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第61ターン 第一戦目 軍人ゲイルVS酔拳エイミー

格ゲーマーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

「行ってくれるか、比留多君!」


 ヘッドコーチのむ〜どが比留多に声をかける。無言でうなずくニヒルこと比留多 恭介。エースの純が大トリならば、絶対に落とせない初戦は実力ナンバーワンの比留多しかありえない。


「オイッ、ニヒル!頼んだゼ、落ち着いて行けよ!」


 純がハッパをかけると負けたら承知しませんことよ!と花崎 蘭子もきっつ〜いエールを送る。かつての想い人からの声援にやや狼狽する比留多。


「さて、相手側は誰が出てくるのか、、」


 もう一人のコーチmakoが探っていると程なく格ゲー常任理事国の先鋒が現れた。


「負けれない初戦、コイツの酔拳で取らせてもらうぜ!」


と、最前さいぜん挑発してきたオリエント坊主頭に背中を押されて、少しオドオドしながらコントローラーに手をかけたのは老け顔のメガネ君だ。


「センです、よろしく。」


 老けメガネ君はペコリと頭を下げるとひょうたんボトルからエナジードリンコを一飲み。


「ワ、わっ!アヤツ突然表情が変わったノダ?!」


 クー子の驚きどおり、酔拳よろしく雰囲気が変わったセン。絡み酒の藪睨みで比留多を急かす。


「コントローラー握れよ、早くしろよぉ!」


 言われずとも握るさ。二重人格どの、とサラリと返すチーム夢原随一のクール・ガイ比留多 恭介。緒戦の舌戦はイーブンと見ていい。


 レフェリーの暇でしょ!先生に促されて各々ゲーミングチェアに着く。エーケー・レーシング最新式の深く埋まる感じがゲーム世界への没入感を嫌が上にも高める。


「それでは格ゲー常任理事国とチーム夢原の第一戦目を行いまぁす。セン・エイミーVS比留多・ゲイル、始めぇ!!」


 U−18格ゲー日本代表を決める記念すべき大会の第一戦目の幕が切って落とされた。


「比留多君、まずは飛び道具、弾撃ちで様子を見よう。」


 む〜どから指示が飛ぶ。比留多はコクリと肯くとゲイルの代名詞、←→○ソウル・ビームを発射し、間を開けずに連発する。


「何だか凄い安定感ですねぇ〜!」


 源五先輩が驚きの声を上げるとニヒルの奴、腕上げたじやあねえかと嬉しそうに純も独りごちる。


「そう、リズムよく緩急を使いながら弾、撃つべし!意外と難しいこのコンビネーションをニヒル君は完全にマスターしているようやワ。」


 makoが頼もしそうに目を細める。出足快調、チーム夢原の全員がそう思っていた。


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の親友マブダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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