第66ターン 第二戦は総合格闘家VSアラブVチューバー
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
勝った、極めて重要な第一戦目にチーム夢原が勝利した。しかも優勝候補とされている格ゲー常任理事国から勝利をもぎ取った。
ゲーミングチェアから降りて一息つく勝者の比留多 恭介。これを手荒く祝福する純らチーム夢原の面々。クー子はふざけてエルボーを比留多の背に落とす。痛い、也、、イタいナリ!
もちろん気位の高い花崎 蘭子はこれを横目で一瞥するだけだが、かつて袖にした比留多のことをかなり見直したことだろう。
東郷元帥公園に集まった物見高い格ゲー評論家?達も無名の格ゲーマーが勝利したことに驚きが隠せない。まぐれと辛辣に評する者もいれば、特殊な大会レギュレーションが心理的に影響したとする者もいる。
「ヨオシッ!次も勝たせて貰おうぜ!さぁてお次は、、」
「ボクが行かせてもらいますよお〜比留多クンにばかりいいトコ見せられてたまるもんですかぁ!」
純に勢いよく応えたのは留年界のシティボーイこと平尾源五、通称源五先輩だ。真に気味の悪いウィンクを花崎 蘭子に送りながらAKの最高級ゲーミングチェアの腰掛ける。
一方の格ゲー常任理事国側は次に誰が出るのか相談中のようだ。国連の安保理宜しく合議によって決するようだ。
「次は負けられない、俺に任せておけって!」
かなり強引に主張するオリエンタル坊主頭。手振り身振りでまるで怒っているようだ。
「かなり相手は熱くなっているようだね、えっと彼は、、」
む〜どがメンバー表に目を落として格ゲー常任理事国の面々の名前を確認する。
「アングリーバットやね、あの子は。どこかで聞いたような名前やワ。誰やったかな?」
チーム夢原もう一人コーチmakoが長い睫毛を瞬かせている。
「第二試合を開始する。両チーム、プレイキャラを選ぶように。」
司会兼レフェリーの暇でしょ先生が源五先輩とアングリーバットに声をかける。源五先輩は新作の主役、運営イチオシの総合格闘家ロークを選ぶ。
アングリーバットもプレイキャラを選ぶと、純が眉をひそめて低く呻る。
「オイッ、留年先輩!相手はアシッドだぜ、トリッキーだから気をつけンだぜ!」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




