未知との遭遇
「いたい…しにたくない……だから、ぜんぶころさないと…」
森の中、死に体の少女が魔法を使い、血に集まった魔物を殺す。魔力が尽きかけている。
「いやだ…!こんなところでしにたくない……ま…だ………」
少女はある程度ならばしのげた実力はあった。だが、魔物が多すぎた。
「あぁ…やだ、いやだ……だれか、たすけて…」
少女の視界がぼやけていく。意識が遠のいて――
「なんでこんなところにガキがいんだよ…。しかもこいつ…はぁ、私の魔力は高くつくぞ」
意識はそこで途切れた。
――――――――――――――
「ん…ここは……?」
知らない天井。知らない寝床。知らない家。
「ワタシはしんだんじゃ…」
「死んでねえよ、せっかく魔力使ってまで助けたんだ、感謝しろよ」
「あ、ありがとう?」
魔力は回復するものだ。そんなことは少女とて知っている、言動が気にはなるがとりあえず、少女は目の前に現れた女性に礼を言う。
「…まぁいいだろ。乗りかかった船だ。面倒ぐらいは見てやるが、名前はなんて言うんだ?」
「ヴァエル、それがワタシのなまえ」
「ヴァエルねぇ。私の名前はステラだ、んでお前人族じゃねぇだろ。右目は傷でも負ったのか?よくわからん石みたいなのが付いてるが…左腕もそうだな、それはいい。その左目だ、そりゃ吸魔族特有の紅い目だ」
「きゅうまぞく?ワタシたちはそうよばれているの?でも、アナタもにたようなめをしているけれど」
「………ま、色々あってな。半分吸魔族で半分は人族だ。そして、だ。なんでお前はあんなところにいたんだよ。吸魔族にしても、産まれてから10年も経ってねえだろ。そんなガキが1匹でんなとこにいるわきゃねぇ。何があった」
「ワタシは、すてられた。りゆうはわからない…」
「あー、そうかあんなんになってる理由なんて大体そんなもんか……。すまねぇ、無粋だったな。…メシ、食うか?」
「たべる」
「言っとくが人は用意出来ねぇぞ、肉は魔物だ」
「わかってる、それにうまれてからひとはたべてない」
「……魔族に産まれて主食の人食わねえとかどんな家庭環境してやがんだ」
「まもの、おおかみとかごぶりんとかたべたり、きのことかたべてた」
「ならちょうど良い。私もそんなもんだ」
――――――――――――――
「ひゃっき、ワラシのからだについてるいしがきになってたよね」
「気にはなるが、食ってから話せよ…」
「もぐもぐ……ごくん。これはワタシのこゆうまほう?だよ。これで、きずをふさいでいたの」
「そうか、固有魔法か。周りに人族しかいねぇから固有魔法の存在を忘れちまう」
「ひとはつかえないの?」
「別に使えねぇって訳じゃねぇ。ただ、魔族と比べると持ってるやつが少ねぇんだ。そのかわり、人には汎用魔法っつーやつがある。これもどんなのが扱えるか、何種類扱えるかは才能だがな」
「アナタは?」
「私か?私は全部使えるぞ。ただまぁ、それしか能がないくせに派手に負けて、色々あってこうなってる」
「でもアナタはつよい、そんなかんじがする」
「そりゃあな。これでも騎士団長をやってたんだ。昔の話だがな。で、それがどうした」
「ワタシ、ながいきしたいの。だから、もっとつよくなりたい。おねがい、ワタシをつよくして」
「……はぁ、どうせ暇でしょうがねえんだ。いいぜ、付き合ってやるよ」
「ありがとう」
「じゃとりあえず、外に出るぞ」
――――――――――――――
「まずはお前の魔法の詳細を教えろ」
「ワタシのは、こんないしをうみだすまほうだよ」
そう言ってヴァエルは目の前に水晶のようなものを創ってみせた。
「へぇ、見た時から思ってたが結構綺麗じゃねぇか」
ステラはそれに近づく。
「…ん?ちょ、おいおいこれ、周囲の魔力吸い取ってねぇか?」
「そう、ワタシのこれはまわりのまりょくをすいとるからワタシがまりょくをつかって、つくったあとはなにもしなくてもなくならない」
「そりゃ、すげえ魔法じゃねえか。そもそも固形の魔法は戦闘で重宝するんだぜ?傷口からは魔力が漏れ出ちまうのが普通だ。それをすぐに応急処置できるだけでそっからの動きが変わってくる」
「うん、だからめとうでがこうなってる」
「あんまりにも普通にしてるから忘れるとこだったわ。流石にずっとそれはなんかアレだ…。後でお前の義眼と義手作ってやるから魔法でそれ、出してくれよ」
「つくれるの?」
「生憎、時間だけはあるもんでな。んで、魔法の扱いに関しちゃ問題は無さそうだな。だがその様子だと感覚でやってそうだな。念の為だが、理論的な使い方も教えとくか」
「わかった」
「まず、魔法ってのは私らの身体を流れる魔力を放出して、空気に触れることで発現する現象のことだ。魔力は身体全体に流れているから、傷を追うと魔力が本人の意思関係なく外に出ちまう。そん時に魔法化するから、本来は勝手に燃えたりしちまう訳だな。そこでだ、お前の魔力は外気に触れると固体になるから、勝手に魔力が漏れるのを防げる。だから結構当たりの魔法っていうことだ」
「そこまでほめられたことはあんまりなかった。ありがとう」
「…そうか。今後は私が褒められるとこは褒めてやる。で、魔力を放出する方法だな。これだけは独学で鍛練しなくちゃならねぇところだ」
「もしかして、ひととワタシではなにかちがうの?」
「あぁ、とは言っても魔族の方がやりやすいだろうからあんまり気にすんな。一応教えとくが──」
魔族は魔力孔という魔力を放出する器官を持っており、増やすことも可能ということ。人の魔力孔は発達しておらず、魔導具と接続する事によって魔法を扱うのだという事。
ステラは魔導具無しでも魔法を打てるようにはなったものの慣れていないため、教えるのが難しいということを彼女に教えた。
「まぁ、習うより慣れろ、だな。今日の晩メシの魔物を狩りに行くぞ」
「うん、わかった」
この世界では全ての生物に流れているのは血ではなく魔力のため吸血ではなく吸魔となっています。




