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第96ターン パワポばか一代ビッグバット、論破される

格ゲーマーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 第二回戦はローバト*ではなくザ・ナックル2での対戦だ。司会進行の暇でしょ?先生がそう告知した。


ローバト...本作中の架空の格闘ゲーム、ロードバトラーシリーズの略称


「オイッ、クー子!ナックルってのは何だ?ゴジップ誌のことかよ?」


「そのナックルじゃないノダ〜前に事務長と女狐(コーチmakoのこと)が対戦したあのゲームなのダ。」


 あぁ、あの3Dのか。純は事務長ヨウヨウとコーチmakoが己のコーチング権を巡って争った平成女の巌流島を思い出したようだ。


 突如の追加ルールに面食らったのはチーム夢原の面々ばかりではない。格ゲー常任理事国のマネージャー、ティーチングではなくコーチングのデキた指導者ビッグバットも不満げに説明を求める。


「ザ・ナックル2での対戦は聞いていないぞ、大会レギュレーションに定めのないことを突如言い出すのはアンフェアだ、説明責任を果たしてもらおう!」


 このビッグ言説に会場のプレイヤーや関係者、そして観衆達もそうだ、そうだと声を上げる。すると、


「そうは言いましてもねぇ、、」


と、運営の一人と思しき人物がビッグバットの前に現れた。


「フー・アー・ユー?あなたは?」


「実行委員の高月たかづきと申します。どぞ、宜しくお願いします。」


 その男はビッグバットに自己紹介すると二回戦の追加ルールについて以下のとおり説明した。


 すなわち、プレイヤー全員にとって初めて聞くハナシだから必ずしも不公平ではない。今大会の趣旨は若き格ゲー日本代表を選ぶことであり、格ゲー百般に通じているべきである等々。


 そしてある意味決定的とも言える外形的な事実を告げるのであった。それはMBAイキりのビッグバットをも黙りこませるのに十分だった。 


「まあ、何よりここをご覧いただきまして、、、」


 そして高月委員が大会要領が刷ってあるチラシの裏面を示す。そこには対戦ゲームのコンテンツに「新作ロードバトラー3等」とある。


 高月はニヤリと笑ってビッグバットに同意を求めるかのように「、、、ねぇ。」その白く生気のない人差し指は「等」を指している。


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の親友マブダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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