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一歩ずつ

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ワタシは捨てられた。そんなことじゃ、生きることを諦める理由にはならなかった。だからこそ、みじめでも愚かだとしても、生き抜いていこうと思った。でも、そう上手くはいかなかった。


死にかけた。もう終わりだと思ったその瞬間、綺麗な輝きが見えた。



────────



「今日は狼肉にするか」


「あれをしゅぎょうのあいてにするの?」


いくらなんでも数が多いと思うけど、ステラはどうするんだろうか。


「あぁ、そうだ。まずはお前の戦い方を見ておきたいと思ってな」


「でもあのかずはさすがに…」


「あれくらいなら簡単なくらいだ。あぁそうだ、私は弟子をとったことは何回かあるが、たいていは逃げたな。どうする、別に家で寝ててもいいんだぜ?」


「……やる。やるしかないんでしょ」


「それでいい。助言はしてやるし危なくなったら助けてやる。だから、遠慮なく全力でやってみろ」


気が進まない。自分から死地に飛び込みたくはない。でも、乗り越えないと強くなれない。だから──


「はぁっ!」


右に3、左に4、前方3。本当に!嫌だけど!頑張ろう!!


左が多い。まず、左に魔法を射出して撹乱。右が飛び出してくる。


「こんなところでワタシはまけない、まけられない!…ふっ!」


足から広げた魔法で右から来た狼の足を固める。動きが止まった隙を着き頭を貫く。


左……と同時に前も来た。しかも跳びついてきた!


「くっ」


危なかった…。狼の死体の方に慌てて来たけど、どうしよう。


「良い動きするじゃねぇか!ほら頑張れよ〜」


「なっ」


良い人なのか悪い人なのか分からない…。っ!狼が向かってきた。狼の死体を盾にしながらこの盾もろとも向かってくる狼を打ち抜いていく。


「しんでなくてももうとべないでしょ!かたまって!」


ある程度打ち抜いてまともに跳べなくなった狼を魔法で固めて、確実に殺す。


これで終わり?…いや、あと1匹足りな─


「っ」


不意を突かれた、もう距離が近い。魔法も間に合わない。いくら狼でもまともに攻撃を食らえばただじゃすまない。それを、想像してしまった。


だけど、想像したような痛みはなかった。


向かってきた狼が水で打ち抜かれた。


「まずまずってとこだな。だがまぁ、良くやったよ。褒めてやる」


「つかれた…」


「これくらいでへばんなよ。今日はこれで勘弁してやるが、次はもっとだ。それと、晩メシの時は反省点と併せて色々教えてやる。肉の処理は私がやってやるから帰ってろ」


「わかった…」



────────



「そんで、色々言いたいことはあるんだが最初に聞きたいことがある」


「なんのこと?」


「お前、死ぬのが怖いか」


「…あたりまえでしょ。すごくこわいよ」


「だろうな。お前は最後、その恐怖さえなければ倒せてたろう。だがその恐怖は、それだけは無くしちゃいけねぇ。それは大切なもんだ」


「でも、そのこわさをこくふくしたらワタシはたおせてたんでしょ?じゃあこんなもの、すててしまったほうがいいんじゃない?」


「いいや、捨てちゃいけねぇし、捨てられねぇだろうよ。長生きしたいっつー望みが消えない限りな。下手に勇気だそうなんて思うんじゃねぇぞ」


「そう、わかった」


「後はそうだな──」



────────



「これくらいにしておくか。今日はもう寝ろ」


「くぅ、そんなにだめなところが……」


「お互いに時間はあるんだ。ゆっくりやってけ」


「はぁい」


「じゃあな、しっかり寝ろよ」



────────



「…吸魔族ねえ。まったく、世界ってのは意外と狭いもんだな」



────────



ワタシはもっと強くならなくちゃいけない。強くないと自由に生きていけない。だからワタシはあの人がどういう人かなんてどうでもいい。ワタシを強くしてくれる、それで十分。


「……もうねよう」


明日も、その次の日も、ずっと生き抜いてやる。


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