第4ターン オレっちの先輩、留年生のエロ源五!
格ゲーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
元相棒の名前を出されると純には分が悪い。受験が終われば格ゲーに帰ってくると約束した花崎に申し訳ない。
「じゃあ、久しぶりに練習に、キャンプに行くか。」
キャンプとは純たちが格ゲーの練習をする医療法人花崎会の事務員室のことなのだが、純がそう言った時、思わぬ男が割り込んできた。
「格ゲーの練習?やや、これは面白そうですゾ。」
特徴のある台詞回しのやや老け顔の男子。高校二年生には相応しくない目元の落ち着き。
「あ、源五先輩。ハナシ、聞いてた?格ゲーやったことはあンの?」
純が親しげに話しかけると男子は花崎 蘭子を上から下へとマジマジと眺め、指をパチンッと一つ鳴らした。
「コイツぁ上玉ですゾ。」
「フンッ!公立高校のド庶民にもワタクシの美が分かるようですわね。ア〜ハッハッハ!」
源五先輩の軽口に悪口雑言を即レスする花崎蘭子。しかしイイ女と言われて悪い気はしないようだ。
「先輩!騙されたらダメなのだ〜その女は人格が破綻したほとんどビョーキの金色夜叉ナノだ!」
クー子が源五先輩に心ある警告を発するが、源五はどうやら女性には目がないようだ。
「や、懐かしいなぁ〜日乃本 氏、ボカァ*格ゲー思い出しちゃったかも。キャンプ、参加してもいいかな〜?いいとも〜」
[註]「ボカァ」は、「ぼくは」が訛ったもの。往年の青春スター加山雄三氏の十八番だ。
と頭の上で所謂「世界に広げよう友達の輪」を作って戯けてみせる。どうやら、源五は蘭子目当てで格ゲーを始めるようだ。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称は俺っち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・日乃本尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートで留年生。あだ名直球のエロ源五。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。