第26ターン オレっち、新コマンドに当惑する
格ゲーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
新メンバーの源五先輩と蘭子が順調に滑り出している中、純とクー子はやや苦戦しているようだ。比留多はというと彼らしいというべきか、淡々と新しいシステムを試しながら修練を積んでいる。
事務室に2台あるテレビの前で5人の若きゲーマーが代わる代わるコントローラーを握る。
「オイッ、クー子!このクリティカルってのは何だ?やってみようゼ。」
「純、クリティカならコントローラーのR1R2ボタンを同時に押すノダ。」
クー子の指示どおりにコントローラーを操作すると、純が操る空手家リョウが光を放ってクー子のプレイキャラ、舞妓に決定打を与える。
「くぅ~気持ちいい〜!この新コマンドは最高だよな!」
爽快そうに純が声を上げると元来負けん気の強いクー子も黙っちゃいない。即座に同じ技でお返しする。
「喰らえ〜ハリセンじやあ!!」
今度はクー子・舞妓が大型の所謂ハリセン、あのチャンバラトリオが愛用した責具でもって純・リョウをしたたか打ちのめす。
やったなあ〜と何処か嬉しそうに純が再逆襲、これにクー子がまたもやクリティカで対抗とドロ沼の報復戦が連鎖した。
「もう、許さねえゼぇ〜!」
純が三発目のクリティカを放つべくR1R2キーを同時押した。するとどうだろう、クリティカが発生しないのだ。
「お、オイッ、クー子!何か技が出ねえぞ、おヌシ細工したか?」
「細工とは聞き捨てならないノダ〜!そんなヤツは地獄に堕ちろぉ〜!」
クー子が芝居がかった、そして時代がかった台詞回しで右手の人差し指、中指を同時に押し込むと、、
「アレッ?クリティカが出ないノダ??さては純、おヌシ何か細工したな?」
と、オウム返しのように猜疑心を顕にする。ネガティブな方向でも息の合った二人だ。そんな愚かなやり取りに比留多が呆れたように教え諭す。
「クリティカを出すにはエネルギーの充填が必要也。いわば気合いを籠めるようなもの。なので連発すると気合いが消散する也よ。」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




