カラスの勝手でしょ
大学生2年の時に流行った言葉だった。
「か〜ら〜す、なぜ鳴くの〜」の後に続く、このセリフは、
とても衝撃的だった。
だって、ね。
歌詞の続きは、
「かわいい7つの子があるから」なのに、
それは一方的な推測だと言っているのだよ。
君はカラスに鳴く理由を聞いたのかと。
それまで、学校というところは勉強するところで、
学ぶということは、人に教わる(真似る)ことだと思っていた。
確かに、大学では研究者を育てる場所でもあるので、
誰も知らない事を考えたり、発見したりする場所でもあるとは思っていた。
小学生の時に、朝ドリルで算数や国語の問題を解いた。
中学生の時に、授業で聞いたことで疑問があると、図書館で調べたり、教師に質問したりした。
どこかに答えが書いてあると信じていたから。
でも、社会科の教師に、変色してしまっているほど古い大学ノートを、
指を舐めながらめくり、黒板に書いている人がいた。
この人は毎年同じ内容を教えているんだ、と幻滅した。
さらに、数学の教師はもっとひどかった。
僕が、事前に本で調べてきて、三平方の定理の証明方法の一つを黒板に書いたら、
知らなかったのだ、この証明を…。
もう、教師にはなりたくないな、とまで決意した。
毎年同じ事を教えるなんて、まっぴらごめん、である。
シナぷしゅ君、最近の脳科学で、人間の記憶について色々発見があったよ。
寝ている時に記憶を整理しているんだって。
生存に関わる記憶が優先して残され、それ以外を捨ててしまうんだよ。
保護者の記憶〜人見知りすることと関係するね。
楽しいこととか美味しい食べ物の記憶〜体の成長に必須だね。
苦い食べ物や酸っぱい食べ物の記憶〜毒や腐敗の危険があるからだね。
保護者が視界から消えた時の恐怖の記憶〜公園で僕の姿が見えなくなった時に泣き出したね。
あの時は、カラスが君のコップをくわえて飛んで逃げたので追いかけていたんだよ。
僕の方もびっくりしたよ。
空のコップだったんだから。
やっぱりカラスが何を考えているのかは謎だね。




