回でもやってやる。それができたら、連れて行ってやりたい場所がある」
「わかった、がんばる」
「何年かかるか楽しみだな」
「すぐにまいったといわせるから、かくごしておいたほうがいいんじゃない?」
「口だけじゃないことを期待してるぜ。あぁそうだ、義手と義眼の調子はどうだ?」
「いいかんじ、なれてきた」
「そりゃいい。本来そういう補助ができる魔導具には頼りすぎちゃいけねぇんだが、お前の場合は体の一部だからな。慣らして使いこなせよ」
「わかった」
───────
何もさせてくれない…。土魔法で足元を崩してきたり、水魔法を炸裂させた衝撃で意識を奪ってきたり、氷魔法で凍らせるだけじゃなく退路を塞いできたり、散々だ。火魔法は森が燃えたら大変だから使わないって言ってた。
汎用魔法について
「大昔の大魔法使いが生み出した魔法だ。火水土風氷の5つの種類があって、適正によって扱える魔法が異なる。固有魔法を持っているヤツは少ないが、人に産まれりゃ汎用魔法から最低1つ扱える。そう作られてる。ある程度の年齢になったら魔法学校に通う。そこで戦う術を学ぶ訳だな」
ちなみに、水魔法を応用して氷を作ることはできません。1つの魔法を応用して別のことができるという拡張性を取り払ってようやく誰でも扱える汎用魔法となるからです。




