第62ターン オレっち、ナーフ?を知る
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
「いいゾ、ニヒル!その調子だ!」
比留多 恭介が操る米国海兵隊のゲイルは弾撃ちのあと、スルスルと対戦相手のセンが操るエイミーに近づきしゃがみ大キックをお見舞いする。これを何とかガードするセン・エイミー。
「ふむ、足元はお留守じゃない也か。ではこれならどうだ。」
と、今度は立ち中キック。所謂ローリング・ソバットがエイミーにヒットすると、ここで会場がグッと沸く。この日初めてのハイスパッドだ。
初っ端から攻勢に出るチーム夢原の先鋒、比留多 恭介。往年のパンク風刈り上げヘアーが彼のブレないスタイルを象徴する鏡の中のマリオネットだ。
「待ちゲイルを克服したニヒル君らしい、アグレッシブなゲイルやね!」
コーチmakoも少し涙ぐみながら歓声を上げる。カウンター狙いではない、自ら対戦のイニシアティブを握る闘い、それは実は自分との闘い。
「とどの詰まり、勇気の問題也!」
比留多は低く呻ると得意の↓↑□
「出たノダ!ゲイルの代名詞、ムーサルトキッィ〜ク!!」
クー子の実況?に合わせて比留多・ゲイルが必殺技を繰り出し、これが見事にヒットする。ゲイル十八番の一撃に元帥公園に歓声が沸く。
「やりますねぇ!!え、これは、、」
が、留年生の源五先輩に動揺が走る。会場からと意外だとの声も上がる。
「う〜ん、ゲイル、今作はナーフされたかな、、」
ヘッドコーチのむ〜どが厳しい表情。makoもぽってりした唇を歪めて苦笑い。運営は気まぐれやからなぁと独りごちる。
「オイッ、makoちゃん!ナーフって何だよ?気まぐれオレンジロードがどうかしたのか?」
敵に思ったよりダメージを与えることが出来なかったこの攻防に純が口を尖らす。
「ナーフは弱体化、新作が出ると古参キャラの攻撃力が弱めに設定されることがあるんだよ。」
ゲーム雑誌編集者でもあるむ〜どが代わって答えた。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




