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いらない子と思われていた令嬢は  作者: 青空一夏


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15/26

15 黒幕はスペイニ国王

オリバー視点


 僕は城の外壁に隣接する荒れた裏庭から、使われなくなった荷物口を通じて王宮へと潜り込んだ。帝国の精鋭部隊()の男たちも後に続く。

 スペイニ国は、怠惰な王の統治によって国土が荒れ、民は貧困にあえいでいた。宮殿もまた手入れが行き届かず、衛兵の巡回もまばらだった。そのため、宮殿内に足を踏み入れるのは思ったより簡単だった。使用人用の服が保管されている部屋を見つけた。僕は給仕の役を演じるために使い古された制服に袖を通し、同じく使用人になりすました精鋭部隊()の男たちを引き連れて先へと進む。油断しきった衛兵の隙を突きながら、豪華な食堂へと忍び寄った。


 時刻はちょうどディナーの時間。目の前に広がる光景を見て思わず顔が曇った。そこでは贅を尽くした料理を目の前に、スペイニ国王がふんぞり返って食事をむさぼっていたのだ。貧困にあえぐ民を気にも留めず、贅沢に耽るその姿に呆れた。


「おい、そこの給仕! 肉も魚も足りないぞ。もっと、たくさん持ってこい!」

 でっぶりと太った身体に豪華な衣服を纏ったスペイニ国王は、腹がパンパンに膨れていた。


(明らかに食べ過ぎだぞ。スペイニ国の民たちのなかには餓死する者も少なくないのに……)


 厨房から肉や魚をさらに運んだ。スペイニ国王は高価な酒を飲みながら上機嫌だ。


「ローマムア帝国の皇女が毒薬をかけられただと? それは面白い。実行犯は我が国の民? なかなか楽しい展開になってきたな。若き冷血皇帝はもちろんその者たちを厳しく罰するはずだ。ますます、我が民のローマムア帝国への反感が募るぞ」


 スペイニ国王は楽しげに笑った。報告を告げた騎士たちの顔は、どこかで見覚えがある。ローマムア帝国騎士のふりをして、悪事を働いていた者たちだ。

「ですが、もし戦争になれば、我が国はひとたまりもありませんよ」


「そんなことは、わかっておるわい! ここは痩せた土地ばかり。未練はないさ。ローマムア帝国に攻め込まれたら、余は異国に亡命するつもりだ」


「でしたら、俺たちも一緒に連れて行ってください。ローマムア帝国の騎士たちとは、とても戦えませんから」


(なんという無責任さ……国王でいる資格はまったくないし、あの騎士たちも同罪だ)


「しかし、あのアレクサンダー皇帝は絶世の美男子だと聞いた。とすれば皇女も素晴らしい美人なのだろう?」


 騎士のひとりが、記念皿を国王に差し出す。


 「ほぉ、たいした美人だ。毒をかけるよりもスペイニ国に拉致して奴隷にすればよい。余がじきじきに可愛がってやる」


 僕は必死に我慢し、給仕のふりを続けた。精鋭部隊()は、厨房の水瓶に眠り薬をたらした。着々と裁きの時が近づいているのも知らず、スペイニ国王はふんぞり返って笑う。


「皇女を拉致してきた者には、褒美をやろう!」


(自国民を騙し、そのうえ僕の最愛を害そうとする極悪人め!)


 


 


 

 


 

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