第3ターン オレっち、蘭子に観念する
格ゲーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説。
「あんだとぉ〜この泥棒猫!どこから潜りこんだノダ!!」
激昂して蘭子を弾劾したのは罵倒された純ではなく、その親友クー子だった。すると罵詈雑言の総合商社、花崎 蘭子も黙っちゃいない。
「泥棒猫!?なんと失礼な!あ?あなたは債務者の娘じやあありませんか!学費も払えないくせに高等教育を?ア〜ハッハッハ!」
もう我慢ならない。拳にふぅーっと息を吹きかけて蘭子に殴りかからんとするクー子。それをなんとか純が遮り、そして蘭子に問う。
「オイッ!ランラン!何の用だ??おヌシは授業を抜けてきたのか、どうなってんだ!」
「あらら、バカゲーマー。随分とご挨拶ですわねえ。アタクシ特待生に授業時間なんてあって無きが如しですのよ。ア〜ハッハッハ!」
「お兄様*が貴方のことを心配していたから、ちょいと覗いてやったのに。」
[註]お兄様とは純の元相棒、花崎 誇。只今受験勉強中につき、格ゲーは休止中。
「そ、そうか。オタク族*がオレっちを心配してたのか。」
[註]オタク族とは花崎 誇のこと。純が付けた粋なあだ名。
格ゲーのプロを目指す!と元相棒に誓った純はバツが悪かった。確かに昨今の自分は格ゲーの練習をサボり、留年生のクラスメートと怠惰に過ごしていた。
格ゲーの始祖、父の日乃本 尊の足跡を追うには謎の団体、あのIKA、国際格ゲー連盟の実態に近づかねばなるまい。
「、、それには練習ってことか。。」
純はついに観念したように見えた。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称は俺っち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・日乃本尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。