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知らない〇〇だ!!

◇◇クレイアス◇◇



 天より落ちてきた赤い布、そして命を救ってくれた白い布について、大叔父である大神官アルセルドと話し合っている最中だった。


 不思議な音が聞こえ、ふわりと光の粒子が集まり、愛らしい声が響いた。

 次の瞬間、女性がクレイアスの上に落ちてきた。


 「……っ!」


 思わず受け止めた彼女は、小柄で幼げな容姿ながら、成人しているように見える。

 潤んだ瞳が、庇護欲を強くかき立てた。


 その身に纏った花の香りは……

 あの、自分を守った白い布と同じだった。


 「君は、一体……」


 名を尋ねようと口を開いたが、彼女はそのまま気を失ってしまった。


 彼女は神殿の客間へ運ばれ、女神官たちが様子を見守っている。

 怪我はなさそうだと聞き、クレイアスはひとまず胸を撫で下ろしたが、その後のことが気になって仕方がなかった。


 (花の香りを纏った愛らしい女性……彼女が、運命の……?)


 大叔父からは、彼女が「愛し子」であろうという話を聞いた。

 そして、過去に存在した「聖姫エリエゼル」の真実と、王家の罪についても。


 ◇◇


 「……あの方は女神の愛し子だ。 神殿にて保護する。どの国にも口出しをさせぬ」


 アルセルドの声音は低く、揺るがなかった。 すぐに養子縁組の書類を用意させ、彼女をアルセルドの養女とする手続きが始まる。


 「国が愛し子のことを知れば、王宮にて囲い込もうとするだろう。未婚の王子がいる事だしな」


 「王宮への知らせを遅らせることは可能ですか?」

 クレイアスが問う。


 「知らせ自体は遅らせることも、いっそ知らせないことも出来るであろうが……」

 アルセルドは顎に手を添え、わずかに目を細めた。


 「おそらく、愛し子の降臨時にこの神殿自体が祝福の光を放っていたはずじゃ。 我らは自室におったので外からの様子は分からぬが……」


 「……聖姫エリエゼルの導きの時と同じ光……」


 「うむ。それを知る者は王宮にも民間にもおる。 気づく者は多かろう。 王宮や各地に愛し子の存在が知れるのは時間の問題よ」


 アルセルドは口元に笑みを浮かべる。


 「その前に、わしの“娘”にしてしまう。 王宮にはやらん。 幸い出生と養子に関しての手続きは神殿の管轄であるしな」


 にやりと笑うその顔に、クレイアスは政治家としての大叔父の一面を見た気がした。


 「クレイアスよ、もう遅い。 今日は泊っていくがよい。 客間を用意させよう。 王都のタウンハウスにはこちらから連絡をしておこう」


 「はい大叔父上、感謝いたします」


 クレイアスは何度も泊っている客間に案内された。 しかし眠れぬ夜を過ごすこととなった。


 ーー翌朝ーー


 大神官アルセルドの私室に、そば使えの若い神官が入ってきた。


 「昨日のお嬢様の世話をしていたものが参りました。」


 通された女性神官は恭しく礼をすると、息を整えて報告する。


 「お嬢様が目を覚まされました!」



 朝食前、大叔父の私室に来ていたクレイアスは椅子から勢いよく立ち上がつた。


 「行きます!」

 部屋を出ようとしたその腕をアルセルドがみ止めた。


 「落ち着け、クレイアス」


 「しかし大叔父上、彼女は……」


 「落ち着けと言っている。 目を覚ましたばかりなのだろう? 女性の寝室に乱入するつもりか?」


「っ……!」


 言葉を詰まらせるクレイアス。


 「そんなことをすれば、印象は最悪だぞ?」


 大叔父はゆっくりとした口調で、諭すように言った。


 「着替えすらしていないであろう。 女性の身支度を待てぬ男など、相手にされぬぞ?」


 「……申し訳ありません 。気が急いてしまいました……」


 「昨日、気を失ってから、しばらく経っておる。 落ち着いてから改めて顔を合わせれば良い」


 「お嬢様のお召し替えは終わったのですが。 ……あの、大神官様」


 報告に来た女性神官が、少し困った顔をして続けた。


 「お嬢様は、ーーーー」



 ◇◇美春みはる◇◇



 美春みはるはまどろみの中にいた


 (なんか布団、いつもよりふっかふかだぁ……)


 とても気持ちがよい、さらさらの布団。


 寝返りを打つと、いつもは壁に体が当たって止まるのに、今日は当たらない。


 「……?」


 ゆっくりと目を開けると、見た事もないキラキラしい宗教画の様な、綺麗な絵がかかれた屋根の様な物が目に入った


 (天井……じゃない?)


 薄いカーテンが付いた、なんだかものすごく豪華なベッドに寝ていた。 これ天蓋付きベッドってやつ……?

 お姫様の出てくる童話とかに出てくるベッドだ。


 「なんで……?」


 窓の外から差し込む朝の光が目に入った。


 (え? 朝日…?)


 ここどこだろう、高級ホテルなんて泊った事ないけど、そんな感じの所だ。

 なんで自分がここにいるのか分からない。


 私、寝る前に何してたっけ?


 パジャマに着替えて、ワイン飲んで、ダラダラして、ちょっとチーズかじって……


  ……洗濯機から音が鳴って……

  ……洗濯機を開けて……


 ーー美春みはるは思い出したーー



 《”ーーガタッーー”》


 その音を聞いた美春みはるは、おばあちゃんのお守りを手に持ち洗濯機の蓋を開けた。

 そこにはあのイケメンがいた。しかも赤い布(みはるのぱんつ)を持って。


 その時の映像の距離がいつもより近くて、手が届きそうで……


 (これ、いけるんじゃない?)

 (これ、手を伸ばせば、パンツ取り返せるんじゃない?)


  そう、思ってしまったーー


 赤い布を取ろうとして、洗濯機の中に上半身をねじ込んでてを伸ばしたら。

 バランスを崩して……落ちた。


 イケメンの上に。


 その瞬間、咄嗟に出た言葉は

 「それ、私のパンツ…!」


 そう言ってからイケメンと近距離で目が合った。

 すごくびっくりした顔をしてた。


 (だよね! いきなり湧いて出た女が自分に馬乗りとかびっくりだよね! 私もびっくりだよ!!)


 近距離で見てもイケメンはイケメンだった。

 (まつ毛長かった……じゃなくて!)


 初対面で ”私のパンツ!” って叫んでた私……


 「うわぁぁぁーーーー!!!」


 思いだした! 思い出したけど、なんで寝てるのか分からない!

 って事は思い出してないって事??

 え、どっち?! え、どこここ? やっぱりわかんない!


 気が付いたら見知らぬベッドの上だった。

 なにがなんだか、もう……


 「あ、お守り、どこ……?」

 手に持っていたお守りがなくなっている事に気が付いた。おばあちゃんからもらった大切なお守り。


 「え?どこ??」

 布団の中を探してもベットの下をみても、どこにもない。


 「うそ……」


 そんな時──


 ーーコンコンコンーー


 ノックの音が響いてきた。


 「……はい……」


 応えると、女性が2人入ってきた。


 「あの、ここってどこですか? 私が手に持ってた木彫りの花の飾りがなくなっちゃって」

 美春みはるが話しかけると


 「サラン・レヴィア。 オシレン・タラネク・エセル・ヴェル?」


 「ゼラリア、ヴェスタ・ミラネル・エン・ケヴァス」


 「……へ?」


 「ゼラリア、セル・ヴェノリエン・レクシア・エセル・ヴェル?」



 知らない言葉だ!!

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