第41ターン オレっち、ネット対戦を初体験する
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
煽られまくった上に小バカにされて最後は敗北するという、ネット対戦のフルコースを食らわせられた花崎 蘭子。
「おんどりゃあ!表出てこいやあぁ!!」
コントローラーを床に叩きつけて、テレビモニターに向かって中指を突き立てる。憤激のあまり、彼女もテレビの中に対戦相手が居ると思ったのか。
「お嬢様!一休さんじゃないんだから、テレビから相手を飛び出す事なんてありませんよ〜」
常軌を逸した蘭子を事務長ヨウヨウが窘める。すると我らが熱血一番星、エース純が名乗りを上げる。
「オイッ、ランラン!オレっちが仇討ちしてやるぜ、代われ!」
純はそう言うと屈んで床からコントローラーを取り上げカチャカチャと操作してネット対戦に参戦する。
あ〜ぁ、守銭奴がホントに発狂するまで放っておいたらいいのにと、クー子は嫌みを当てこするが純には聞こえていないようだ。
「どっからでもかかってこんかい!」
最前、蘭子が図らずも叫んだ往年の岡八郎を思わせるファイティングポーズの純。愛用キャラ、空手家リョウでスタンバイする。
すると間髪入れずに対戦相手が現れる。何故か、ボロボロの道着をまとった中年の武道家だ。
「なんだか物乞いみたいのオッサンなのダ〜ホントに格闘家なの?」
なんてキャラ?とクー子が誰とは無しに尋ねるとこのホビーのパイセン、ヨウヨウが即座にレスをくれる。
「剛仁ね、空手家リョウの師匠、剛幻の弟という設定よ。キャラのタイプ的はリョウと同じ弾撃ちよ。」
「というと、ミラーゲームになるってことですネェ。」
と留年界のカリスマ、源五先輩がいち早くホンシツを見出す。同タイプのキャラなら相手の出方が分かりやすい。
「ミラーゲームかなんか知らないけどよぉ!やってやるって!」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




