第76ターン 格ゲーマープロ化前夜の奇妙な光景
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
格ゲー日本代表Jr5人を決める本大会。会場は東京都千代田区の元帥記念公園だ。何せ代表選手の選考会だけに会場は派手にデコレーションされており、大会の盛り上がりに花を添えている。
そういえばプレイヤー達にも見るべきものがある。モデル柔道家アノンの遣い手、モレシャンのようなコスプレイヤーもいるし、アイドル顔負けの容姿をしたプレイヤーもいて、物見高いファン達はそちらの方にも目配りを怠らない。
会場はこれからやってくる格ゲーの一大ブームを確信しているかのような高揚感に包まれて得も言われぬ一体感が醸されている。
格ゲーマープロ化の流れは確実なものになり、今後は世界規模でのトーナメント、さらにはリーグ戦さえも想定される成長産業となった格闘ゲーム界。そしてその代表作がロード・バトラーシリーズ。
しかし、そうであればこそ、そこに楔を打ち、穴を穿ち、隙間を拡げてこのビッグビジネスに参入したい野心家、コンペチターも現れる。格ゲープロ化の混沌期にデファクトを取るべく様々な思惑が交差する。
チーム夢原のコーチmakoはビデオゲーム雑誌の編集部に籍を持つヘッドコーチのむ〜どから格ゲー界の上げ潮ぶりは聞かされていたが、今大会の盛り上がりは想像を超えるものだった。
自分自身、このまま大阪の大学で研究室に残るのか、女性初のプロ格ゲーマーとなるのかは悩み中だ。ただ、一大ムーブメントの前に身を置くと、その欲望の渦中に飛び込んでみたい気持ちが疼いてしまう。
が、そう思った時に一方では父親を探す為に格ゲーマーになると宣言した純坊のことが気になる。レジェンド夢原 省吾から預かった始祖・日乃本 尊の一人息子を、この欲望渦巻く格ゲービジネスの世界に送り込んでよいものだろうか。
そしてどこか胸騒ぎのするこの大会。不思議なレギュレーションもその一つだが、主催関係者がどうにもきな臭い。
ゲーム業界や広告代理店は分かるが、何故霞が関が、内閣府の面々をはじめとした官僚達が主催席に陣取っているのか。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




