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第31ターン オレっちと晩秋の駿河

格ゲーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 花崎 蘭子が美しくも底意地悪い眼つきで事務長ヨウヨウに詰問する。何故、父のケーシー花崎は諦めたはずの格ゲー・リハビリに拘っているのかと。


「その当たりの事情はワタシもわからないなぁ。でも、格ゲーを通じて純クンに早く良くなって欲しいんですよ、きっと。」


 丸眼鏡の奥でつぶらな黒い瞳が優しく微笑む。そうだよな、ケーシーのオッサンも意外と優しいからな。純は納得がいったようだ。医は仁術也か、比留多 恭介もさり気なく学のある所を匂わせながら同意する。


「じゃ、今日の練習はこれくらいにしてお開きにしますか。ねね々ちゃんの差し入れ食べた者から散開なのだぁ〜」


 そう言うと、ヨウヨウはレジ袋に包装紙や飲み終わったスムージーの容器を片付け始めた。


・・・


 花崎病院を出て帰途に就く純と音々、そしてクー子の三人。純達とクー子はご近所で、彼らの棲家はJR焼津と西焼津の概ね中間点、その北西の住宅街にある。


 彼らが通う高校はどちらかと言えば西焼津に近く、そこからの帰り途に医療法人花崎会はあり、そしてさらに東に歩を進め帰宅する。そんな位置関係だ。


 児童クラブ時代からの親友マブダチ、純とクー子は気兼ねが無い。それぞれが思い思いに話をする。


 それは会話として繋がっているのか、いないのか。よくは分からないが、そこには心地良いリズムがある。少なくとも音々にはそう響いている。


 今夜の純の話は新技のクリティカルの痛快さ、パリィのタイミングの難しさで、クー子はというと自分の新キャラ、舞妓の見た目やコスチュームの際どさに関するもの。


「ミニの着物なんて、こっちが恥ずくなってくるノダ〜」


と、どこか嬉しそうに笑っている。


 いよいよ師走も間近。だのに晩秋の駿河は未だ冬の気配を見せない。音々は延々と続く弟達の他愛もない会話を聞きながら、こんな長閑のどかな時間も有限のときなのだと、にわかに刹那せつなさが込み上げていた。


つづく



格ゲーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!


人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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