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第13話 爆ぜる炎

美桜たちは、植え込みの影から弾かれるように飛び出した。


背後では――ごぉぉ……と、空気を焼き裂きながら巨大な炎塊が迫ってくる音が膨れ上がる。


次の瞬間。


ゴォッ――ドゴォォン!!


爆発の衝撃が、背中を思いきりぶん殴るように押しつけてきた。


灼熱の熱風が髪を巻き上げ、視界が白く弾ける。


「きゃあっ!!」


「うわぁっ!!」


身体が宙を浮き、二人まとめてアスファルトの上を転がった。


頬に砂利が食い込み、肺から空気が漏れる。


美桜は痛みを押し込んで顔を上げた。


周囲の窓ガラスは爆風で粉砕され、アスファルトは溶けたように黒く焦げ、


鉄の焼ける臭いと焦げたゴムの匂いが鼻を刺した。


湊は四つん這いで「いってぇ……」と呻きながら立ち上がろうとしている。


その湊に――


狼が一直線に駆け出した。


「湊、逃げて!!」


美桜は叫び、地面に転がっていた木刀を掴みながら立ち上がる。


足は震えるはずなのに、不思議と恐怖はなかった。


恐怖が麻痺したのか、それとも――


(湊を守らなきゃ)


その想いだけが、胸で煮えたぎっていた。


美桜は狼より先に湊の前へ回り込み、


湊を庇うように狼に木刀の先を向け立ちはだかった。


狼は火の粉を散らしながら美桜の目の前で急停止し、


地面を抉って低く身構え、


グルルル…… と喉を震わせた。


「なんでよ……!


なんでこんな世界になっちゃったのよッ!!」


怒りと恐怖と悔しさが渦を巻いて、喉から勝手に言葉が溢れた。


背後で湊が小さく「姉ちゃん……」と震える声を漏らす。


頬から腕にかけて、擦り傷から血が流れていた。


美桜は狼から目を外さないまま言う。


「湊、立てる……?」


「……うん……!」


湊がよろめきながら立ち上がる。


美桜は木刀を構えたまま、じり……じり……と後退して湊に寄った。


「逃げるよ……」


「うん……」


「私が合図したら全力で走って!」


息が一つ整う。


「……今よっ!! 走って!!」


二人は背を向け、全力で駆け出した。


直後――


ボゥッ!!


背後で空気が焼ける音。


次の瞬間、


美桜の背中に炸裂する衝撃と灼熱。


「ぐあっ――!!」


視界が跳ね、身体が前へ吹き飛ぶ。


木刀が手からこぼれ、カランと転がった。


「姉ちゃんっ!!」


振り返った湊の声は完全に震えていた。


声が出ない。


呼吸ができない。


足も動かない。


狼が、美桜めがけて床を抉りながら跳びかかる。


――終わった。


美桜は目をぎゅっと閉じた。


その瞬間。


ヒュッ――


グサッ!


肉を貫く重い音。


続いて――


キャインッ!!


狼の悲鳴が弾けた。


美桜は目を開けた。


狼の脇腹に、太く鋭い矢が深々と突き刺さっている。


血が熱い湯気をあげながら滴り、狼は苦悶の声を漏らしつつ森の方向を睨んだ。


次の瞬間。


ヒュンッ!!


狼が横へ跳んだ。


狼がいた場所に――


二本の矢が突き刺さる。


「……避けられた!」


森の奥から若い男の声が響いた。


続けて――


ガサガサッと地面を蹴る音が近づいてくる。


そして。


森の陰から二つの影が飛び出した。


一人は鋭い目をした青年。


もう一人は熊のように大柄な、筋肉が鎧のような男。


大男が吠える。


「カイ! 左から回れッ!!」


「了解ッ!! 〈脚力強化〉!!」


青年――カイの足元が一瞬だけ輝き、爆ぜるように速度が跳ね上がった。


音すら置き去りにして狼へ迫る。


そして――


一閃。


空気が裂け、火花が散った。

少し短めです。

続きは明日投稿します。

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