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いらない子と思われていた令嬢は  作者: 青空一夏


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24 青い薔薇

 ※アルバート視点


 皇女様の結婚式は、1年以上先に行われることになった。

 その話を聞いたのは、皇女様ご本人からだった。

「大切な式だから、準備には時間がかかるのよ。この国を離れるのは少し寂しいのだけれどね」

 そう言って微笑まれたその表情が、少しだけ沈んでいた。きっと、せっかく会えた皇后様や皇帝陛下と離れるのが辛いのだろう。その気持ちはよくわかるし、なにか皇女様の気持ちを盛り上げることをしてあげたくなった。

 

――僕にできることはなにかな? ……特別に皇女様を象徴するような花をつくろうか?


 僕とマドリンが考えたのは、青いバラを作ることだった。

 皇女様の瞳と同じ色をした、美しい花を結婚式までに作る。


 理由は単純だった。

 皇女様が好きだし、幸せになってほしいから。ただ、それだけだ。


 皇女様は、僕らを庭師としてではなく、人として扱ってくれる。

 名前を呼び、目を見て話し、当たり前のように気遣ってくれた。


「アルバートとマドリン、そしてラクエルは特別よ」


 その言葉を聞いたとき、胸の奥が熱くなった。この方に一生誠心誠意、お仕えしたい、そう思った。だから、胸を張って差し出せる特別な花を作りたい。完成した青いバラを前にしたとき、マドリンも僕も興奮した。


 皇女様の結婚式が近づいた。緊張しながらも皇女様に青いバラを捧げると、皇女様は一瞬、言葉を失ったように目を見開き、それから、ゆっくりと微笑まれた。

「まあ……とても素敵ね。私のために作ってくれたの? とても嬉しいわ!」

 その声は、とても柔らかかった。

「皇女様の瞳の色です。これは僕達の気持ちです」

「ありがとう。とても、こころがこもっているわね。結婚式で持つブーケにしましょう」


 喜んでくれただけで充分だった。それ以上、何もいらなかったけれど、たくさんのご褒美をいただき、花嫁のブーケにするとまで言われた。僕らは最高に嬉しかった。その後、僕らは皇女様に同行し、スペイニ国へと渡った。青いバラは人々の記憶に残り、この国はやがて“花の王国”と呼ばれるようになった。

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