第89ターン 争いごとを貫く真理
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
「パープリ?パープリンとは誰のことなのダ!!あたいクー子はテストはちょいと苦手でも地頭ならベルンシュタイン級ナノダ!」
「ア〜ハッハッハ!出ました地頭論法!!本当に頭良いならそれこそ学校のテストぐらい簡単に満点取って見せなさいよ、見苦しい!!」
「嗚呼!違う也。パープリンではなくパーパリ、完全なるパリィって意味也。それと天才はベルンシュタインじゃなくてアインシュタイン也よ、何故にそんなマニアックな、、、」
クー子と蘭子の誤解に基づく不毛な言い争いに割って入ったのはチーム夢原のプレイヤー随一いや唯一の常識人、比留多 恭介だ。
「クッ、こっちはパーパリまで落とし込む時間が無かったのに!純坊、相手はパーパリのタイミングを体得してるわ、攻撃は慎重に、、」
あかんわ、引き分け狙いは必ず押し込まれて負けてしまう。これは対戦、合戦、試合、バトル、セメント、口論まで含めて争いごとを貫く真理やわ!コーチmakoがジレンマに陥る。
その間に赤毛のゴスロリことパンク娘アンは攻勢を強め、防御一辺倒になってしまう純のリョウ。アンは画面を直視してプレイに集中しながらも何故か純に独特の調子で語りかける。
「アタシの想像力ではね、この対戦、もう少しで勝負がつくと思うの。でもね、ジュン君。負けることは恥ずかしいことじゃない、精一杯闘ったんだから、それはきっと心の勝利なのよ!」
「あ〜うるせぇなぁ!!未だオレっちが負けたわけじやあねえぜ!」
アン独特のイタい台詞に反発した純はもう一度R1R2ボタン同時押し、クリティカル・ヒットを狙って一か八かの大勝負に出る!
「もう、だめじゃないジュン君。心が頑なになっている、そんなんじゃ同じことの繰返しよ。」
アンは諭すように語ると、えいッと小さくつぶやいてまたしてもパーフェクト・パリィを発動させ純・リョウに見事なカウンターを喰らわせる。
リョウの体力ゲージはグッと減ってあと10%にも満たない絶対絶命の危機に陥る。エース純、危うし!
「ヤバい!この対戦、純君が負けても2勝2敗1引き分けのドローだけど大会レギュレーションからすれば大将戦の結果で勝利チームが決まることになる、、」
険しい表情のチーム夢原ヘッドコーチむ〜ど。その横で純担当のコーチmakoは瞑目し何かを考えている。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




