第8ターン 新世代キャラ、その名もローク
格ゲーの始祖、日乃本 尊たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
新世代の主役キャラ、ローク。源五先輩はほとんど迷うことなくこのメーカー推奨の格闘家を選んだ。クリエイター的にはしてやったりの構図だ。
世界戦略向けに見た目がカッコ良い金髪の青年ローク。前作バトツー*のゲンでの過ちを補正した、よりアメリカナイズされた格闘家だ。ゲンのデザインは眉毛が黒くて、どこかその名も含めどこか東洋的だった。
[註]バトツー 本作中の架空の格ゲー、ロードバトラー2の略称
「なになに、このロークは総合格闘家で、ガードマンのお仕事なのダ。アルバイトかな?」
クー子がマニュアルを広げてロークのキャラ設定を読み込み、気になる点を披瀝する。
「まあ、総合じゃ食えないからなあ。やっぱプロは銭稼いでなんぼだよ。アマチュアじゃないんだから。」
純がプロ格界隈の苦しい台所事情をひとくさり語る。少林寺拳法の道場でそのあたりに詳しい兄弟子から聞きかじったか。
「ボカァ何かよく分かりませんが、格好良さそうなのでこれにしておきますね。」
そう言うと源五先輩はクー子からマニュアルを受け取り一応は技の確認。ふむふむ面白いですねえとニヤ付く。
「ロークは運営のテコ入れで他のキャラより火力が高い設定らしいよ。」
クー子が今度は携帯をのぞきながら、ネチズン達のローク評を読み上げた。なんにせよ、素人の源五先輩にはうってつけのキャラのようだ。
「じゃ、対戦しようぜ、留年先輩!」
純が英国の旧市街地を対戦ステージに選んだ。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病やまいのレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ルック。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。