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第40ターン 煽りの後のその次は

格ゲーマーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 あおり合戦の果てにたまを一発喰らって第1ラウンドを落とした花崎 蘭子。怒りのボルテージは早や頂点に達する。


「よくもアタクシを愚弄してくれたわねえ!後悔させてあげますわあ!!」


 まるで修羅のごとく巻き毛を逆立て第2ラウンドに突入する蘭子・ジュリー。


 あらら、守銭奴が発狂してるノダ、と蘭子を敵視するクー子も憐れむ程の混乱ぶり。そこに対戦相手の空手家ゲンはカクカクカクと屈伸して、またもやあおりの二重奏。


 もう容赦しませんことよ!!と無防備で距離を詰める蘭子・ジュリー。そこに待ってましたとばかりにゲンがクリティカルを打ち込む。


「クッ、見事な陽動作戦だわッ!お嬢様、相手は手練てだれよ!」


 事務長ヨウヨウが蘭子に注意喚起するが激情態の蘭子には届かない。


「オイッ、ヨウヨウ!ヨードー作戦って何だ?キョードー大阪なら聞いたことあるけどよ。」


 純がシャレたことを言ったがヨウヨウには響かない。


 確かにそうだ。煽りに怒ったプレイヤーの次の典型的な行動は距離を詰めての猛ラッシュ。これを読み切ってのカウンター技は新実装のクリティカル。絵に描いたような展開を演出する対戦相手はかなりのベテランらしい。 


「悔しいぃぃ!これでも喰らいなさい!」


 蘭子が更に技を重ねるが、それらを今度はパリィで受け流すゲン。ヨウヨウがうめく。


「初心者が感情的になると大技中心のコンビネーションになってしまうのを相手は完全に見切っているワ。」


 こちらの行動パターンが読まれている、全てお見通しですワヨ!は蘭子の決め台詞であったが、それをそのままお返しされている状況に蘭子が思考力を喪失する。


「何だか凄いことになってますねえ〜これは心理戦だ。」


 トウシロの源五先輩だが年の功か、格ゲーの本質、とりわけオンライン対戦で顕著になるメンタルプレイの重要性を指摘した。


 相手ペースで進む試合展開に心技共に未熟な蘭子に反撃の余地は無かった。最後はゲンの小パン・小パン・飛龍拳の定番コンボに蘭子・ジュリーは葬り去られたのであった。


つづく 

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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