第49ターン ザ・ナックル2!ヨウヨウ対mako
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
図らずも邂逅した二人の女流ゲーマー。純から事務長ヨウヨウがザ・ナックルのプレイヤーだと聞いた長い睫毛のmakoはやおら挑戦状を叩きつけた。
ただならぬmakoの雰囲気に僅か一瞬だが丸メガネの奥で目が据わったヨウヨウ。が、眉毛を八の字にして、困ったちゃんの百面相。
「あ〜ごめんなさいね。巡回があるから、、ちよっと今は難しいかなぁ〜」
そう言ってそそくさと部屋を出ていこうとするヨウヨウ。仕事と言われればそれ以上はネバれない常識人のmako。が、彼女は違った。そう、ある意味彼女はヨウヨウの雇主なのだ。
「あ〜ら、尻尾巻いて逃げますの?ゲーム大好きの根暗アラサーさん!」
純ら男性陣をすっかり籠絡したカワイイ系お姉さんのヨウヨウ。これが堪らなく不快なのが医療法人花崎会の令嬢、花崎 蘭子。平成のコギャルは昭和のぶりっ子が許せない。
「見回りなんて、他の者にやらせておくから、コントローラー握りなさいよ!」
明らかなパワーハラスメント、支配的・優越的な立場を利用しての強要だ。蘭子もmakoの実力は知っている、純を唆すヨウヨウを皆の前で辱めてやりたい。が、そんな底意地が悪いストラテジーは下町の太陽が黙っちゃいない。
「ちょいと待ちなヨ、守銭奴!そりゃ強引すぎるノダ!金や力にモノ言わせる奴ぁアタイは許さないノダ!!」
平成のプロレタリア・ギャル、クー子が蘭子に食ってかかる。親友の純にちょっかいをかけるヨウヨウも目障りだが、権力を振りかざす輩が最も許せない。ということで、mako、ヨウヨウ、蘭子、クー子のバトルロイヤルが勃発した。
「何だか怪しい雰囲気になってきましたねぇぇ。おー怖ッ。」
源五先輩がつい漏らしてしまう。言い出しっぺのmakoはバツが悪るそうにしてると、この空間における最年長ヨウヨウが大人の譲歩をした。
「じゃ、ちよっとだけ。一戦だけしますか〜ザ・ナックル2。」
コントローラーを手に取るとザ・ナックル2にアクセス。あっと言う間に対戦モード画面が展開する。そして中国拳法の美少女を選ぶとmakoに鋭い視線を送った。
「私はショウヨーでプレイするわ。あなたもキャラ、選びなさいよ。」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




