第9ターン 初対戦!純・リョウVS源五先輩・ローク
格ゲーの始祖、日乃本 尊たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
「オイッ、留年!対戦開始だッ!」
そう純が掛け声をかけると純・リョウと源五先輩・ロークの対戦が始まった。99秒の熱く激しいバトルトリップだ。
「先ずは挨拶代わりのこれを喰らいな!」
留年生に先輩面して純が飛び道具の気流拳↓↗→◯を連発する。いわゆる気功術をモチーフにした技だが、突きや蹴りのような現実のものではない。
「ちよっ、ちよっとタンマ!」
堪らず源五先輩がタイムを要請する。初見のド素人に慣れない飛び道具を連打するのは確かにフェアとは言い難い。
「待てって言われて待つ奴がいるかよお〜」
純がサディズムの愉楽に浸って源五先輩を嬲りものにすると、クー子がこれを窘める。
「純、先輩は素人ナノだ〜いきなりの飛び道具で蜂の巣にするのはやる気を削ぐだけなナノだ〜」
「うるせいやつら!手抜きは却って相手に失礼なんだよ!」
などどもっともらしい事を言って迸る攻撃性を惜しげなくぶつける純・リョウ。お次はこれだと、足技、烈風脚↓↙←□を繰り出した時、背後から甲高い例の声が響いた。
「あ〜ら!バカゲーマーが珍しく練習してるみたいね。しかもド素人相手に得意顔で!ア〜ハッハッハ!!」
「現れたな!成り上がりのプチブル女!」
クー子が花崎 麗子に先制口撃を加えてはや臨戦対戦に入る。もう一つのバトルの火花が切られた。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病やまいのレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ルック。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。