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第46ターン オレっちの姉ちゃん、訝しむ

格ゲーマーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 ボロをまとった武道家、剛仁が空手家リョウに技を授ける。ゲームのストーリー設定をなぞるような光景が画面上に展開される。


 繰り返しプレステの電気をON/OFFしてもネット対戦に現れた剛仁はtake_Rというプレイヤーが操る中々の猛者だ。


「何だか分かんねぇがこのルンペル、オレっちに手解ほどきしたいようだゼ。」


 純はそう言って第2ラウンドも引き続き、剛仁が見せる技、コンボを模倣する。そしてタイムアップのアナウンスを聞くと対戦は第3ラウンドに。そこに聞き慣れた声が聞こてきた。


「こんばんは。純、練習してる?」


 ああ、なんかヘンテコな対戦だけどよ。純が姉の音々《ねね》に応える。


「あ、お姉さん、こんばんは!何しに来たかのだ?さては差し入れナノだ?」


 クー子が手を擦って嬉しそうに言う。いちいちリアクションが古い、児童劇団のようだ。


 音々はニッコリ微笑んで例によってファミマの袋を事務机の上に置く。純の好物、ハムカツが顔をのぞかせる。


「はい、みんなで食べてね。あと、今日は花崎クンに呼ばれて来たのもあるのよ。」


「アラッ、お兄様が?ご要件は??」


 万事が高圧的な蘭子が音々に詰問調でただす。本人は自覚が乏しいようだが、他者に攻撃的なのは何かの裏返しの場合が多い。その辺りをアラサー事務長、ヨウヨウは見切っている。


「何かね、共通テストのコツを教えて欲しいとかで。教科を絞り込みたいとかで。でも私の受験は前のことだし文系だったし。あんまりいいアドバイスが出来なくて。」


「でも、オタク族*は勇気百倍になったはずナノダ〜お姉さんも満更でもないとか!?」


 クーちゃんやめてよ、花崎クンは受験中よ

。そう微笑んで恋バナ大好きな?クー子の()()()を取り合わない音々。現役女子大生が高校生を相手にすることはまずない。


「まっ、ボカァは年齢的には大学生ですけどねぇ、ムフッ。」


 と、全方位外交の高校五年生、源五先輩が音々に色目を使ってくる。留年生の癖にふてえやつだとクー子がハリセンを落とす。音々の人柄か、ほのぼのとした空気が流れる。


 が、当の音々の表情はどこか深刻げな雰囲気に包まれていた。


「純、このネット対戦の相手って、、タケ、何て読むの?」


つづく

格ゲーマーの始祖、日乃本 たけるたける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!


人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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